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バッテリー  作者: 平木明日香
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岡山県立川面高等学校



岡山県立川面高等学校


学校概要資料




■ 1. 基本情報


【校名】

岡山県立川面高等学校


【読み】

おかやまけんりつ かわもこうとうがっこう


【通称】

川面高校、川高


【所在地】

岡山県霧隠市川面町二丁目


【設置者】

岡山県


【課程】

全日制課程


【学科】

普通科


【学級数】

各学年四学級


【生徒数】

約四百七十名


【校訓】

直く、強く、遠くへ


【教育目標】

地域に根ざした学びを大切にしながら、生徒一人ひとりが自ら考え、自ら選び、困難に対して誠実に向き合う力を育てる。




■ 2. 所在地と周辺環境


岡山県立川面高等学校は、岡山県西部に位置する霧隠市川面町に所在する。霧隠市は山地と河川に囲まれた地域で、市街地は霧隠駅を中心に形成されている。駅周辺には市役所支所、図書館、商店街、病院、学習塾、飲食店などが集まり、少し離れると住宅地、田畑、河川敷、山林が広がる。


川面町は霧隠市の中でも古くから人の往来が多かった地区であり、川沿いの道には昔ながらの商店や民家が残っている。近年は新しい住宅も増えているが、町全体には落ち着いた空気があり、登下校の時間帯には制服姿の生徒、自転車で通う会社員、買い物へ向かう高齢者などが行き交う。


川面高校は、霧隠駅から徒歩で約十八分の高台にある。駅から学校へ向かう道は大きく二つあり、一つは県道沿いを通る道、もう一つは川沿いを抜ける道である。多くの生徒は信号の少ない川沿いの道を利用している。春には堤防沿いの桜が咲き、夏には川向こうの山から蝉の声が降るように響き、秋には田畑の稲穂が色づき、冬には山からの冷たい風が通学路を抜けていく。


学校の南側には住宅地と川があり、北側には山林が広がっている。東側には市営グラウンド、西側には古い神社と雑木林がある。校舎三階の廊下からは、晴れた日に霧隠市街と川の流れを見渡すことができる。特に夕方、川面に西日が反射する時間帯は、校内でもよく知られた景色である。




■ 3. 学校の沿革


川面高校は、地域の普通教育を担う県立高校として設立された。もともと霧隠市内には進学先の選択肢が限られており、近隣地域の生徒が市外へ通学する負担も大きかった。そのため、地元で高校教育を受けられる環境を整えることを目的として、川面町の高台に校地が整備された。


開校当初は一学年三学級の小規模校だったが、周辺地域の人口増加に伴い、一時期は一学年五学級まで増えた。その後、少子化の影響を受けて現在は一学年四学級を基本としている。学校規模は大きくないが、その分、生徒と教職員の距離が近く、担任や部活動顧問が生徒の状況を把握しやすい環境にある。


卒業生は霧隠市内外のさまざまな分野で働いており、市役所、消防、医療、福祉、教育、建設、農業、商業、製造業など、地域を支える人材も多い。学校行事や部活動の試合には、卒業生や地域住民が顔を出すこともあり、川面高校は単なる教育機関にとどまらず、地域の日常の中にある学校として親しまれている。




■ 4. 校風


川面高校の校風は、穏やかで堅実である。


県内有数の進学校という位置づけではないが、大学進学を目指す生徒、専門学校へ進む生徒、就職を希望する生徒、公務員を志望する生徒など、進路は幅広い。学校側は一つの進路に偏るのではなく、生徒それぞれの希望や家庭状況、学力、適性に応じた指導を行っている。


生徒の多くは霧隠市内および近隣地域から通学している。小学校や中学校からの知り合いが同じ学年にいることも多く、人間関係は比較的近い。良く言えば安心感があり、悪く言えば関係性が固定されやすい面もある。そのため、入学直後は中学校時代の人間関係を引きずる生徒もいるが、部活動や学校行事を通じて新しい交友関係が生まれていく。


