異空間商店・越後屋
セシリアンナ姫は 牢屋に閉じ込められているわけでもなく、姉に虐められているわけではなかった。
大変元気であり、健康そのもの!!
しかも・・・ セルーカ王国にて上級公爵の地位を得て治安維持に大活躍しているらしい!!
バシッ!バシッ!と 犯罪者を牢屋送りにしているとの事であった!!
もちろんこの話は事実ではない!!
リュミィルが聞いたこの話は間違いであったのだ。
酔っぱらったサラの適当な話なのだから仕方がない!!
セシリアンナ姫、すなわちミレイユは 元気に聖女帝国皇帝として傍若無人な統治をおこなっているw
セルーカ王国にて治安維持の仕事をしているのはミレイユではなく姉のユリティーナ姫であったのだ。
完全に人違い情報であった。
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リュミィルは この話(誤報)を完全に信じているわけではなかった。
それでも・・・この話を聞いて 希望を持てるようになり少しは安心をしたのである。
心配していたセシリアンナお嬢様は健在らしい!
しかもセルーカ王国にて高い地位につき 治安維持のため・・・犯罪者相手に大活躍!!
「あの・・・・おとなしいお嬢様が~ 信じられないけど・・でも、お嬢様の魔力は、かなり強かったので活躍ぐらいはしてそうね!!」
実際は世界最強の魔力で聖女皇帝をしてますww
リュミィルは・・・この情報が正しいことを祈りつつ その真偽を確かめることにした。
そこで、部下であるシモールに命じて諜報員を 何人か派遣させることになった。
セルーカ王国との無駄なもめ事を避けるために 潜入調査ではなく、聞き込み程度の調査が目的である。
セシリアンナお嬢様が治安維持で活躍してるのなら 町の住民から話を聞くだけでも十分のはずだ。
ここはセルーカ王国王都ブルジュ。
その城門をくぐる荷馬車に一人の人物が乗っていた。
城門の衛士には アフ・ラーナ騎士国発行の証明書を見せている。
・・・・その商人の名はフライス
もちろん偽名・・・!?であるかは謎であるが・・・・彼はシモールによって派遣された諜報員の一人であった。
肩まで黒髪が伸び中性的見た目。 どことなく儚く、どことなく凛々しい。
その姿は間違いなく どこかの劇団からでてきたような美青年であった。
そして・・・・その見た目ぷりで女性を篭絡し情報を聞き出すのが 商人フライスの得意技である。
とある有力筋の情報wwによれば・・・彼は魔法の一種である魅了を必要以上にバラまきまくり 相手の心を振り向かせているらしい!?
よくある!?乙女ゲーム・ヒロインの男バージョンといったところであった!!
この日の王都ブルジュは・・・・祭りだった。
聖クリリ祭!!である。
あちらこちらのツリーに装飾をほどこし 聖人クリリ総長をたたえる祭りである。
町中は装飾であふれ 楽しい音楽が流れている。
そんな楽しい雰囲気の中、商人フライスも少し浮かれてしまったのか・・・・
ついつい・・・露店で寄り道をしてしまい買い食いなどをしてしまった。
「この一口ショートケーキはうまい。このイチゴのハーモニーがとくに!!」
そんなこんなで 露店を立ち寄りつつ 商人フライスは 王都ブルジュで 最も有名な商会である越後屋に到着した。
ここからお仕事!!
