制御中枢
地下通路は長かった。
石の壁が続く。
灯りは等間隔で並んでいるが、奥が見えない。
警鐘の音が遅れて届く。
地下の奥で、低い振動が続いていた。
アクセルが言う。
「長いな」
ルカが前を向いたまま答える。
「中枢は地下深くにあります」
それ以上は言わない。
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ノアは壁を見ていた。
石の継ぎ目。
刻まれた細い線。
しばらく見て、前を見る。
「……奥だ」
短い。
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通路はゆるく下っている。
奥から響く振動が少しずつ強くなる。
レインはそれを聞きながら歩いた。
そのとき。
胸ポケットの中で、むぎが強く動いた。
キュ。
レインが視線を落とす。
むぎが顔を出していた。
奥を見る。
じっと。
レインが小さく言う。
「分かるのか」
キュ。
短い返事。
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通路の先に空間が現れる。
壁が途切れ、広い部屋へ繋がっていた。
ルカが足を止める。
「ここです」
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アクセルが中を見る。
円形の部屋。
床いっぱいの紋様。
回路が幾重にも重なっている。
中央に柱状の装置。
水晶管が巡り、光が流れていた。
速い。
⸻
レインは一歩入る。
足元から振動が伝わる。
さっきより強い。
柱の光が揺れる。
⸻
ノアが床を見る。
線を追う。
少しだけ目を細める。
「……偏ってる」
それだけ言う。
⸻
アクセルが言う。
「止めりゃいいんだな」
ノアは答えない。
ただ中央を見る。
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ルカが柱を見る。
制御盤の前に立つ。
何かを操作していた手が止まる。
言葉を選ぶように、少しだけ間を置く。
「……制御が効いていません」
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レインは柱を見る。
光。
流れ。
一点へ集まっている。
迷宮の装置。
あの時の感覚。
引かれる感じ。
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そのとき。
《解析開始》
頭の奥に声が響く。
久しぶりの声だった。
レインは小さく息を止める。
《流入集中を確認》
《外部循環との接続状態:異常》
《干渉点特定中》
レインは目を細める。
床を見る。
回路。
線。
交差。
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《一点に収束》
《吸引点を確認》
レインの視線が止まる。
柱の根元。
回路が集まる場所。
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《制御提案》
《無属性魔力制御+固定による流入遮断》
レインは小さく呟く。
「……同じか」
アクセルが聞く。
「何だ」
レインは柱を見たまま言う。
「止め方は、変わらない」
手の上で、むぎが小さく動く。
キュ。
ノアがレインを見る。
一瞬だけ。
何も言わない。
⸻
地下機構の唸りが強くなる。
柱の光が、さらに明るくなった。




