ドライフルーツの在庫
ポルチーニを乾燥棚へ並べる。
無属性で水分を抜く。
数日もすれば保存食になるだろう。
レインは満足そうに頷いた。
「これでいつでも食えるな」
ポルチーニクリームパスタ。
ポルチーニスープ。
夢が広がる。
問題は。
その横だった。
棚に並ぶドライフルーツ。
残りが少ない。
かなり少ない。
「……減ったな」
きゅる。
ここちゃんが鳴く。
むぎもキュと続いた。
犯人は分かっている。
目の前にいた。
⸻
レインは腕を組む。
考える。
ここちゃんも好きだ。
むぎも好きだ。
自分も食べる。
補充は必要だった。
「王都行かないか?」
レインが言う。
アクセルが顔を上げる。
「ドライフルーツか」
「そうだ」
テラも本から目を上げる。
「王都か」
ノアは少し考える。
「問題ない」
即決だった。
⸻
アクセルが腕を組む。
「なら武器屋にも行きたい」
「武器屋?」
「手入れ用品も欲しい」
レインが頷く。
「じゃあついでだな」
王都へ行く理由が一つ増えた。
⸻
行くと決まれば早い。
その日のうちにサイファの冒険者ギルドへ向かう。
扉を開く。
いつもの喧騒。
いつもの顔ぶれ。
ドランがこちらを見る。
「おう」
「どうした」
レインが答える。
「王都行ってくる」
「依頼か?」
「いや」
一拍。
「ドライフルーツ買いに」
ギルド内が少し静かになった。
そして。
誰かが吹き出した。
⸻
「うさぎのためか」
「さすが神輿だな!」
いつもの冒険者だった。
周囲から笑いが起きる。
レインは顔をしかめる。
「神輿じゃねぇ」
「もう無理だろ」
「諦めろ」
さらに笑いが増えた。
ここちゃんは何も分かっていない。
きゅる。
ご機嫌だった。
⸻
ドランも苦笑する。
「気を付けて行ってこい」
「分かってる」
その横で。
ミアが微笑んだ。
「行ってらっしゃい」
「ああ」
レインは軽く手を上げる。
⸻
翌朝。
白兎の庭はサイファを出発した。
王都までは徒歩で四日。
最初は遠いと思った。
だが。
気付けばもう二度も行っている。
慣れた道だった。
空は晴れている。
街道は続く。
レインは前を向く。
「行くか」
ここちゃんが、きゅる、と鳴く。
むぎもキュと続いた。
王都はまだ遠い。
だが。
足取りは軽かった。