学校全体としては、派手さよりも日々の積み重ねを重視する雰囲気がある。授業態度、提出物、部活動、清掃、挨拶など、目立たないことをきちんと続ける姿勢が評価される。教職員も厳しさだけで生徒を管理するのではなく、必要な場面で注意しながら、生徒自身に考えさせる指導を大切にしている。




■ 5. 校舎と施設


川面高校の校地は、正門から校舎へ向かって緩やかな坂になっている。正門の脇には校名を刻んだ石碑があり、その奥に桜並木が続く。入学式の頃には桜が咲き、卒業式の頃にはまだ冷たい風が坂道を通る。


校舎は本館、特別教室棟、体育館、武道場、部室棟、グラウンドで構成されている。


本館には普通教室、職員室、進路指導室、生徒指導室、保健室、事務室、会議室がある。普通教室は南向きに配置されており、晴れた日は窓から強い光が入る。夏場は教室に熱がこもりやすく、冷房が入るまでは扇風機の音と生徒の声が混じり合う。


特別教室棟には理科室、化学室、音楽室、美術室、家庭科室、視聴覚室、情報処理室、図書室がある。図書室は三階の東端にあり、窓から野球部のグラウンドが見える。昼休みには静かに本を読む生徒や、自習する三年生が利用する。放課後には進路資料を広げる生徒も多い。


体育館はやや古いが、バスケットボール部、バレーボール部、バドミントン部が活動している。学校集会、入学式、卒業式、文化祭の一部発表にも使用される。夏場は熱がこもりやすく、集会時には大型扇風機が設置される。


武道場では柔道、剣道、体育の授業が行われる。畳と板張りの空間があり、雨の日には屋外部活動の一部がトレーニング場所として使用することもある。


購買は昼休みに開き、パン、おにぎり、飲み物、文房具などを扱っている。駅前のベーカリーが納品する惣菜パンは生徒に人気があり、昼休み開始から十分ほどで売り切れることもある。




■ 6. 通学環境


川面高校の生徒は、電車、自転車、徒歩、保護者の送迎などで通学している。最も多いのは自転車通学と電車通学である。


電車通学の生徒は霧隠駅を利用する。朝の駅前には川面高校の生徒だけでなく、市内の別の学校へ向かう中学生や会社員も集まる。霧隠駅から学校までは徒歩で十八分ほどかかるため、始業時刻ぎりぎりの電車で到着した生徒は、坂道を急いで上ることになる。


自転車通学の生徒は、川沿いの道や県道を利用する。学校には学年ごとに指定された駐輪場があり、雨の日にはレインコートを干す生徒の姿も見られる。川沿いの道は景色が良い一方で、雨量が多い日には水位や道路状況に注意が必要となる。学校では、大雨や台風の際には通学路の安全確認を行い、必要に応じて始業時刻の変更や臨時休校の判断を行う。


徒歩通学の生徒は主に川面町周辺の住宅地から通っている。放課後には友人同士で駅前まで歩いたり、河川敷を通って帰ったりする姿が見られる。川沿いの道は、川面高校の生徒にとって単なる通学路ではなく、日々の会話や寄り道、悩みごと、進路の話が積み重なる場所でもある。




■ 7. 制服


男子は紺色のブレザー、白シャツ、チェック柄のスラックス、学年色のネクタイを着用する。女子は紺色のブレザー、白ブラウス、チェック柄のスカートまたはスラックス、学年色のリボンまたはネクタイを着用する。


夏服は白シャツを基本とし、学校指定のポロシャツも認められている。式典時には正装が求められるが、日常生活では過度に乱れていなければ、担任や生徒指導担当が個別に声をかける形を取っている。


