お誘いと『好き?』
「ねーねー、綾瀬くん。私と一緒にデート行きませんかぁー?」
「ブハっ!? いや、なんで俺と?」
「それはねぇ――ババーンっ! 遊園地のカップル限定無料チケットぉ!」
おぉ!じゃないわ! なんで俺みたいな陰キャ男子が木村さんみたいな天然巨乳美少女と遊園地行くんだよぉ――――ッ!
それにさっきから俺の背中に豊満な木村さんの胸があたってるんだけど!?
柔らかすぎだよ、クソぉ!
「この間懸賞で当たったんだぁー。もったいないし行こうよぉー」
「え、えっとぉ……」
――隣の席から強い殺気を感じるんだが。
「真弥、綾瀬くんからその汚らわしい胸を離して」
「ひぇ――!? ごめんなさい……」
実川さんがそう言うとすぐに木村さんの豊かな胸が俺から離れた。
少し惜しい気持ちをこらえ表情に出さないよう気をつける。
「綾瀬くん。真弥の胸で欲情するとかキモいから」
「え、あ。すみません……」
バレていただと!?
でも思春期の男子なら誰だってなる正常な反応だと思うんだけど……
実川さんの目はまるでサーベルタイガーのように鋭く今にも潰されそうな圧を感じる。すると親友の遊矢がスタスタこっちに近づいていて俺の耳元で囁やく。
「おい、春。実川さん多分、既に2、3人はやってる……」
「えっ……」
「可愛いと思って近づいたらズバッとやられるぞ」
遊矢はサラッと怖いことを言って逃げるように去っていった。
前まで遊矢、実川さんのこと好きとか言ってたよな? この数ヶ月で何があったんだ……
「それでどーしますっ?」
「綾瀬くんって遊園地とか人の多い場所は苦手だよね」
「えっ!?そーなのぉ!」
実川さんは俺と木村さんのデートを阻止しようとしてるなこれ。
確かに人が多い所は苦手なんだけど……せっかくの誘いだしなぁー。
「お、俺は別に行ってもいいけど……」
◆
「綾瀬くんのバカバカバカバカっ!なんで行くなんて言ったのぉー」
家に帰ってすぐに実川さんが俺の胸をポカポカ叩いてくる。
でも全然痛くないパンチ。
「だってせっかく誘ってくれたし、無料で行けるんだから行くでしょ」
「あーあっ。綾瀬くんは私よりおっぱいの大きい真弥の方がいいんだぁー」
「そーいうわけじゃぁ……」
学校と家ではこんなにも性格が変わってしまうなんて、まるで人格が二つあるみたい。
「じゃぁ許してあげる代わりに私ともデートして!」
「えっ!? なんで?」
「真弥だけデートできるなんてずるいんだもん……」
「――ねぇ、実川さん。一つ聞いてもいい?」
俺は真剣な表情を作り静かな空気を作った。
ちゃんとはっきりさせたいことができてしまったから。
「――俺のこと好き?」
「へっ……」
「自意識過剰なのかもしれないけど最近たまに思うことがあって……」
実川さんは口を開けたまま少しだまり込んでから小さな声で応えた。
「今はまだ……好きじゃない」




