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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.05 あなたに近づく夏
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2-5.質問


別荘から少し離れた場所で僕らは花火を始めた。

よくある花火セットを4人で自由に分けて、自由に火をつけて、自由にはしゃぐ夜。


大人もいない。

夏の暑さも感じない。

虫除けスプレーが僕らを虫から守り、世界で僕らだけが自由に思えた。


炎色反応の話を茂木がしているが、誰も聞いていない。



花火の美しさを語るのに、化学の知識が必要だろうか、と僕は思った。



高嶺さんの美しさや、加代子さんの可愛さをDNAレベルで解説する必要はないはずだ。


茂木よ、そんな野暮なことを言うからモテないのだ!



僕は茂木に、花火を向けて近づいた。



「おいっ!危ないだろ!」


危ない事は重々承知である。

たぶん、昔の僕ならこんな事は絶対にしなかった。

なぜだろう、なぜか僕はそんな事をして、笑っていた。


笑っていると、今度は加代子さんが僕に花火を向けてくる。あっ危ない!



「皆さん、人に向けてはいけませんよ」

僕らを制する高嶺さん。


って、高嶺さんまで僕に花火を向けている!

危ないじゃないか!


そんな可笑しさに、僕らは幸せを感じていた。

こんな夏を過ごせるなんて、僕は思ってもいなかった。



「ハカセ、ちょっと」


加代子さんが僕を呼ぶ。

何故か知らぬ間に、高嶺さんと茂木のいる場所から少し離れた。



2人の手持ちの花火がシュババと音を立てている。






「私たち、付き合ってるのかな?」








僕はひどく動揺した。

さっきまで、加代子さんが一輪の花であると考えていた僕だが、なぜか、すぐに答えが出て来ない。


何故だろう、誰かとお付き合いするのが初めてだからなのか。


いや、違う。




なぜか僕は、遠くにいる高嶺さんと茂木を見て、




茂木に嫉妬していた。





茂木ごときが、高嶺さんとキャッキャウフフしているのだ!

許せるものか!



とにかく、目の前の加代子さんに、何か言わなければ・・・加代子さん!?




暗がりの中、花火の明かりで加代子さんの表情が見える。




泣いている。




僕はその涙の意味がよく分からない。

まだ何も言ってないのに、どうして泣くんだろう、加代子さん。

僕はどうすれば良いんだろう、何の声をかけてあげれば良いのであろう。


「どうして、泣いているの?」


僕は聞いてみる。


「質問を質問で返さないでよ」


何も答えられない僕の目の前に、茂木が飛ばしたロケット花火が近づいてくる。



「悪い悪いー!そっちで何やってんだよー!」

僕は茂木に助けられた。



僕は加代子さんを置いて、茂木の方へ向かう。



もう、何も考えたくなかった。



そこからは、気が気ではないまま、何も覚えていない。


無言の部屋で茂木と一夜を過ごし、朝方に合流した坂山さんの車に乗った。

加代子さんは僕の手を握っていない。



気が付けば、家に着いていた。

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