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晩ごはんを一緒に作ることになった

 水曜日の夕方。


 学校から帰ってきた俺はいつものように風呂に入って一日の疲れをと汗を洗い流す。

 風呂から上がったら冷蔵庫から牛乳を取り出して一気に飲み干す。

 これが俺の毎日のルーティーン。

 そして最近になって新たなルーティーンが追加された。

 それは、風呂から上がった後にライトノベルを読む!

 最近、遊矢ゆうやの影響でラノベを読み始めて少しハマりだしたんだけど、実川さんが家にいると少し読みづらいので、まだ帰っていないこの時間に一人ベットに転がって読んでいる。


 ガチャっ!


「ただいまー。買い物したから少し遅くなっちゃった」

「お疲れ様」


 実川さんが帰ってきたので本を閉じてテレビを付ける。

 するとファミリーレストランのCMが流れハンバーグが美味しそうに映った。


「わぁー。美味しそうだね。そうだ! 今日は冷蔵庫にひき肉もあるしハンバーグにしよっ!」

「えっ、ほんと! 楽しみだなぁー」

「楽しみだなぁーって、綾瀬くんも一緒に作るんだよ?」

「えっ!? でも俺あんまり料理得意じゃないし……」

「ちゃんと教えてあげるから大丈夫ぅ!こっち来て」


 実川さんに毎晩作ってもらってもいるので今日は素直に従うことにした。

 手を洗って水滴を拭き取りキッチンの前に立つ。


「じゃあ、ボウルにひき肉と卵を入れてしっかりと混ぜてくれる?」

「了解」


 隣では実川さんがまな板の上で玉ねぎを切っている。

 目が潤ませながら口に割り箸をくわえているところが凄く可愛い。


「もぉ、私ばっかり見てないで手を動かしなさいっ!」

「ごめん――でも可愛かったから」

「へぇっ!?……ふーん、そーなんだ」


 実川さんはわかりやすく照れて、俺は自分が言ったことが恥ずかしくなってうつむいた。


 ――実川さんが玉ねぎを炒め終わり冷蔵庫で冷やしてからボールの具材と混ぜたところで俺は質問をした。


「なんで一度冷蔵庫で冷やしたの? そのまま入れればいいのに」

「玉ねぎが熱いままじゃひき肉に火が通ってしまうからだよ」

「へー。実川さんってお嬢様なのになんで料理が上手なの?」


 俺の読んだラノベに出てくるお嬢様はドジで料理が下手なんだけど実川さんとは対照的。


「お母さんが料理するのが好きで、小さい頃よく一緒にご飯作ってたから」


 そういえば実川さんの家の話ってあんまり聞いたことなかったな……


「この前のパーティーの時は実川さんのお母さん見なかったよね」

「うん、今海外で仕事してて3年くらい会えてないんだ……」

「そうなんだ……」

「でも今は綾瀬くんや真弥まやがいるから全然寂しくないけどねっ!」


 寂しくないというのは俺を安心させるために出てきた言葉のような気がした。

 それと同時に彼女を悲しませたくないという気持ちが脳をぎる。


「うん。じゃあ今度3人で遊びに行こうか」

「うんっ!」




           ◆





「すごい!お肉を切った瞬間に肉汁がぁ――」

「でしょっ!中にチーズも入れたんだー。食べてみて!」


 ハンバーグを口の中に入れた瞬間溢れ出す肉汁とトロトロなチーズが絡み合ってむちゃくちゃ美味しい。


「柔らかくて美味しい」

「うん!実は豆腐も入れたんだー。10個も作ったからどんどん食べて!」

「えっ!? 作りすぎじゃない?!」

「明日の晩もハンバーグだから大丈夫」

「はぁ……明日もね」


 ハンバーグは作りすぎてしまったけど実川さんの事を前よりも知ることができたので良かった。



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