1-4.2年前、夏。
2年前、夏。
まだ僕が中学生だった頃。
クラスは音楽やドラマの話で盛り上がっていたり、受験や進学を意識していた頃。
相変わらず、クラスの隅っこで似たような友達とロボットアニメの話題で盛り上がっていた頃。
最前列の席の僕の、3つ後ろの席に彼女はいた。
藍田加代子さん。
僕の家の斜め前の、加津代食堂の子だ。
「ネクラのカヨコ」
これが彼女につけられた名前だった。
まぶた付近まで伸びた前髪、サラサラだけど、毛量の多い黒髪。一昔前を思わせるメガネで無口。
これだけで、除け者の対象にされていた。
僕は、どこか自分に似ていると思っていた。
だからこそ、
手を差し伸べる事が出来なかった。
僕は僕の保身に精一杯だった。
昔の嫌な思い出を振り返っていると
七星からメールが届いた。
ーカヨちゃんの事で悩んでるの?ー
そうだ。解決していない事がある。
加津代食堂には七星が住んでいるが、加代子さんは戻ってきたのだろうか。
そうなれば必然的に七星と加代子さんは知り合い関係にあるはずだ。
今も同じ部屋にいるかもしれない。
というか、七星、なぜそれを言わない!
それに、メールの文面にカヨちゃんって書いてあるじゃないか!
もう仲良しじゃないか!
ー加代子さんの事、知ってるの?ー
と僕は返信した。
ーうん。でも私が天使である事は知らないよ。ー
ーそうなんだ。一緒に住んでるの?ー
ーうん。今日からー
き、今日から!?
僕は驚く。色々と急な気がする。
ーとりあえず加津代食堂に来なよ。ー
僕は迷う。
加代子さんがいたら、どんな顔をすれば良いのだろうか。
加代子さんは僕をどう思っているのだろうか。
それでも僕は着替える。
確かめなくては。
謝らなくては。