校則は存在するが、必要以上に厳格な管理を目的としたものではない。頭髪、装飾品、制服の着こなしについては、学校生活に支障がある場合や周囲に不快感を与える場合に指導が入る。教員によって指導の温度差はあるものの、基本的には生徒との対話を重視している。




■ 8. 学習指導


川面高校の普通科では、基礎学力の定着と進路希望に応じた学習指導が行われる。一年次は共通科目を中心に学び、二年次から文系・理系に分かれる。三年次には進学希望者向けの選択科目、就職・公務員希望者向けの実践的な指導が増える。


授業は標準的な進度で進むが、定期考査前には補習や質問教室が設けられる。英語、数学、国語については基礎に不安のある生徒への補習も行われる。三年生になると、進学希望者には小論文指導、面接指導、志望理由書の添削が行われ、就職希望者には履歴書作成、面接練習、一般常識対策が実施される。


進路指導室には大学、短期大学、専門学校の資料、企業求人票、過去の受験報告書、面接記録などが保管されている。担任だけでなく、進路指導部の教員も個別相談に応じる。川面高校では、進路を成績だけで決めるのではなく、生徒が自分の生活、家庭、希望、適性を踏まえて選べるように支援している。




■ 9. 部活動


川面高校では、多くの生徒が部活動に参加している。運動部では野球部、陸上競技部、サッカー部、バスケットボール部、バレーボール部、バドミントン部、弓道部、卓球部、ソフトテニス部が活動している。文化部では吹奏楽部、美術部、書道部、放送部、茶道部、写真部、文芸部、科学部がある。


部活動加入は強制ではないが、学校生活の中心に部活動を置く生徒は多い。放課後になると、校舎のあちこちから楽器の音、掛け声、走る足音が聞こえてくる。運動部の生徒は校庭や体育館、武道場へ向かい、文化部の生徒は特別教室棟に集まる。


部活動の中でも、野球部は地域でよく知られている。甲子園に出場した実績はないが、県大会では粘り強い試合をするチームとして認識されている。吹奏楽部は地域行事や野球応援でも活動し、陸上競技部と弓道部も安定した成績を残している。




■ 10. 野球部の概要


川面高校野球部は、校内でも特に存在感のある部活動である。


部員数は一、二、三年生を合わせて三十名前後で、マネージャーは二名から四名ほど在籍している。特別に大人数の強豪校ではないが、少人数だからこそ一人ひとりの役割が大きく、控え選手も練習補助や分析、声出し、走塁練習などでチームを支える。


練習は平日の放課後と土日を中心に行われる。平日は基礎練習、守備練習、打撃練習、走塁練習、投内連携、バッテリー練習などを組み合わせる。土日は練習試合や実戦形式の練習が多い。雨天時には校舎内の廊下、武道場、トレーニング室を使い、筋力トレーニング、体幹、ストレッチ、ミーティング、映像確認を行う。


野球部の方針は「最後まで試合を捨てないこと」である。大量点を取る豪快な野球ではなく、守備、走塁、送りバント、進塁打、カウント作り、配球の意図を大切にする。監督は、技術だけでなく、道具の扱い、挨拶、準備、片づけ、仲間への声かけを重視している。


グラウンドは校地の南東側にある。内野は土、外野は芝と土が混じっている。外野の奥には防球ネットがあり、その向こうに川へ続く低地と住宅地が見える。夏の午後には白い陽射しと土埃の中で、打球音と部員たちの声が校舎まで届く。


バックネット裏には簡易ベンチがあり、練習試合の日には保護者や卒業生が応援に来る。部室棟には野球部専用の部室と用具置き場があり、バット、ボール、ヘルメット、キャッチャー防具、石灰、トンボ、ネットなどが保管されている。


投手と捕手の関係を重視するチームであり、バッテリー間の意思疎通には特に時間をかける。配球、牽制、クイック、ランナーへの警戒、試合中の声かけなど、単に球を投げて受けるだけでなく、試合を組み立てるための会話を大切にしている。