その越後屋で フライスは荷馬車に積んでいる魔食石の取引を持ち掛けるつもりである。
目的は ご禁制の魔食石の密販売ではなく・・この魔食石を餌にしてセルーカ王国の情報を聞き出すことが目的であった。
当然のことだが・・・魔食石は諜報活動をするための必要経費であり リュミィル騎士団長からの許可も得ていた。
騎士国諜報部からの情報によると この越後屋はセルーカ王国や聖女帝国と密接な関係にあり 財閥のような立ち位置であるということらしい。
越後屋からセルーカ王国内の詳しい情報が聞き出せる可能性があるのだ。
この国の治安維持を担当する人物・・・すなわちセシリアンナ姫に関しての大雑把な情報なら ギルド協会や酒場で聞いても良かったが、
より正確な情報は・・・財閥的性格をもつ越後屋から聞き出すのが一番であったのである。
越後屋ブルジュ店。
王都ブルジュの中央付近に位置しており、ピラミッド宮殿前の目抜き通りに位置している。
ときおり・・エルノスティ国王やエレオノーラ王女も買い物にきてたりする。
その越後屋は・・解放感にあふれ気軽に入りやすいショッピングモール風の造りとなっている。
特に目を引くのはガラス張り!! あちらこちらにガラスが使われ日差しが店内に入り込むような仕組みになっていた。
王都ブルジュの一般的建築物から かなり逸脱しており・・・中世時代にいきなりコンビニがあるぐらいの違和感のある店であった。
商人フライスは 目前の越後屋ブルジュ店を見て戸惑った。
あまりにも違和感のありすぎる店!!
このような建築物が・・・って これってお店なの!?
すこし・・・なにか悪寒がはしる。
恐怖!? 違和感!?
しかし・・・・躊躇などしてはならない!!
騎士国からの重要な任務を課せられているのだ。
商人フライスは・・・意を決して店内へと踏み入るのだった。
「おじゃましま~す!!」
店内は広かった!! 他の店ではありえないほどの広々さ!!
その上、ガラス張りのおかげなのか・・・店内は明るく清潔感にあふれ、心地よい気温が保たれている。
驚きである!! さすが噂の越後屋!!
フライスは周囲をくるくると見渡した。お上りさん状態のように見渡した。
すると誰かが近づいてくる気配を感じた。
そちら方向に目を向けると・・・・メイド服を着た人物が歩いてくる。
どうやら越後屋の従業員はメイドらしい。
とりあえず商人フライスは・・・・ニコっとしながら 満面の笑顔とキラリと光る歯を見せながら 近づいてくるメイドに話しかけた。
これは・・必殺女殺しの笑顔攻撃!!
魅了魔法のサービス付き。
商人フライスの必殺技でもある!!
この攻撃を受けた女性は・・・顔が赤らみ・・・そのままお持ち帰りではなく・・・・
・・・・・完全に篭絡できるのである!!
しかーーーし
メイドであるメアは・・・・人間ではなくゴーレム!! AIなのである!!
商人フライスの必殺技に 怯むことはないメイドは いつものように接客用の笑顔で対応するのであった。
「・・・・え!?」
商人フライスの思わぬ敗北!! 必殺技が通用しない!?
商人フライスは・・・気を取り直す!
再び 必殺笑顔攻撃!!
ピッビビビビビ~
メイドのメア!! まったく攻撃が通用せず・・・いつもの接客用笑顔!
「なんと・・・!!」
再び 必殺笑顔攻撃!!
ピッビビビビビヒ~
メイドのメア!! まったく攻撃が通用せず・・・いつもの接客用笑顔!
「このメイド ただ者ではないな!!」
少々の失敗で へこたれる商人フライスなどではない。
それに このメイドがユリユリだったり 男の娘の場合は必殺笑顔攻撃が通用しないことがある!!
商人フライスは作戦を変更した。
目的は・・・女性を篭絡することではない!!
臨機応変が大事だ!
商人フライスは ただ者ではないメイドに声をかけ・・・この店の責任者を呼んでもらうことにした。
この時・・越後屋の責任者ではないが たまたま訪れていたサラが居たのである。
店の奥から 猫耳をした少女があらわれた。
「ようこそ いらっしゃいませ・・・僕が店長のサラです」
商人フライスは あまりにも若い少女が店長だと驚いた・・
そして・・・その後の会話で、この越後屋グループ全体をとりしきる商会長のような立場だと知ってより驚いた。
ふむ!! あのような猫耳少女が・・・越後屋全体をしきっているとなぁ!?
商人フライスはニヤリと笑う。交渉相手が あのような少女ならばやりやすい。 やりやすすぎる!!
