↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄紛いと脳筋魔道士  作者: code778
3/4

魔法の練習、ついでに遭遇

この話から脳筋の方の話の書き方変えます。


列車を襲った謎のモンスターを消し飛ばした数分後、ゴツい鎧を着た国の兵士の人達が来てくれたお陰で、一先ず最寄りの駅に辿り着く事が出来た。


私は駅に辿り着くと、乗客だった人達から感謝された。中には号泣しながらお礼を言う人や、礼ついでにナンパしてくる男が居たりしてちょっと大変だった。


兵士の人達にも事情を説明し、何やら険しい顔で話し合って、「感謝する」とだけ告げて何処かへ行ってしまった。


因みに列車は暫く運行見合わせらしく、私は適当に街で時間を潰すことにした。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




どうやら私が辿り着いた街は、中央都市【フレイエス】ってとこらしい。

都市の中央には、雲の上まである巨大な塔がそびえ立っていて、どうやら内部が言わゆるダンジョンになっているらしい。


私は近くにあった屋台のおじさんに、その辺の事と、街の中央に聳え立つ塔について聞いていた。


「新入りの嬢ちゃん、あの塔を見るのは初めてかい?

あの塔は何万年も前に現れたっつー古代遺跡、ダンジョンって呼ばれるもののうちの1つの『天の塔』だ。

中は200の階層が存在していて、最上階の主に会えば、天を統べる力が手に入るって伝説がある。

だが、入るなら気をつけろよ、あの塔には人を平気で食う化け物がうようよいるからな」


何故新入りと分かったのかは疑問だけど、私は質問を続ける。


「そんなものが街の中央にあるのに、中のモンs─じゃない、化け物が出てきたりしないんですか?」

「それは問題ないぜ。5年前から、あの塔の1階層はもう化け物が現れなくなっているんだ、この国の英雄のお陰でな」


英雄。

実にいい響きだ。私も1度はそう呼ばれたい。


「英雄?」

「英雄って呼んでるやつはかなり少数だけどな。

まぁ他のやってる事が罪人そのものだから、主に"紛い物"とか、"英雄紛い"って呼ばれてる」


どうやらこの国の英雄と呼ばれている人はワケありの人らしい。仲間にできたりしないかな。


「色々教えてくれてありがとー!」

「おう!困ったらまた来な!」


私はおじさんにお礼を言いつつ、塔目掛けて走る。


優しい人で良かった。というかこの国の人達は皆新入りには優しいのかもしれない。門番の人も優しかったし。


私は走る速度を上げて塔に向かう。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






塔の中には、鎧や剣を身に付けたオッサンばかりかと思ったら、そうでもなかった。

傷薬や内部の地図なんかを売る商人や、お宝のオークションをしている者、数十分前に見た兵士と同じ鎧を纏った集団等。


私はそれらを一通り見て回った。

販売されているマップを見る限り、どうやら現在判明しているのは78層までらしい。

値札に書いてある金額は銀貨40枚と書かれて──



その時私はこの世界に来てから通貨に一切触れていないことに気づいた。

列車も無料で乗せてもらえたし、住民登録も手数料は掛からなかった。


そして私は、この世界に来て1度も字を書いていない。

見たことも無い字であるにも関わらず、何が書いてあるかという意味だけが分かる。


言葉に表せない様な不快感が、濁流の様に流れ込んでくる。


私はその不快感を何とか抑えて、2階層への階段を駆け上がった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




2階層は生い茂った森になっていた。

そして室内であるにも関わらず太陽が見えていて、見たことの無い鳥や虫が飛び回っていた。

まるで、いつも思い描いてたファンタジー世界のようだ。


「本当に、現実じゃありえないよ、こんなの──楽しみすぎる!」


先程の不快感が一瞬にして掻き消えた。

本当に、転生できて良かったと心の底から思った。

欲を言えば本当に0歳とかからやり直したかったけれど、今この瞬間からどうでもいいと思える程、私は感激していた。


夢にまで見た、ゲームの中にしか存在しえなかった非現実に触れている。

それに実感できた私は、ゲーマーとしてのスイッチが入った。


私は森の奥に進み、広い場所を探した。

魔法を派手に使用しても他人に被害が出ないような場所が理想だ。


しばらく進むと、1本の大木を中心に開けた場所を見つけた。

ここなら丁度いいだろう。

私は大木の根元まで近づくと、大木の枝から巨大な蜘蛛に似た怪物が3匹ほど降ってきた。

本当は大木に魔法をぶつけようと思っていたのだが、動く的でもいいだろう。


「んじゃ、実験始めますかね」


私はあの列車を襲ってきたモンスターと対峙した時と同様に、モンスターに掌を向ける。


だが、特に何も起こらない。 あの時の力が溢れてくる感覚は無い。


額に嫌な汗が流れる。

蜘蛛共はゆっくりとこちらに近づいてくる。その距離が縮まっていくにつれて、心拍数が早まる。

私との距離が15メートルくらいになった所で、蜘蛛共は一斉に私に飛び掛ってきた。


その時、正確には私と蜘蛛共との距離が10メートル程になった時に、列車の時と同様に力が溢れてくる様な感覚が全身を駆け巡った。


(これなら行ける!)