■ 11. 学校行事


川面高校の一年は、入学式、遠足、定期考査、球技大会、文化祭、体育祭、修学旅行、卒業式を中心に進んでいく。


四月には入学式と新入生オリエンテーションが行われる。部活動紹介では、各部が新入生に向けて活動内容を紹介する。野球部は毎年、短い実演や部員紹介を行い、新入部員を勧誘する。


五月には遠足と中間考査がある。六月には県総体や進路ガイダンスが行われ、運動部にとっては大きな区切りの時期となる。七月には期末考査、球技大会、夏季休業前集会があり、野球部にとっては高校野球岡山大会の時期でもある。


九月には文化祭と体育祭が行われる。文化祭ではクラス展示、模擬店、ステージ発表、吹奏楽部の演奏などがあり、体育祭では学年を越えた応援や競技が行われる。十月には修学旅行、十一月には芸術鑑賞会、進路面談があり、十二月には期末考査と冬季休業前集会がある。


三年生は一月以降、進路決定や卒業へ向けて学校生活が少しずつ変化していく。卒業式の日、正門から続く坂道を下りる生徒たちは、それぞれの進路へ向かって学校を離れていく。




■ 12. 地域との関係


川面高校は、地域との関わりが深い学校である。


生徒は地域清掃、交通安全啓発、福祉施設訪問、商店街イベントの手伝い、防災訓練などに参加する。吹奏楽部は地域祭りや式典で演奏を行い、野球部は少年野球教室の補助をすることがある。美術部や書道部は、市内施設に作品を展示することもある。


地域住民にとって、川面高校の生徒は日常の一部である。朝の駅前、夕方の河川敷、商店街の店先、コンビニの前、図書館の自習スペースなど、町のさまざまな場所に川面高校の制服がある。


学校側も、地域の支えによって生徒の学びが成り立っていることを重視している。地元企業による職業講話、卒業生による進路講演、地域住民を招いた防災学習など、学校内だけでは完結しない学びを取り入れている。




■ 13. 川と防災


川面高校の生活圏には川が近い。川は町の景色を形づくる大切な存在であり、通学路、部活動、地域行事、季節の記憶と深く結びついている。


一方で、大雨の際には水位上昇や道路冠水への注意が必要となる。学校では、気象警報発令時の登校判断、避難経路の確認、保護者連絡、公共交通機関の運行状況確認を行っている。生徒には、川沿いの道を利用する際の注意、増水時に河川敷へ近づかないこと、危険を感じた場合は無理に登校しないことが指導されている。


防災学習では、地形、河川、避難場所、地域の過去の災害、情報の受け取り方などを扱う。単なる知識としてではなく、自分が暮らす町で安全に生きるための学びとして位置づけられている。




■ 14. 川面高校の日常


川面高校の日常は、特別な出来事ばかりで成り立っているわけではない。


朝、坂道を上る生徒たちの声が校門前に集まる。教室では、始業前に課題を写す者、眠そうに机へ伏せる者、友人と昨日の話をする者がいる。昼休みになると購買前に列ができ、図書室では静かに本を読む生徒がいる。放課後には、部活動へ向かう生徒、駅へ急ぐ生徒、教室に残って進路の話をする生徒がいる。


夏のグラウンドには、白い光と土埃がある。雨の日の廊下には、湿った制服の匂いと濡れた靴音が残る。冬の朝には、山から下りてくる冷たい空気の中を、生徒たちが肩をすくめながら登校する。


川面高校は、華やかな学校ではない。

しかし、誰かにとっては夢を追う場所であり、誰かにとっては進路に悩む場所であり、誰かにとっては友人と過ごす何気ない毎日が積み重なる場所である。


この学校には、川の流れ、山の色、駅までの道、放課後のグラウンド、教室の窓から差し込む光がある。


そしてそのすべてが、生徒たちの青春の背景になっている。


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