楽な仕事になりそうだ。
出されたお茶・・・炭酸ジュースで喉を湿らした後、いよいよ本命アタックである。
商人フライスはサラに対して 軽い魅了魔法をかけつつ・・・
魔食石を買い取らないかという話をふってみた。
あまり興味がなさそうな顔をしているサラ。
しかし・・・サラの猫耳がパタパタしている。
顔はポーカーフェイスなのだが・・・猫耳だけがパタパタ!!
猫耳種族は・・・・隠し事ができないのである。
商人フライスは笑いを堪えつつ商談の話をすすめていく・・・
そして サラはあまり乗り気がしない表情を保ちつつ 頭を縦に振り買取を承諾した。
しかし 猫耳はものすごい勢いでパタパタしていたのである!!
よほど・・うれしかったのであろう。
魔食石とは アフ・ラーナ騎士国で産出されるレアメタルであり・・・ご禁制の品でもある。
そのご禁制の品を密輸しようというわけであった。
この魔食石は 騎士団長リュミィルが召喚する生物の維持に必要なのであるが・・・・
サラにとっては・・・別の使い方があった。
魔食石に太陽光をあてると 魔力が発生するのである!!
いわば・・・・ソーラー発電であった。
そういうわけで・・・サラはこの魔食石が ぜひとも欲しかったのである。
ここは・・・・越後屋の裏手にあるひっそりとただずむ倉庫。
関係者以外立ち入り禁止区域でもある。
その倉庫にサラは 商人フライスとご禁制の品を積んだ荷馬車を招き入れた。
もちろん人に見られてはいけないからである!! 裏取引である!!
その倉庫は薄暗く・・・日光が入らない。
裏取引をするのに ふさわしすぎる場所であった。
そんな倉庫の床には 例のブツである魔食石が ずらりと床に並べられていた。
それなりの量がある。
そのブツを真ん中にして対峙する猫耳少女であるサラと 満面の笑顔な商人フライス!!
ここには二人しかいない!! 人払いをしている。
他に人がいないのである。
すなわち・・・商人フライスにとっての最大の目的!! 諜報活動をするには とっておきの場所でもあった。
「では 始めましょうか・・・」
・・・・フライスはサラに対してニヤリと笑った。 いつもの必殺女殺しの笑顔攻撃、魅了魔法付きである。
諜報活動が始まった!!
ビッビビビ~
笑顔攻撃がサラに炸裂する。
なにやらサラは興奮してきた・・・・
「ぼ・・・・ぼくは・・・」
きた! きたきたきた! 商人フライスはニヤリと笑う。
先ほどのメイドには通用しなかったが・・・猫耳少女には通用したようだ!!
だが・・・なにか様子がおかしい。
猫耳少女が座り込んでしまい体を丸める。
そして 息が荒くなり苦しんでるようだ!
フライスは驚く!! 今まで必殺笑顔攻撃の技を何度か使い続けてきたが・・・こんな症状は始めて!!
焦るフライスは・・・・より驚くべき事態を見ることになった。
猫耳少女の身体が急にふくれだしたのだ!!
少女は巨大化した。この倉庫の天井を突き破り・・・巨人に・
いや!! よく見ると人間ではない!!
服が破け まるで野獣のような体毛に包まれた身体・・・顔が猫!?
あれは巨大化け猫だ!!
猫耳少女が 巨大化け猫になったのだ。
にゃぁぁぁぁぁ~
空を覆い隠すほどの巨大化け猫が雄叫びをあげた!!
商人フライスは茫然と立ち尽くした後・・我にかえる!!
どうして!? 俺のせいか!?
いや!! こんな所で考えている暇はない。
すぐに逃げないと・・・殺される!!
だが・・後ろを振り返りおもっきり走ろうとしたが・・・なぜか走れない。
体が重い。
足がもつれる・・・・あっ! こけた。
こんな所で こけてコロコロと転がってしまった。
頭上には巨大化け猫の顔が迫ってくる。
「た・・たすけれぇぇぇ~ 」
巨大化け猫の眼下で 転がり逃げる人間を鼠とでも思ったのか!?片手を大きく振り上げ・・・そして振り下ろした。
気持ちよさそうな肉球が その人間の頭上に迫ってきた!!
