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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.05 あなたに近づく夏
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2-4.一輪


高嶺家別荘、そのベランダにてバーベキュー。

というより焼肉。排煙ダクトが強力で、煙をみるみるうちに吸い込むのでバベキュー感は無いと思う。


僕の隣に茂木が座り、網を隔てて向かい側には加代子さんと高嶺さん。


坂山さんが急用でとんぼ帰りした中、僕ら4人は取り残されたまま、バーベキューを始めた。


おそろしく会話が少ない。

それが恐ろしい。

肉の味や、好きな食べ物など、

どうでもいい会話ばかりだ。


それにしても、肉を丁寧に頬張る高嶺さんは可愛い。


やはり、可愛い。


いやいや、隣の加代子さんも負けていない。違うベクトルの可愛さがある。




ああ、僕はそんな加代子さんとキスをしたのか。


正直僕はそれで頭が一杯だった。

未遂におわったが、キスのその先だって、やろうと思えば出来るのである。

僕はインターネットでその先の事を調べ上げ、準備は出来ているつもりだ。


隣の茂木を見る。雑に肉を頬張る茂木。

ふっふっふ。。。

茂木よ。。。

お前が一段とガキに見えるぜ。。。



「実は、花火も用意してました」

高嶺さんが話題を変える。



「すてき」

加代子さんが答える。

夏休みに、男女で花火!!!

僕の人生は、アニメ鑑賞とカードのデッキ構築で浪費していた時代を抜け、今、表舞台に立っている!!!

それに、お、おにゃのことキスもしたのだ!



「花火楽しみだなー!」

僕も応える。



「夏休みも中盤だけど、最高の思い出が出来た!」

茂木が語る。まだ花火をやっていないぞ。



そうか、夏休み中盤。

あれ、来週には七星が研修を終えて帰ってくるではないか。


僕は加代子さんとのキスを経て、もはや自信がついていた。

タイムリープなど、ラブアシストなど、要らないのかもしれない。


七星とは恋仲にはなれないし、高嶺さんは未だよく分からないし、そうなれば、僕に好意を持つ加代子さんしかいない。


幼馴染の可愛い子とゴールインの人生も悪くないじゃないか、僕。


高嶺の花より、身近に咲く綺麗な一輪の花に、何故僕は気づかなかったんだ!


焼肉だってそうだ!

高いお肉もいいけど、安い肉をたくさん食べるのもアリじゃないか!


僕は肉食獣だ!!!!





一通り、焼肉を終えて、だらだらしよう、という事になった。


僕と茂木、加代子さんと高嶺さんは別々の部屋で、ちょっとだけ休む事になった。

気が付けば16時。


隣の部屋ではガールズトークが繰り広げられているかもしれないが、僕と茂木はカードゲームで盛り上がっていた。



「なぁ、加代子ちゃんの事、どう思ってるんだよ」

茂木が語り始めた。


「なんだよ急に」

僕は手札のカードを眺める。


「いい事教えてやるよ」

「なんだよ」




「お前ら、両想いだぞ」




そ、そうだった、茂木には、対人関係が見える力があるのだ。



「ふ、ふ〜ん」

確信が確証に変わり、僕は慌てていた。

これはつまり、アレもアレ出来るではないか!



「茂木は誰が好きなんだよ」

僕は聞いてみる。



「教えねーよ」

切り札を出して来た。


僕はゲームに負ける。



「なんだよー」


茂木のことだから、高嶺さんが好きに違いない。だからこそわざわざ、僕と加代子さんが両想いである事を伝えてきたのだ。


もう、好きにしたまえ茂木くん!

僕は安い肉を楽しむ!

君は手に入らない肉を求め続けるのだ!





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