旅の準備〜道具屋〜
ライラとアルドラと別れ、ライカとジースの1人と1匹で道具屋を目指して歩いています。今日はライカが人間モードではないので会話が出来ないジース。コミニケーションが取りたいジースとしては、ちょっともどかしい様です。そして…
結局、会話のないまま道具屋に着きました。「こんにちは、おやっさんいるかい?」とジースが挨拶しながら店に入ります。
「おう!ジース、来たか。注文の品だが…ちょっと材料が足りなくてなぁ…安くするから、材料取って来てくんねぇか?」と道具屋のオヤジがジースに尋ねます。「またかい?今度は何処に行けばいいのさ?」とジースがやれやれと答えます。「悪いな、俺じゃ取って来れねぇからな、頼りにしてるぜ?王様。今回は…」とジースが道具屋のオヤジから依頼を受けている時にパズはというと…
「おっちゃん、これはどうやってるの?」とパズが作成中の燃える板っぺらを眺めながらバジルに尋ねます。「これ!変に触るでない!、それはレッドセッカを並べて術式を組んであるんじゃ。その周りを手甲の素材で固めてある。魔法の使えないお主に丁度良かろう?」と怒鳴りつつも話のわかる相手との会話は楽しい様です。それは、パズも同様です。「それじゃこの手甲は二層の材料を使っているんだ?強度的に問題ないのかい?」とパズが質問します。「そこは逆じゃ、二層にする事で緩衝材を入れる事が出来るから、強度的にはより強化出来るんじゃ。」と説明します。「なるほど!術式もこの範囲で自由に組める訳か…今使っている術式は変更出来るの?」「まだ、変更は可能じゃぞ?何かアイデアがあるのか?」バシルが目を輝かせ答えます。「大した事はないんだけど、火を発生させるのではなく火気を振りまく様に出来ないかな?」とパズが答えます。バシルは首を傾げ「それでは機能が発揮されないではないか?」と言います。「それでいいんだよ。戦いの中で火気を溜めて剣閃で発火、風圧で火炎放射、炸裂させれば爆破出来るだろ?」とパズが言います。「おー、そんな使い方があったか!大半の人は魔法が使えるからお主の様に器用なことをしなくて良いから…ブツブツ…」とバシルが色々と考え始めてしまいました。「確かに魔法を使えば同じ事が出来るが、発動するのに時間かかるんじゃねぇか?いや?予め、準備すれば良いか…でも、直感的に切り替えは出来ないから…逆にすれば良いか!なるほど!そう言う事?おっちゃん、こんなのどう?」とバシルにアイデアを話し始めます。パズのアイデアとは次の様なものです。
魔法が使える人の場合は、魔力を術式に送り込み術式で魔法を発動する様にする。つまり、発動出来る魔法のセットを用意しておき、直感的に切り替えて発動出来る様にするというものでした。
「おー、それは良いアイデアだ!ならば、それを作ろう!」とバシルが意気込んでいると「いや、俺の手甲が先だ。」とパズが止めます。「おーすまん、すまん。ならば、そのアイデアを生かし、火気、水気を切り替えて発生出来る様にしよう。レッドセッカ、ブルースイセキを切り替えて使用する事で切り替えが可能じゃ。ちょいと待っておれ、ファッファッファッ」大層気分良さそうに作業に取り掛かるバシルでした。
時を同じくしてジースは、道具屋のオヤジから依頼を受けていました。頼まれたのは水属性のパワーストーン「ラピスラズリ」を取って来て欲しいと言うものでした。この辺ではスタマータの町近郊の湖で取れますが、魔物が出るので、道具屋のオヤジには取って来れない品物なのです。通常、兵士とかハンターとかが依頼を受けて、取りに行くのです。
