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義理チョコキングと頑張り屋さん ~心優しい二人が寄り添っていく、幸せに包まれた半同棲生活~  作者: バランスやじろべー
第三章前編 恋の自覚

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第89話 教室での追及 ~蓮ver~

 以前に登場していますが、以下は蓮のクラスメイト(モブ)です。

・津田 信弘

・上川 武夫

・宮部 詩織

・真田 芹那

 二人揃って校門を越え昇降口へ。

 ここで二人はお別れだ。


「それじゃあな」


「はい。それでは先輩、失礼します」


 そう言って桜季は一年生の教室の方へと足を向けて去って行く。

 蓮も自分の教室へと向かい、足を踏み入れた。


「おはよー」


「お、ミッチー、おはよ」


「おはよう光井」


 中の良いクラスメイトと簡単に挨拶を交わしながら席へ向かう。

 鞄を机の上に置き、教科書やノートを移していると、そこへ数人のクラスメイトがやって来た。


「ミッチー、昨日の大会優勝したんだって?」


「おめでとーさん」


「お、ありがと」


 昨日行われた全国高校スイーツクリエイトグランプリの地区予選で蓮と凜が優勝したことは、既に知られているらしい。

 蓮と凜が昨日大会に参加することは皆知っているので、結果については凜が教えたのだろう。


「二年連続とか凄いな」


「ってことはまた全国だろ?」


「まあな。まだ先だけど」


 そんな雑談をしながら時間が過ぎていく。


「そうだ。お前、またあの子と一緒に来てたよな?」


「あん?」


 クラスメイトの信弘の言葉に、蓮は首を傾げる。

 すると同じくクラスメイトの武夫も同調するように蓮の肩に手を置いてきた。


「そうそう。ほら、あの部活の後輩ちゃんと一緒に来てたじゃねえかよ」


「そう言えばそうだったよねー」


「あ、やっぱり。後ろから見た感じそうなのかなーっ、って思ってたけど、やっぱそうだったんだー」


 クラスメイトの幾人かが同調するようにうんうんと頷く。


「まあな。途中で会ったからそのまま一緒に来た」


「えー、マジでー?」


「マジだ。それ以外に何があるってんだよ」


 クラスメイトの女子、詩織の言葉に平静を装いながら答える蓮。

 しかし、桜季への恋心を自覚した今となってはその質問に心が揺さぶられる。


「なんか仲良さそうだったじゃん」


「そりゃあ同じ部活同士だからな。そもそも仲良くなかったら途中で会ったからって一緒に来ないし」


「いやいや、そーゆーんじゃなくてさあ」


「うん。なんか凄い自然って言うかー」


「なんか光井も前より楽しそうだし」


 詩織の言葉に芹那も同調してくる。


(……そんなに違ったかな)


 蓮としては、むしろ緊張があった為、ぎこちないかと思ったのだが。

 最初は何を話せばいいかもわからず沈黙が続く。

 普段とは道が代わり、パン屋が目に入ってから普段の調子で話すことが出来た。

 とはいえ恋心が胸から消えたわけではなく、好きな相手と一緒に登校というシチュエーションに緊張は続いていた。


「……考えすぎだっての」


 教科書を片付けながら、不自然にならなように軽く流す。

 このままでは、いらぬ疑いを掛けられてしまいそうだ。

 いや、桜季のことが好きになった以上、いらぬ疑いでもないのだが。


「なんかさー、前とは違って付き合ってる風な雰囲気出てたんだよね」


 芹那の言葉に蓮はドキリと固まってしまう。

 この先、桜季と付き合いたいという思いはある。

 付き合っている、他人からそう見えていたのはそれはそれで嬉しい。


「だからそんなんじゃないって」


 そう、まだ付き合ってはいない。


(……そうなれたらいいって思ってるのはそうなんだけどな)


 そんなことを考えていると、教室に凜が入って来た。


「おはよー!」


「おう、おはよう」


「はよーっす」


「おはよー」


 蓮をはじめとしてクラスメイト達が凜へと返事を返す。

 そのまま蓮の前の席までやって来て、荷物を下ろし座りながら蓮の方を向く。


「おはよう、凜」


「おはよ。何話してたんだ?」


 凜が問いかけてくるが、一瞬答えられず返事に詰まる。


「いやー、ミッチーがさ、また家庭科部の子と一緒に登校して来たんだよ」


 武夫がそう言うと、凜は蓮にしか分からないようにニヤリと笑った。


「そっか。また途中で会ったのか?」


「ああ。まあな」


「ま、通学路一緒だしそういうこともあるか」


 何か含みを持った視線を向けられている気がするが、言及はしない。


「それよりお前は普通だな。オレは大会の疲れが残ってる」


 さりげなく話題を逸らしてくれる凜。

 蓮としても桜季の話題を続けると墓穴を掘りそうなので、それに乗ることにする。


「いや、おれも疲れてるけどな。移動も面倒だったし」


「だろ? オレも朝起きたら体がだるくてさあ」


「あ、峰岸も優勝おめでとー」


「おう、サンキューな。つってもほぼ蓮の手柄だけどよ」


 クラスメイト達が凜にもおめでとうと言う言葉を掛けていく。

 それを見ながら、蓮は胸に手を当てて一息ついた。

 次第に他のクラスメイト達も登校してきて、蓮と凜の周りから皆が離れて行く。


「凜、サンキュ」


 自分と凜の二人だけになったところで、蓮は凜に小さくお礼を言った。

 正直、あのまま話が続いていたら、どこかで顔に出ていた可能性が高い。

 とはいえ、既に目の前の親友には気付かれていそうだが。


「気にすんなって。そうだ、昼休み家庭科室で食わないか?」


「ん? 別にここでいいだろ?」


 そう言うと、凜は蓮の顔を見て意地悪く笑う。


「オレはここでもいいんだけどよ。お前の方は大丈夫なのか? 人に聞かれても」


「……………………」


 つまりは追及するということか。

 ごまかして無駄だし、教室内で話を進められるわけにもいかない。

 蓮に出来ることは凜の言葉に小さく頷くことだけ。


「よっしゃ、決まりだな」


 それを見て凜は満足そうに笑い蓮の肩を軽く叩く。


 キーンコーンカーンコーン


 教室内に予冷が響き久美子が教室に入って来ると、凜は体を戻し前を向く。

 蓮は一人、小さくため息を吐いた。


(ま、しょうがないか。それに、相談に乗って欲しいってのもあるしな)


 そんなことを考えながら、蓮は授業の準備を始めた。

 午前中の授業は、やはり身が入らなかったが。

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