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ラスボスに転生したのでダンジョン1階層で勇者パーティを待ち構えた。  作者: エース皇命


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第9話 ギルドでのお友達

 冒険者の仕事というものは、その辺の子供でもできるような簡単なものから、ドラゴン討伐とかいう意味不明な難易度のものまで、様々だ。


 最初のうちは難しい依頼を受けることができない、なんていう定番パターンじゃなく、好きな依頼を選ぶことができるらしい。


 ギルド中央にある掲示板に近づき、依頼を確認する。


 今日、ギルドに来たのは俺ひとりだ。


 ミル師匠やデュークはいない。


 それはなぜか。


 受付嬢からミル師匠のヌード付き画集を買うためである。これを2人に見られるわけにはいかない。


「でも相当高かったなぁ……」


 画集の値段を思い出し、身震いする。


 割引するとか言っておきながら、金貨3枚で売ってきやがった。日本円に換算すると、だいたい3万円くらいか。


 ギルドの受付嬢も、それはそれはケチなもんだな。

 ちょっと可愛いからって調子に乗らないでくれと言いたいところだ。


 もちろん言えなかったけど。


 ざっくりと依頼の貼り紙に目を通し、1番難しそうなものをビリッと剝がす。


「これ」


 少し前、俺から金貨3枚受け取ったちょっと可愛い受付嬢は。

 俺が机に置いたその依頼を見て目を丸くした。


「エンシェントドラゴンの討伐!?」


 その声は、思いのほか大きかったらしい。


 周囲の冒険者が一斉にこちらを向く。


 注目を集める俺、フェニックス・サンダーボルト。


 その中には、あまり好ましくない視線もあった。


「おい兄ちゃん、マリちゃんとちょっと仲良くなったくらいで、調子乗ってるんやないか?」


「いやいや、それはむしろ受付嬢の方で――」


 てか受付嬢A、マリっていうのか。


 名前とか知らなかった。


「俺のマリちゃんになんか文句でもあんのかおら!」


「ありますよそりゃ。こんなのぼったくりだ!」


 いきなり絡んできたおっさんからすれば、俺の言っていることなんて1ミリもわかるまい。


 だが、それでいいのだ。

 俺はこんなかませ犬の相手をしている暇はない。


「俺がエンシェントドラゴンの討伐を受けるのが嫌なんですか?」


「……いやぁ……おめぇ、ちょっと調子乗ってるように見えたから……」


「俺は調子に乗ってるどころか、被害者なんです。この理不尽な世界の!」


「はぁ?」


「あなたもその犠牲者になりたいんですか? やめておいた方がいいですよ」


「……確かに」


 俺の言い方がよほど悲壮感に満ち溢れていたらしい。


 そりゃそうだ。


 だって、俺は最高に運が悪い。


 目が覚めたらいきなり異世界にいて、もうすぐ勇者パーティに殺される運命で、それを変えたら勇者パーティが解散して、なんか俺のせいみたいな雰囲気になって――。


 そして1年したら勇者パーティのリーダーがストーカーの犯人であったことを告白するし、俺のことが好きだとか言ってくるし、新たなダンジョンの支配者が登場したとか言ってくるし――。


 落ち着け、俺。

 落ち着け。


 この世界に対する文句をおっさんにぶちまけた結果、すっかり大人しくなったおっさんは、今度俺を酒場に連れていってくれるらしい。


「若いってのも大変なんだな」


「そうですね」


 暴力沙汰になることなく和解したおっさんと俺。


 その穏やかな大人の話し合いを眺めていた血の気の多い冒険者たちは、感心したのか拍手をして俺とおっさんの友情を応援してくれた。


「いろいろあったけど、とりあえずこれ、お願いします」


 友情の握手と酒場の約束を終え、再び受付嬢のマリちゃんと向き合う。


 マリちゃんはなにがなんだかわからないという顔をしていたが、安心してほしい。俺もよくわからん。


「えーっと……エンシェントドラゴンの討伐、ですね」


「この依頼、難しいんですよね?」


「はい、10年前の依頼ですが、どの冒険者も成し遂げていない、伝説のクエストになります」


 ――伝説のクエスト。


 そう聞くと、やりたくなってくる。


「じゃあ、この依頼、受けます」


「え、あ、はい」


 なんだその反応は。


 もっと驚いてほしいし、なんなら止めてほしかった。


 どうやらこの世界にかつての世界の常識は通用しないらしい。1年たっても慣れないものは慣れないな。

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