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第10話:答え


「どうして、国の存在を認めさせようとしているんですか?」


薄い赤色の髪の女性が言う。

紺色のスーツを着ている。


海岸を赤い夕日が染めている。


「あの島には、恋人がいた」


男は、海を眺める。


「一生を共にするつもりだった」


男は、石を海面に投げる。

石は、二回弾んで海に沈んでいった。


「信じられない…。

 あの国が存在したと証明できれば」


彼は、息を吐いた。


「いつものように帰ってくる気がするんだ」


女性は、赤色の瞳を伏せた。

海岸を歩いて男から離れて行く。



男は、その後ろ姿をずっと眺めていた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




マヒルは、ソフィアの病室の前で夜を明かした。



昔、父に聞いたあの言葉を思い出す。

「どうしてそんなに頑張るの?」


「マヒル、わたしはね、マヒルのことが本当に大切なんだよ。

もちろん、母さんのこともだ」

父は、少し笑った。


「この国の人たちも、本当に大切で、みんなのことを愛しているんだよ。

だから、頑張れるんだ」


その時は、よく分からなかった。


でも今なら、なんとなく分かる気がした。


 




朝になって、ローズがソフィアの病室の前に現れた。


マヒルは、病室の扉を見たまま話す。


「あたしは、他のことなどどうだってよかった。

 ただ、島のことを知れたらよかった」


「ええ」

ローズが答える。


「父さん、母さんの仇がわかれば良かった」


「そうですわね」


「あのとき、あの男の言葉をそのまま信じれば楽になれると思った」


「ええ」


「でも、それじゃいけない」


ローズは、マヒルの隣に座る。


「だから、決めたわ」


マヒルは、天井を見た。


「あたしは、ここに残る…」


ローズは、ただ聞いている。


「ここに残って、向き合うわ」


両手を握りしめる。


「あんたが、昨日言ったことがどういうことかまだ、分からない」


深く息を吸った。


「このままじゃ、あたしが何をしなければいけないか、わからない…」


少し黙る。


「生き残った意味がなんなのかもわからない」


「そうですのね…」


「ここにいれば、それが何なのかわかる気がする」


「わかりましたわ。それが、今のあなたの答えなのですね」


「ええ、そうよ」



――――――――――――――――――――――



病室の中。


ベッドの上。


ソフィアは、ゆっくりと目を開けた…。





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