第7話 リベンジ
「――話は以上だ」
デュークが全てを説明してくれた。
ついでに、自分が抱いている俺に対する好意に関しても。
それを聞いてミルは首を傾げていた。
彼もまた、デュークが実はアホであるということを理解したらしい。
呆れたような顔を俺に向けてきた。
「デュークが抱いているその感情は、ひとまず胸の奥底に保管しておいた方がいいかもしれないね」
「そう思うか?」
「それが恋愛感情であることを否定することはできないけど、キミの想い人であるフェニックス君は、その好意を受け止めるつもりはなさそうだから」
慎重に言葉を選びながら、ミルが言う。
それを聞いてデュークは何か言いたそうな顔をしたものの、あらかた納得したのか、黙って頷くことを選んだ。
「それで、本題に入ろうか」
ここではミルが仕切り始める。
勇者パーティのリーダーはデュークだったが、今の彼はすっかり不安定だ。
1年間俺をストーカーし続けたことにより、頭がおかしくなったんだろう。そう考えると怖いね。
「新しく誕生したダンジョンの支配者を倒すために、また勇者パーティの仲間を集めたい――そういうことでいいんだね?」
俺とデュークが頷く。
「そうか……そしたら、ボクの他にも、アクセル、エミリー、ルゥの3人にも声をかけなければならない」
「難しいのか?」
「ボクはこの1年、ずっとこの街で冒険者をやってきたんだ。他の3人の情報なんて知らないよ」
小人のミルは、可愛らしい瞳をこちらに向けながら、そっけない表情を見せた。
話を聞いてくれるところまでは良かったものの、もうこれ以上付き合うつもりはないということだ。
遠まわしにこちらの要望を拒否している。彼の仕草から、そんな意志を受けとることもできた。
デュークが今やっていることは同窓会のメンバーを全員集めるっていう難しいミッションだし、自分たちを解散に追いやったラスボスと手を組めと強制しているようなものだから……そもそも全員の同意を得るっていう時点で終わってるわけだ。
「それに、わざわざ1年前の勇者パーティメンバーにこだわる必要はあるのかい? 冒険者として生計を立てているボクはまだしも、他の3人はまったく別の道に進んだかもしれないんだよ」
「……」
ミルを前にすると、デュークはなかなか意見を述べることができない。
それはミルの言葉に説得力があるからで、言われた時点で納得してしまうからなのかも。
少なくとも俺は、ミルの言う通りなんじゃないかって思ってしまっている。
勇者パーティのメンバーにこだわらずとも、強い人間をさがして仲間にしてしまえばいい。
「――ダメだ」
嫌な沈黙が1分くらい続いただろうか。
その間ずっと考え込んでいたデュークがついに口を開いた。
「これは1年前のリベンジだ。オレたちでやる必要がある。オレたちでなくては――意味がない」
「その『オレたち』の中に、前回の敵が入っているのが面白いけどね」
笑いながら言うミルだったが、デュークの出した結論に満足しているような口調だった。




