第10話:答え
「どうして、国の存在を認めさせようとしているんですか?」
薄い赤色の髪の女性が言う。
紺色のスーツを着ている。
海岸を赤い夕日が染めている。
「あの島には、恋人がいた」
男は、海を眺める。
「一生を共にするつもりだった」
男は、石を海面に投げる。
石は、二回弾んで海に沈んでいった。
「信じられない…。
あの国が存在したと証明できれば」
彼は、息を吐いた。
「いつものように帰ってくる気がするんだ」
女性は、赤色の瞳を伏せた。
海岸を歩いて男から離れて行く。
男は、その後ろ姿をずっと眺めていた。
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マヒルは、ソフィアの病室の前で夜を明かした。
昔、父に聞いたあの言葉を思い出す。
「どうしてそんなに頑張るの?」
「マヒル、わたしはね、マヒルのことが本当に大切なんだよ。
もちろん、母さんのこともだ」
父は、少し笑った。
「この国の人たちも、本当に大切で、みんなのことを愛しているんだよ。
だから、頑張れるんだ」
その時は、よく分からなかった。
でも今なら、なんとなく分かる気がした。
朝になって、ローズがソフィアの病室の前に現れた。
マヒルは、病室の扉を見たまま話す。
「あたしは、他のことなどどうだってよかった。
ただ、島のことを知れたらよかった」
「ええ」
ローズが答える。
「父さん、母さんの仇がわかれば良かった」
「そうですわね」
「あのとき、あの男の言葉をそのまま信じれば楽になれると思った」
「ええ」
「でも、それじゃいけない」
ローズは、マヒルの隣に座る。
「だから、決めたわ」
マヒルは、天井を見た。
「あたしは、ここに残る…」
ローズは、ただ聞いている。
「ここに残って、向き合うわ」
両手を握りしめる。
「あんたが、昨日言ったことがどういうことかまだ、分からない」
深く息を吸った。
「このままじゃ、あたしが何をしなければいけないか、わからない…」
少し黙る。
「生き残った意味がなんなのかもわからない」
「そうですのね…」
「ここにいれば、それが何なのかわかる気がする」
「わかりましたわ。それが、今のあなたの答えなのですね」
「ええ、そうよ」
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病室の中。
ベッドの上。
ソフィアは、ゆっくりと目を開けた…。




