夏休み
大学生になって1か月の夏休みができてうれしい反面、1か月の休みなんて小学生以来だった。中学生時代の夏休みは塾と部活で埋め尽くされ、高校生の頃は夏休みとは言葉だけでお盆を除く平日は課外授業があり、とても長期期間休みとは呼べるようなものではなかった。もちろん友達と海に行ったりプールに行ったりということはなく、たまに課外終了後に友達と電車に揺られ、映画館に行き映画を見たのが高校生時代の思い出だった。この1か月をどう過ごそうか考えた。考えても答えが出るわけもなくだらだらと1週間が過ぎてしまっていた。
いきなり自由な時間ができると恐ろしいことに何もしないことに飽きてくるもので、スマフォを眺めるだけで1日が終わっているという生活も1週間も経ってしまえば憂鬱に感じてくるようになった。それでも自分が何がしたいのかは分からなかった。
人は夢をもってそれを実現させようと必死になれるけれど、私にはその実現させたい夢というものがなかった。夢はあった。でも誰かに伝える前に芽生えた瞬間に否定されてしまった。でも、その芽は私の中で育ち続けてしまった。夜目をつぶる度に考える。したいことから目をそらして誰かに諦めた責任を転嫁して私は不幸だと言い続けるのだろうかと。夢を実現させようともしていないのにも関わらず、否定した人を心の中でなじって生きていくのだろうか。どうせ持て余している時間があるのだ勉学に充てないのならば夢に使えばいいのだと心のどこかで思いながら行動に移せずにいた。
それでも時間は進むもので、いつの間にかお昼まで寝て、一人でお昼ご飯を食べて、寝転がってネットを漁って、お風呂に入って家族と夜ご飯を食べて、布団に入っても眠れない。昼まで寝てしまっていたのだから眠気の”ね”の字もない。動画を見て時間を潰すのにも、もう飽きてしまったし寝転がってだらだらとゲームをして時間を潰した。暗くなった部屋の中の灯りは窓から僅かに差し込む月の灯りとスマートフォンから放たれるゲーム画面の灯りのみだった。僅かな月光さえも私には眩しく見えて頭まで布団をかぶってゲームをした。いつの間にか被っていた布団から明るい光が漏れてきていた。漸く眠くなってきたというのに、夜は開けてしまったようだった。こうして昼夜逆転の生活を送るようになって、気づけば後期のオリエンテーションの日を迎えてしまった。