因みにグリークランドでは、王が最高のハンターになります。人間の居住区域には『ウッド・ストーン』と言う「木になる石」を使用して囲いを作ってあります。この『ウッド・ストーン』は生物の魔力を吸い取る性質があり、凶暴な動物が町に近寄らないための工夫です。なので町の中では、安心して生活ができるのです。そして、『ウッド・ストーン』を整備したり、管理しているのが城に住んでいる人々です。
突如、依頼を受ける事になったジースはアルドラにも、実戦練習がてらに依頼を受けてもらおうと考えました。「アルドラを連れて行くなら…結局全員で行くことになるな…まぁ『旅は道連れ』ってね。」と独り言を言っていると。「ジース!ちょっと来てー」とライラの声が聞こえて来ます。ジースは手で合図を送り、小走りにライラの元へ向かいます。
「アルドラの魔道具出来たから、お勘定と実戦練習を兼ねて、依頼を受けてみるのはどうかな?」とライラがジースに尋ねます。「僕もそう思ってたところだよ。ただ、パズは注文の品が出来るまで時間がかかりそうだから依頼を受けてくれるかと思っていたところなんだ」とジースがライラに話します。
「パズなら喜んで受けるよ?あの子はチャンスがあれば色々と試したい事があるのよ。暇な時は1人で狩りをしてあたしに何か作れって言って来るんだから。」それはそうかとジースは安心して、アルドラを連れてパズの居る鍛冶屋へと向かうのでした。
パズはその頃、バシルの作業を黙ってみていました。「ちょいと一服着くか!術式の設計をしないとな!」とバシルが作業を一区切りします。「いや〜、おっちゃんの作業は繊細だねぇ。俺のは細かい細工とかしないからちょっと味気ないんだよなぁ…」とパズがバシルの手際を褒めます。「何かやってみれば良かろ?試しにここに、術式を描いてみてはどうだ?」と端材をパズに渡します。「術式は組んだ事がないんだ…」とパズが言います。「なぜ?」とバシル、パズは自分が魔法を使えないので術式も使えないと思っているので、描かないとバシルに伝えます。「それはイカン!自分の為だけに作業していると視野が狭くなる。ワシら職人が陥りやすい事態じゃから気をつけるんじゃ、常に自分だけでなく多くの人に使ってもらえる様に作るんじゃ。もちろん自分の要求を満たした上でなぁ」バシルの言葉に感服したパズは「反省します…」と素直に聞き入れました。「もう一つ、自分の信念を持つ事。何かを突き詰めてやろうとした時、必ず障害がある…その時、信念が無いと、心が折れてしまうんだ」とバシルが言います。「ふーん、心の大黒柱みたいなものか…」とパズ。それを聞いたバシルは「ファッファッファッ」と笑うのでした。
少々時間が流れ「こんにちは〜」と女性の声が聞こえます。ライラとアルドラです。ジースも一緒です。「どう?出来た?」とライラがパズに聞きます。「ああ…」と答えるパズ、アルドラが「見せて見せて〜」と言い寄って来ます。「こんな感じでどうだ?」とアルドラに先程の術式を見せます。「うん!可愛い模様だね。」アルドラが褒めます。「あとは、実戦で試すか…」とパズ。
「丁度依頼を受けて来たところなんだ、パズも一緒に行かないか?」とジースが聞きます。パズは、「もちろん行くさ」と意気揚々(いきようよう)に答えます。かくして、マラトンの町近郊の湖まで行くことになった一行準備は中途半端ですが、実戦練習がてらに探索の依頼を果たしに行きます。
次回は、マラトンの町へ向かいます。でわでわ。。。
道具屋のオヤジから受けた依頼をこなす為に、スタマータの町へ向かうことにした一行。スタマータは湖と共に栄えた町です。山からの地下水が豊富に流れ込み綺麗な飲み水を手に入れる事ができます。でも、名物でもある「ラピスラズリ」は凶暴な動物がいる場所だけで取れます。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」なんて言いますが、世の中そう都合よく行く事は少ないものです。




