表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷血の皇帝は俺の料理を手放せない ~追放された料理人ですが、幼い日に救った少女が皇帝になっていて離してくれません~   作者: ジモンヌ
第4章 帝国料理人と、選び直す王女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/53

第52話 王女の選択

 翌朝。


 エリアーヌの旅支度から、靴が三足消えた。


「重い」


 ミアが言った。


 床には、宝石のついた王女用の長靴が並んでいる。


 一番軽そうなものでも、ミアが片手で持つと腕が下がった。


「式典用ですから」


 侍女が困ったように答える。


「国境まで歩くの?」


「馬車です」


「降りたら?」


「殿下は正式な場では」


「歩くよ」


 ミアは真顔だった。


 エリアーヌが口元を押さえる。


「笑いました?」


「少し」


 侍女が驚いて王女を見る。


 エリアーヌは三足を見比べた。


「市場へ出る時のような、歩ける靴を」


「殿下、ですが、それでは装飾が……」


「歩けます」


「ですが」


 言葉が止まる。


 エリアーヌは待った。



「交渉の席では正式靴を履きます」


 自分で続ける。


「移動中は、歩ける方を選びます」


 侍女が一礼した。


「承知しました」


 ミアが一番軽い靴を袋へ入れた。


「これなら走れる」


「走りません」


「逃げる時」


「……それは必要ですね」


 二人とも真剣だった。


 隣室では、ドロテアが薬の時間表を広げていた。


「朝の安定薬は中止を継続します。急に全量を抜く方が危険ですから、残りは段階的に減らす」


「交渉当日は?」


 エリアーヌが尋ねる。


「眠気の出る薬は前夜だけ。朝は使わない方がよいと考えます」


「考えます、ですか」


「最終的に選ぶのは殿下です」


 ドロテアは薬包を二つ並べた。


「ただし、医師として勧める方には印をつけます」


 エリアーヌは少し考え、印のある方を取った。


「こちらにします」


「理由を聞いても?」


「交渉中に眠くなる方が困るから」


「記録します」


 レオンは外交資料を持ってきた。


 共同備蓄庫の候補地。


 街道の通行税。


 穀物不足時の輸送量。


「殿下がお出になるなら、発言順をこちらで」


「レオン」


 エリアーヌが止める。


「はい」


「順番は相談したいです」


 一瞬、彼の指が手袋へ動く。


「……失礼しました」


 椅子を一つ増やした。


「では、どこからお話しになりますか」


 夕方までに、王女自身の言葉で説明する部分が決まった。


 体調。


 婚姻延期の希望。


 代わりに負う責任。


 国境へ持っていく料理は、タクミたちが別室で確認した。


 刺激の少ない粥の材料。


 保存パン。


 水。


 薬との時間を記録する札。


「タクミも一緒に来てもらえますか」


 エリアーヌが尋ねる。


「食事のためなら」


「お願いします」


 ちょうどその時、扉が開いた。


 シィルヴィアが立っていた。


「陛下」


 タクミが振り返る。


「王女様の食事を見るので、僕も国境へ行くことになりました」


「……そう」


 返事は短い。


「明日です」


「知ってる」


 シィルヴィアはエリアーヌへ一礼した。


「必要な同行だと思います」


 エリアーヌが言う。


「そう」


 今度は、もっと短かった。


 リディが後ろからシィルヴィアを見た。


 手に持っていた旅程表を一枚増やした。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


今日の一皿はいかがでしたでしょうか。


少しでも楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価、感想で応援していただけると、とても励みになります。


また次の一皿で、お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