崩壊
警鐘が地下施設に響き続けていた。
金属の音が壁に反射する。
短い間隔で繰り返される。
中央の装置の水晶は、さらに強く光っていた。
床の回路も同じ光を返す。
研究員が水晶板を見る。
都市図が浮かんでいる。
北側の線が揺れていた。
研究員が言う。
「北外壁、出力低下」
ルカが装置を見る。
「どこまで落ちています」
研究員が答える。
「維持限界に接近」
アクセルが低く言う。
「接近ってことは」
その瞬間。
水晶板の線が一つ消えた。
研究員が声を上げる。
「北外壁、結界破断」
⸻
地下の空気が変わる。
遠くで重い音が響いた。
石が崩れるような低い衝撃。
アクセルが振り向く。
「今の」
研究員が水晶板を見る。
北側の表示が完全に消えている。
「結界消失」
⸻
ルカは装置を見た。
光はまだ強い。
中央へ流れ続けている。
レインも水晶を見る。
迷宮の石室。
あの時の装置。
だが今は違う。
規模が違う。
止まらない。
⸻
ノアが水晶板を見る。
都市の線。
北側だけが切れている。
「外」
短く言う。
アクセルが聞く。
「何が」
ノアは図を指した。
「開いた」
⸻
研究員が急いで別の水晶板を起動する。
外壁の監視図。
荒野。
そして。
動く影。
研究員が息を呑んだ。
「魔物反応」
ルカが聞く。
「数は」
研究員が答える。
「増加」
アクセルが舌打ちした。
「寄ってきてるな」
⸻
レインは階段の方向を見る。
地上。
城壁。
その外。
⸻
ノアが図を見る。
影が増えている。
ゆっくり。
だが確実に。
「群れ」
短い。
⸻
地下の装置がまた唸る。
中央の水晶がさらに明るくなる。
都市の魔力が止まらない。
研究員が言う。
「結界、再展開不能」
ルカが振り向く。
「原因は」
研究員は装置を見る。
一瞬、言葉を止める。
「……管理機構に干渉しています」
⸻
アクセルが低く言う。
「まずいな」
レインは装置を見る。
光が強い。
止まらない。
ただそれだけで、十分だった。