私は襲い掛かって来ている蜘蛛共に掌を向けた時、唖然とした。


私の目の前には、飛び掛って来ている蜘蛛共がいるが、襲い掛かって来る速度が異様に遅いのだ。


私は正面から飛び掛って来ている蜘蛛に近づいてみるが、蜘蛛は依然としてスローモーションの様に鈍重に進んでいる。


私は蜘蛛共の背後に回って、ファイアで消し飛ばす。

3匹全部を消し飛ばすと、先程までの力の感覚が徐々に消えていった。


その後も何度か蜘蛛に襲われたが、同様にして消し飛ばしていった。


その後も何度か実験した結果、どうやら私が魔法を使用できるのは10m以内にモンスターが接近した時だけらしい。魔法のメリットであるリーチがこれではほぼ無意味だ──


──と、考えるのが普通のゲーマーなのだが、私としては大歓迎だ。

話は変わるが、私が前の世界でプロにまでなったファンタジー系ゲームで私は、『超近距離魔法連射』という脳筋極まりないプレイスタイルを続けていたので、正直この10m以内でしか魔法の使用が出来ないという制約はそこまで苦になりそうはない。

無論、ゲームと現実では感覚が違うのだろうけど、慣れているこのスタイルの方が不安は和らぐだろう。


次に、使える魔法の種類だが、今の所は『ファイア』だけで良さそうだ。

一応他に出来ないかは試した結果、使用できたのは、一直線に炎の槍を射出する『ファイア・アロー』、ファイア・アローを射出せずに振り回す『ファイア・ブレード』、炎の塊を大砲の様に飛ばす『ファイア・メテオ』の3種だった。

名前がダサいので早急に変えたい気持ちはあるが、これは街に戻った時でいいだろう。


魔法の使い方自体は簡単だった。

なんと、使用したい魔法の形を思い浮かべるだけでいいという。正直拍子抜けというか、若干つまらない。

個人的にかっこいい詠唱とか用意してたのに。


粗方実験し終えたので、私はひたすら階段を探して駆け上がっていくという作業を続けていた。遭遇したモンスター共は大体が魔法で一撃、耐えるやつでも3回で消せた。



そうしているうちに、私は80階層まで登った。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




40階層あたりから、もう人を見ることは無くなった。案外この世界の人間は強くないらしい。


私が強すぎるという可能性も否定は出来ないが。てか絶対私が強すぎるせいだわこれ。


「なーんか呆気ないな〜」


私は独り言を呟きながら、80階層を駆ける。

この世界に来てから、元の世界では引きこもり歴3年のベテランニートの私は、自宅から20m圏内のコンビニとゲームショップまでが活動範囲だったのだ。

運動能力は小学生にも負ける自信があったのに、今は4時間走っても少し息が上がる程度にしか疲れていない。

これも転生した恩恵だろうか。


80階層は遺跡の階層だった。

石造りの建造物が建ち並んでいて、建物からは蜥蜴人間(リザードマン)が湧いていた。


人型のモンスターはあまり殺す気が起きないため、逃走か手足だけを焼いて行動不能にだけして先に進む。


しばらく進むと大通り出た。

そして大通りに出る直前、全身に魔法を使用出来る時に来る感覚が来た。


その大通りは、床一帯が赤紫色の液体に染まっていた。

その液体は生臭く、鉄のような匂いがしていた。


要するに、大通りには血の海になっていた。


胃の中の物が逆流してくるのを何とか堪え、血の海を進んでいると、今度は先程見た蜥蜴人間達が、バラバラの死体となって通りを埋めつくしていた。

私の足元にある首だけになった蜥蜴人間の目には、僅かに生気が残っていて、首の断面が僅かに脈動していて、生首の眼球がこちらにゆっくりと動き──


(もう、限界・・・)


