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5・聖女の仕事



 聖女の存在は危険に晒される可能性があると言う事で、レミリアの身体は便利だった。聖女の良いカモフラージュになってくれる。まさか、伯爵令嬢が聖女だとは思わないだろう。聖女は王城にある神殿と国境付近の神殿を回ることになる。基本人馬車での移動なので、移動距離が長く一年ほどかかるようだ。

 水晶球の浄化は前回の時よりも遅れているので、ゆっくり回る暇はないようで、比較的温暖な南のオスティン国は雪の降る冬に向かうことになった。通常なら、冬の間は、危険なので、天候の悪い時期は、オスティン国の城に滞在して、天候の良い時を選んで浄化の旅に出る予定だった。


 何故、騎士、神官、魔法使い、商人が同行するのか。それは、数百年に遡るらしい。この世界に瘴気が立ち込め始めた時は、手の施しもないほどの瘴気に世界が覆われたらしい。それを、初代聖女が自分の身を犠牲にして、世界から瘴気を無くしたらしい。文献でしか分からないが、それは、想像を絶するものだったらしい。聖女の護衛に騎士や魔法使い、神官が必要なほどに大変な旅だった。これまでは、商人は昔は単なる御者だったようだが、五人なくして世界に平和は訪れなかったようだ。

 その後、聖女の死後、神官と魔法使いの手により水晶球が各地に設置される。初代の聖女は、瘴気の強さに、命を犠牲にして、この世界を守ったらしい。その、水晶球の色により、瘴気の高まりがわかる様になった。聖女は何故か、その瘴気が溜まり切る頃に現れる。何故か理由は明かされていないが、聖女は、異世界からやってくるそうだ。どのような、理由で現れるかはわからない。文献に残された情報はこの地で何かあったかのみ記されているからだ。

 三世代前の聖女からは、旅の危険はかなり、減ったようで、魔法使いや、神官が同行するのは、形式的なような位置づけだった。御者も商人となり、旅に必要な物資を用意してくれる立場になった。



 ゲーム的な要素でいったら、攻略対象のキャラクターの職業は分けた方が、人気が出る。個々の特徴を分けるのは大事なことだ。それと、聖女が異世界から来るのもこれがゲームだからだ。それと、水晶球があるのもゲームの要素の一つだろう。



 この世界とゲームの世界が本当に同じものなのかはわからない。一周だけでも、ゲームを体験してみるんだった、と悔やんでもしょうがない。元々、ゲームなどやったこともなかったしね。私は準備に追われる周りを傍観することしか出来なかった。



* * *



 ベッドから起き上がれるようになって数日間は伯爵令嬢として、扱われることに慣れなかったが、一月もすれば、随分慣れた。私の身体の持ち主は、伯爵令嬢だ。周りは、私のことを知らないので、間違った行動をすると驚かれた。

 しかし、旅に出ることになると話は変わってくる。レミリアのことを知らない人たちばかりだからだ。ある程度普段通りのことが出来る。メリッサさんも一緒だったが、最低限、旅に出るために、自分のことは自分自身でするように、教えられたのだと思っているころだろう。

 そのために、旅はそれほど苦にはならないと思う。商人であるフラムさんには、感謝しかない。宿屋選びも適切で、宿屋は一人は危険なので、メリッサさんと同室になった。男性陣はグラード様とフラムさんが同室でアルベルト様、リクセンくん、クリストファー様が一緒だ。基本はこの形で、部屋が取りにくい場合は、その都度、調整される。一人部屋しか取れなかった時はメリッサさんには、申し訳ないが、ソファーで休んでもらうことになった。


 そして、これから、私は本格的に浄化の旅に出ることになるのだった。



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