中枢
警鐘の音が地下通路に反響していた。
短く、鋭い音。
一定の間隔で鳴り続けている。
研究員の一人が走り込んできた。
「北外壁、維持限界」
ルカが振り向く。
「状況は」
「魔物侵入の可能性あり」
アクセルが舌打ちした。
「もう来てるな」
⸻
レインは装置を見る。
中央の水晶。
光が強い。
止まらない。
床の回路の線が、そこへ集まっている。
⸻
ノアがしゃがんで床を見る。
線を追う。
しばらくして立ち上がる。
「……ここじゃない」
アクセルが聞く。
「何が」
ノアは通路の奥を見る。
「中心」
⸻
研究員が言う。
「ここは接続点です」
ルカが続ける。
「制御は別にあります」
アクセルが眉を寄せる。
「止めるならそっちか」
研究員は一瞬だけ迷う。
「……干渉は可能です」
ルカが即座に言う。
「案内します」
⸻
研究員たちは顔を見合わせた。
一人が言う。
「我々はここで監視を続けます」
ルカが頷く。
「それでいい」
⸻
レインは装置を一度だけ見る。
光は変わらない。
止まらない。
視線を奥へ向ける。
暗い通路。
まだ続いている。
⸻
警鐘が鳴る。
さっきより近く感じる。
アクセルが肩を回す。
「時間はなさそうだ」
ノアはすでに歩き出している。
「奥」
レインが頷く。
「中枢だな」
むぎが胸ポケットの中で動いた。
キュ。
ここちゃんが腕の中で耳を動かした。
きゅる。
ルカが前に出る。
「こちらです」
⸻
地下通路の奥へ足早に進む。
足音が石床に響く。
背後では研究員たちが装置を見ていた。
光はまだ強い。
止まらない。
⸻
それを止める場所は。
この先にある。