私は嘔吐した。




少し落ち着いてきた所で、死体を確認する。

切り口を見ると、まるで包丁でも使ったかのように、綺麗に分断されていた。

死体の形は様々で、肩から脇腹に掛けて一太刀で分断されていたり、偶に頭から股に掛けて両断されていたりしていた。


剣の腕はかなりのものだが、明らかに過剰殺戮の死体が多い。

これをやった者はこのモンスター達に恨みでもあったのだろうか。


死体を見て考察していると、微かにキンッという、金属音が聞こえた。

その音は、死体で埋め尽くされている方向から聞こえてきた。

恐らく、この死体だらけの通りを作った者だろう。


私は、死体を炎で焼きながら進む。

埋葬までは出来ないが、火葬くらいはしてやりたかった。


なによりこの死体を踏むことに、かなりの罪悪感があったから。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





大通りの先には巨大な洞窟があった。蜥蜴人間共の死体の山は、洞窟の奥へと続いていた。


奥に進むにつれて、金属音は大きくなっていくものの、一向にその音源は見えない。



十数分程洞窟を歩いていると、ようやく音の発信源を発見した。

そこでは、夥しい程の大量の蜥蜴人間の群れが、1人の男に襲い掛かっていた。

男は銀に輝くの剣を絶えず振るい、蜥蜴人間共を殺していく。

その顔に笑みはあるものの、着実に身体中に傷が増えていっている。あのままではいずれ力尽きるだろう。



そんなことはさせない、させたくない。


もう、二度と。



覚えのない声に、体が動けと命令してくる。

私は掌を天井に向け、大きく深呼吸をし、魔法をイメージする。


イメージは小さい太陽。

属性は火。

着弾後はモンスターだけを飲み込んで爆発はさせない。


魔法のイメージに連れて、私の頭上に蒼炎の球体が生成されていく。


刹那、頭に意識が飛びそうになる程の激痛が走った。私は下唇を噛んでなんとか意識を保つ。

魔法の生成が終わると、視界に薄く長い文章が並ぶ。

私はそれを全ては読み上げず、最下部に綴られた魔法名を叫ぶ。


「炎獄界(ヘルヘイム)之片鱗(・フラグメント)!」


叫ぶと同時に、掌に生成されていた蒼い炎球は一際膨張し、炎の輪を帯びた。


私はその炎球を、群れの方向に射出した。


炎球は一直線に飛んで行き、群れの端の蜥蜴人間に触れた瞬間、群れの全てを瞬く間に飲み込み、焼き尽くした。


群れと戦っていた男は、向かってきた魔法を視認した刹那、蜥蜴人間を踏み台に跳躍して離脱し、魔法から逃れていた。



数秒後、徐々に消えつつある炎を凝視している男に話しかける。


「ちょっと君、大丈夫?」


私は傷だらけの男に問いかけると、此方と目が合った。

残留している蒼炎が、薄く男の顔を照らす。


顔立ちは私と同じくらいの幼い顔立ちで、瞳には光が感じられない虚ろな目をしていた

鎧は身に付けておらず、簡素な鉄の胸当てしか防具と呼べるような物を身に付けていなかった。


(この人、どこかで・・・)


何故か、そんな思考が頭を過ぎった。が、その思考は彼の一言で掻き消された。


「お前に心配される筋合いは無い」


カチンときた。

ほぼ満身創痍で剣を振っていたくせに、助けて貰った恩人に対して「心配される筋合いは無い」だと?さては世の中舐めてるなこのクソガキ。


別に、恩を着せるために助けた訳ではない。

だが、人は助け合って生きるものだ。それを分かっていない世間知らずに少し説教をしてやるだけだ。


「まったく、恩人に対してソレはないんじゃないの?私が助けてなかったらアンタは今頃化け物共の餌よ?もっと感謝して欲しいわね」


言った後に「何言ってんだこいつ」と自分でも思った。意外と私は自分が思っていた以上にキレていたらしい。

思わず口から出てしまった言葉なのでそのまま続ける。


「大体、私と同じ年くらいの子供のくせに───ってちょっ、何を?!」


言葉を並べていると、急に視界が90度変わった。どうやら持ち上げられたようだ。


「こんのっ、離せっ!というか降ろせぇ!」


男の力は思った以上に強く、ただ手足をじたばたさせることしかできない。

私は数秒程みっともなく暴れていると、後ろから硝子の砕けた様な音がした。

振り返って見ると、青い光の輪がそこにあった。

その輪の中には、塔の前の広場が見えた。


嫌な予感がする。と思った時には既に遅く、私は青い輪の中に放り込まれた。










投稿遅れて本っっっ当にすみませんでした

まだ続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。