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義理チョコキングと頑張り屋さん ~心優しい二人が寄り添っていく、幸せに包まれた半同棲生活~  作者: バランスやじろべー
第二章後編 お菓子を作る理由

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第75話 試験後のやり取り

 そして迎えた前期中間試験、蓮としてはいつも通りの手応え。

 次週に次々と返却されてくる解答用紙の点数も、おおむね予想通りの点数だった。

 クラスのそこかしこから聞こえてくる阿鼻叫喚を他人事として、凜と共に感想を言い合う。

 ちなみに凜の方も、いつも通りの高得点だ。

 更に次週、この日は順位と共に各学年の上位陣の名前が平均点と並べて貼り出されることとなっている。

 凜と共にそちらへ向かうと、二年生の最上段に表記されていたのは『光井 蓮』という名前だった。

 五期連続で主席の座を危なげなくキープだ。

 そしてその下には『峰岸 凜』の名前。

 嬉しいことに蓮と凜でワンツーフィニッシュが決まっている。

 二人で顔を見合わせにこりと笑い合い、軽く拳を合わせた。


「ナイス、蓮。今回もトップか」


「凜もな。二位返り咲きだろ」


 凜の方は毎度この順位ではないのだが、それでも毎回一桁順位を確保している。


「よう。二人共やっぱすげーな」


「平均点、前回よりも高くなってんじゃん」


 そんな二人に周囲の同学年の学生達から様々な声が掛けられる。


「ま、オレの方は蓮のおかげだけどな。試験対策今回も完璧だったし」


「そこまででもないだろ。元々お前は勉強出来るし、今回だって頑張ってたじゃねえかよ」


 そもそも凜は普段から勉強も頑張っている。

 決して一夜漬けではなく普段の積み重ねがあってのこの順位だ。

 蓮だけの功績ではなく、本人によるところが大部分だ。

 そんなことを言い合っていると、ふと他学年の声が耳に届く。


「わっ、トップ渡利さんだ」


「圧倒的ーっ」


 その声に一年生の方へと目を向けると、そこの最上段に表記されていたのは『渡利 桜季』の名前。

 蓮は思わず口元を緩めた。

 何しろあれだけ真面目に取り組んでいたのだ。

 この最高の結果が、自分のこと以上に嬉しく感じられる。


「一年の方は渡利がトップだな」


 蓮の肩に手を当てながらうんうんと頷く凜。


「ああ。それに白川も上位か」


「え? どこだ?」


「二十九位」


「んー……あっ、そこか」


 蓮が指し示した先を見た凜が驚いたように目を丸くする。

 蓮達の順位に比べれば低いのだが、それでも全体で考えれば充分に上位と言って差し支えない。

 勉強会を開いた甲斐もあったものだ。


「そろそろ行くか」


「そうだな。人数集まってきたし」


 徐々に人だかりも出来て来たので、二人で教室へと戻って行く。



 ✿



 昼休み。

 昼食を食べ終えると蓮と凜のスマホがメッセージの着信を知らせて来た。

 蓮と凜、それに桜季と美鈴のグループメッセージに美鈴からメッセージが届いている。

 凜との会話を中断しメッセージを確認。


『蓮さん 凜さん 試験結果確認した?』


 蓮は凜と顔を見合わせる。


「テンション高いなあ」


「順位見てすぐに送りたかったんだろうな」


 二人で苦笑しながら、蓮は簡単にメッセージを返す。


『二人で朝の内に確認した』


 そう打ち返すと、間髪入れずに美鈴からの新たなメッセージが表示される。


『サッキーも二人も凄い! あと聞いて! アタシ、二十九位だった! 勉強教えてくれてありがとね!』


『お二人共おめでとうございます それと、ありがとうございました』


 おまけで二人から感謝を示すスタンプがセットで送られてくる。

 画面を見た蓮と凜は、思わず顔を見合わせて笑ってしまう。


「二人らしいな」


「ああ。嬉しそうなのが文字だけで伝わって来る」


 直後、更にポンポンとメッセージが送られてきた音。

 美鈴からは嬉しそうな、桜季からは動物が頭を下げているスタンプが送られてきた。

 対照的で、本人達らしいスタンプに思わず吹き出してしまう。

 蓮は少し考えてからメッセージを入力した。


『二人ともお疲れ 勉強会で頑張ってた成果がちゃんと出たな』


 送信すると、凜も続けて文章を打ち込む。


『オレからもおめでとう 特に美鈴、次は二十位以内も充分狙えると思うぞ』


 その言葉に美鈴からすぐ返信が返ってきた。


『マジ!? じゃあ次の目標それにする!』


 ほとんど勢いだけで打ったような文章に、蓮と凜はまた顔を見合わせる。


「目標が決まるのは早いな」


「まあ、それくらいの方が美鈴らしいな」


 すると今度は桜季からのメッセージが送られてくる。


『わたしも次回は今回以上の点数を目指します』


 その一文を見た蓮は、自然と口元を緩めた。

 主席という結果に満足することなく、更に前を見ている。


『こっちも油断しないようにするよ。次もみんなで頑張ろう』


 四人の画面に既読が並び、美鈴からは拳を突き上げるキャラクターのスタンプが送られてきた。

 穏やかなやり取りを見届けた凜が、机に肘をつきながら笑う。


「結局、次のテスト前もまた勉強会だな」


「そうだな。相乗効果でいい結果が出てる」


 二人でそう言って笑い合う。

 そして蓮は桜季と二人のメッセージ画面を開き、そこにゆっくりと文字を打ち込んでいく。


『改めて主席おめでとう 琴乃の方も良かったし今日の夕食はお祝いにするか?』


 中学生の琴乃は三学期制なので、一学期の中間試験は既に終わっている。

 テスト前は、昨年まで同じ中学校に通っていた蓮の過去問や試験傾向を使って勉強を教えていたので、それもあって好成績を収めていた。

 するとすぐに桜季からメッセージが返ってくる。


『ありがとうございます 夕食、楽しみです』


『エクラ・デュ・マタンでケーキ買って帰るか』


『いいですね あそこのケーキ とても美味しいですから』


『食べたいケーキはあるか?』


 するとそこでメッセージのやり取りが一旦途切れた。

 既読の文字が付いたまま画面が制止する。

 少しして桜季からメッセージの続きが送られてきた。


『悩みます どれも美味しいので』


『店に行ってからか』


『はい 蓮さんと一緒に選ぶのも楽しみです』


 その一文に、蓮は思わず笑ってしまう。

 食べるだけではなく選ぶことまで。

 自分とのやり取りを楽しいと思ってくれることがなんだか嬉しい。


『悩みすぎて帰りが遅くなったら琴乃が怒りそうだな』


 そんな軽口を送る。

 すると、すぐに返事が返ってきた。


『その時は蓮さんが決めてください』


『責任重大だな』


『大丈夫です 蓮さんが選んでくださるなら外れませんから』


 あまりにも迷いのない言葉に、蓮は苦笑しながら画面を見つめる。


『そこまで期待されると緊張する』


『一つずつ違うケーキを選んで三人で交換しましょう』


『いいな 楽しみが三倍だ』


 その後、嬉しそうに笑うウサギのスタンプが一つ添えられていた。

 おそらく今の桜季も、このスタンプのように穏やかに微笑んでいるのだろう。

 蓮も自然と口元を緩め、最後に一通だけ送った。


『放課後 楽しみにしてる』


『はい いつもの場所で待ち合せですね』


 たったそれだけのやり取りだったが、放課後の時間が待ち遠しく感じられた。

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