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検査室


研究員が扉の前で立ち止まる。


手を伸ばし、金属板に触れる。


軽い音。


扉が横へ滑る。


レインはそのまま中へ入った。


広い。


中央に台。


周囲に机。


器具が並んでいる。


ガラスの筒。


金属の棒。


刻印の入った板。


奥では研究員が作業していた。


誰もこちらを見ない。


年配の研究員が歩き出す。


「こちらだ」


短い声。


ルカが振り返る。


「装置を」


クラウスが箱を持ち上げる。


台の上へ置く。


小さな音。


レインは台を見る。


高さは腰ほど。


無駄がない。


アクセルが軽く叩く。


「硬いな」


「検査用だ」


年配の研究員は振り返らない。


ルカが留め具を外す。


金具の音が続く。


蓋が開く。


中の金属枠が現れる。


刻印。


管。


円形の枠。


その瞬間。


音が消える。


奥の研究員の手が止まる。


一人が歩いてくる。


装置の前で止まる。


動かない。


目だけが刻印を追う。


「……これは」


もう一人が並ぶ。


枠を見る。


「……残っていたのか」


年配の研究員がゆっくり近づく。


装置を見下ろす。


しばらく黙る。


「試験機だ」


ルカが枠を傾ける。


刻印に光が当たる。


研究員が紙を出す。


番号を書き写す。


手が速い。


だが視線は装置から離れない。


アクセルが言う。


「古いのか」


ルカは答える。


「十数年前の型です」


「本来は回収、もしくは破棄されています」


短い。


それで十分だった。


レインは装置を見る。


迷宮の奥にあった理由が、逆に分からなくなる。


「なんで、こんなもんが王国の迷宮にある」


アクセルが腕を組んだまま言う。


年配の研究員は装置から目を離さない。


「分かりません」


短い。


「記録を確認します」


一拍。


「設置経緯も含めて」


ルカも視線を落としたまま言う。


「過去の資料を洗います」


それだけだった。


アクセルが小さく息を吐く。


「分からんままか」


誰も答えない。


装置だけが、台の上にあった。



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