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静かな夜


宿の部屋は静かだった。


窓の外では、帝都の灯りが揺れている。


人の気配はある。


だが、騒がしさはない。


レインは椅子に座ったまま、しばらく何も言わなかった。


アクセルは壁にもたれている。


腕を組んだまま、目を閉じていた。


ノアは窓際に立っている。


外を見ているのか、見ていないのか分からない。


ここちゃんがレインの膝の上で耳を動かす。


きゅる。


むぎは胸ポケットの中で丸くなっている。


キュ。


しばらくして、扉が軽く叩かれた。


レインが顔を上げる。


「入れ」


短く言う。


扉が開く。


クラウスが立っていた。


中へ入る。


足音が一つ。


それで止まる。


少しだけ間。


「今回の件だが」


短く言う。


誰も動かない。


クラウスは続ける。


「あのまま魔物の侵入を許していれば帝都の危機だった」


一拍。


視線は逸らさない。


「助かった」


それだけだった。


アクセルが目を開く。


小さく息を吐く。


「たまたまだ」


クラウスは否定しない。


「報告は上げる」


短く続ける。


「評価も含めてだ」


レインは軽く頷く。


「そうか」


それ以上は聞かない。


クラウスは一度だけ全員を見る。


それから言った。


「ゆっくり休め」


短い。


それで十分だった。


そのまま扉へ向かう。


足音が一つ。


扉が閉まる。


静けさが戻る。



しばらく、誰も話さない。


外の灯りだけが揺れている。


アクセルが壁から体を離す。


肩を回す。


「……終わったな」


レインは窓の外を見る。


帝都は動いている。


何もなかったように。


「ああ」


短く返す。


ノアが言う。


「帝国は変わらない」


レインは少しだけ息を吐く。


「それでいい」


ここちゃんの頭を撫でる。


柔らかい。


むぎが小さく動く。


キュ。


レインは軽く押さえる。


「寝るか」


アクセルが頷く。


「だな」


ノアは何も言わない。


だが、そのまま窓から離れた。


灯りが揺れる。


帝都は、静かに動いている。



二日後。


研究院から呼び出しが来た。


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