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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.05 あなたに近づく夏
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3-1.七星が天使


あの花火の日から4日後

七星が帰って来た。


帰って来て1日後、連日恋愛ゲームで現実逃避をしていた僕の部屋に七星が押しかけて来た。


妹が余計な計らいをし、僕の部屋へ七星の侵入を許してしまったのだ。



七星は僕の勉強机の椅子に座って、机を見ながら、僕はベッドで横になって壁を見ながら、会話をしている。


会話、というか、七星からの説教のような、諭(さと)しを僕は聞いていた。


七星は加代子さんから、この夏の一連の話を聞いたそうだ。



「カヨちゃんにも言った。カラダとか、安売りしちゃダメだって」



七星から改めて、加代子さんが僕を好きであることを聞いた。そして加代子さんが焦って僕に色仕掛けをして、近づこうとしたことも聞いたのだと言う。

加代子さんはその気になれば、キスの先も辞さない構えだったという。僕もそうだった。



「アンタさ、たぶん、色々整理ついてないよ」


無言の僕。


「ラブアシスト制度の欠点ね。アンタ、ちょっと恋愛に対して、キャパオーバーしてるんだよ」



キャパオーバー?



「高嶺さんとか、カヨちゃんとか、私とか」



私とか?




「たぶん、今までの生き方とガラリと変わっちゃって、色々整理がついてないの」



僕は考える。


恋愛ゲーム。


恋愛ゲームは、決められた道(ルート)が複数存在するだけだ。多くても100。いや、それ以上あるかもしれない。

好きな場面をセーブし、ロードする。

好きなタイミングでボタンを押し、テキストを送る。聞き逃した会話を読み直せる。


じゃあ、いま僕が生きていて直面する恋愛はどうだろう。



決められた道などなく、挙動、発言のひとつひとつが分かれ道となる。そう考えれば、天文学的な数字の生き方、恋愛の仕方があるのだ。

セーブやロードなどないし、テキストをじっくり読む、なんて事はない。矢継ぎ早に過ぎる時間に、ただ、行動しなくてはならない。



改めて僕は思う。



恋愛って、どうしてこんなに難しいのだろう。




「しばらく、考えたくない」

僕は壁に向かって喋る。


「それもいいかもよ」

七星も机に向かって喋る。


「僕は最低だ」

「私には、最低だとか最高だとか、よく分からないけど」


無言の僕。壁の模様が、よく見れば迷路みたいで、それをなぞる。



「ま。人間ってカンジで羨ましいよ」


七星が言う。

僕にはその言葉が、とても悲しく聞こえた。

僕は七星が天使じゃなかったら良いなって、思うことが多々ある。


七星も、本当は人間になりたいのかな、と僕は思った。



「こういう時は、気分転換だよ。ゲームばっかりしてないで、水族館にでも行こうよ」



「え?」


「いいじゃん。ダメ?」


「い、行く」



僕はベッドから起き上がり、七星を見る。



久しぶりの七星は、可愛いし、夏の服はおっぱいを強調しているではないか!



おっぱい!!!!!




いや、今はおっぱいではない!



とにかく僕はカッコいいと思う服に着替えて、七星と家を出る。




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