ブチッ!!
商人フライスはそんな嫌な音を聞くと同時に気を失った。
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翌日・・・王都ブルジュの郊外・・橋のたもとで・・・朝日に照らされながら目を覚ます商人フライス。
「夢!?だったのか・・・」
しかし・・・彼の保有していた荷馬車はなく・・・もちろん魔食石も失われていたのである。
頭をふって 今までの出来事を整理し・・・冷静に判断しようとするが・・・・
・・・・・まったく意味が分からない!!
幻想の魔法に・・・たぶらかせられていたのか!?
「・・・・・って!! 魔食石を全部持っていかれた~」
商人フライスはあわてて王都ブルジュにもどり・・・
・・・あの越後屋,不思議な形をした越後屋を探したが見つからなかった。
いや!! 越後屋という店はあったのだが・・・商人フライスの見た店と違い、小さくこじんまりとした店であった。
「え!?どういうこと!?」
奇抜でガラス張り・・・ショッピングモール風の越後屋が存在してなかったのである。
夢!? 夢落ち!?
いや 違う!!
荷馬車が失われ・・・魔食石もなくなった。
あの越後屋の店長である・・・・・あれ!?記憶がない。
店長の顔が思い出せないのだ!!
名前も・・・
それに・・・・詳しく思い出すと、あれだけ広い店だったのに客が 俺以外いなかったのも不自然。
そして・・・もっとも恐ろしいことに、この王都では祭りなど初めからなかったことである。
聖クリリ祭なんて もとから存在してないし、ツリーに装飾の飾りもつけていない。
もちろん・・美味しく食べた一口ショートケーキなんてものはなかったのである。
「なんて・・・ホラーな展開!! えっと・・・この出来事を報告して信じてもらえるのかな!?」
商人フライスは頭をかかえこむのであった。
アフ・ラーナ騎士国の王宮館 執務室で報告書に目を通すリュミィル。
セルーカ王国へ派遣した十数人の諜報員からの報告書には すべて・・巨大化け猫の文字がかかれていた。
セシリアンナ姫の調査のはずが なぜに化け猫の報告・・・・
フライスの報告書だけではなく 他の諜報員からも意味不明でホラーでオカルト的な報告を受けていたのであった。
王都ブルジュの越後屋の中庭には・・・・全長6mの化け猫がうずくまっていた。
中庭であるがゆえに 外部から見ることはできない。
この化け猫とは・・・・もちろんサラではない!!
猫耳はしていても 化け猫ではないのである。
サラが開発した人工衛星ロボットの猫バージョンロボットであった。
見た目が猫であり・・・・完全に観賞用ロボット。
なにかの役にたつということはなく ただの趣味で作っただけのロボットであった。
そんな観賞用猫ロボットでも アフ・ラーナ騎士国の諜報員を騙して撃退するぐらいはできるのである。
聖女帝国メア諜報部の とんでも諜報活動によって
セルーカ王国に潜入してくる全ての諜報員を把握、監視、そして猫ロボットによって もて遊ばれていたのであった。
そして・・・・これには後日談がある!!
商人フライスが王都ブルジュに到着したその日、サラは飛空宮殿にてミレイユと一緒にいた。
あの店長はサラではなかったのである。
ちなみに・・・商人フライスが襲われたという化け猫は空を覆うほど巨大だったというが、
サラの開発した猫ロボットは全長6mほどでそんなに大きくない。
そして、間違いなく言えるのは・・・サラは魔食石を盗んでいない!
というか・・・商人フライスという人物すら知らない。
メア諜報部も 以前からずっと商人フライスを追跡していたのだが、なぜか王都ブルジュ手前で 忽然として消えてしまったという。
そして翌日、いきなり橋のたもとで商人フライスらしき人物が霧の中から突然出現した映像を 橋の魔導監視カメラがとらえていた。
商人フライスは いったいどこの世界へいっていたのか!?
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) 今回はファンタジー世界なのに超常現象事件回でした




