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まだまだ未熟な僕たちですが  作者: 宵雨咲 美乃
プロローグ

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2/7

不安

大学生活は何となく緩やかに始まった。大学生になった実感は今のところない。

今年の初め、世界中で猛威を振るうウイルスが蔓延した。ここ日本でも感染が広まり、年度初めの4月、緊急事態宣言が発表された。不要不急の外出は控えるようにと政府の発令に従い自宅に籠る日々が始まった。本来なら今頃このスーツに袖を通していたのだろう。なんて部屋の壁にかけられたままの新しいスーツを眺める。桜が散ってしまった今も入学式じゃなくてもそれに似たようなものがあるかもしれないと、淡い期待が頭を占める。

入学式という節目となる行事がないままに幕を開けた大学生活は大学生になったという実感を持たないまま私を大学生にさせた。

しょかなく緩やかに始まった。大学生になった実感は今のところない。

今年の初め、世界中で猛威を振るうウイルスが蔓延した。ここ日本でも感染が広まり、年度初めの4月、緊急事態宣言が発表された。不要不急の外出は控えるようにと政府の発令に従い自宅に籠る日々が始まった。本来なら今頃このスーツに袖を通していたのだろう。なんて部屋の壁にかけられたままの新しいスーツを眺める。桜が散ってしまった今も入学式じゃなくてもそれに似たようなものがあるかもしれないと、淡い期待が頭を占める。

入学式という節目となる行事がないままに幕を開けた大学生活は大学生になったという実感を持たないまま私を大学生にさせた。


連日報道される感染者数は右肩上がりで、毎日増える感染者数に糖尿病持ちの祖母は怯えていた。この新型ウイルスは感染力も強く、致死率も決して低くはなく、ワクチンもない。高齢者や持病があると重症化しやすくなるというこのウイルスは世の中を不安でいっぱいにした。


なんて祖母のことを考えると電車通学なんて憂鬱極まりないが、遠隔授業は遠隔授業で億劫だった。カメラをオンにしたときに、背景に映ってしまう板の質感から年季の入った家だとわかるのも、1人部屋のない環境で遠隔授業を受けていると姉が入ってくるのも、私に劣等感を覚えさせるのには十分だった。友達との会話がメッセージアプリのみになってしまっていることで感じる孤独感と不安。だからと言って今、対面での授業へ移行すれば新型ウイルスへの感染の恐怖が襲う。どう転じても不安からは解放されない。

それはそうと、友達と通話はしないのかという疑問が発生しそうだが通話はできないのだ。電話がかかってくる恐怖感もかける前に吐きそうになるほど緊張してしまうのも電話が怖いから。どれだけ相手が親しい存在でも怖いものは怖い。

人はそう簡単に恐怖心に駆られることはない。でも私の電話恐怖は小学生のころから始まっていた。最初から、人見知りが激しいが故に電話をかけるのも怖かったが、習い事の欠席連絡をするのが私の電話嫌いを悪化させた。

私の思っている声の大きさは電話を通せば相手には聞こえないことがあるようで、その度に母から責められた。責められたから電話が怖くなったわけではなく、習い事を欠席しないといけない程弱っている時に叱られたその原因が電話にあったことで完全に電話が怖くなった。


友達との会話がないだけでこんなにも孤独感を感じることを私は知らなかった。

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