恐怖の大王到来!!
地平線まで広がる雲ひとつない青空。
その青空を背景に太陽の光がまぶしく地面を照らす。
暖かく・・・穏やかな昼下がり・・
噴水を中心とした広場では 子供たちの笑い声がこだまする。
そして その子供を見守る親たちは ベンチに座り井戸端会議!?
ここは聖女帝国南海島にある小高い丘公園。
サラの前世記憶を元につくられた異世界風公園!!
・・・・といっても噴水、海を眺める展望施設、樹木を適当に植えている程度であるが、
住民たちにとっては憩いの広場であり、心を安らげる広場でもある。
今日も この公園で子供たちの笑い声・・・または恋人たちの語らい、ただの井戸端会議で
平和な日常を満喫していた。
だが・・・この日は違っていたのである。
いつもの穏やかな日常は突如として現われた途轍もない異変!!
・・・その異変によって非日常へと転換した。
それは・・なんの音も予兆もなく青空を黒く染める巨大な物体として 上空に出現したのである!!
しかも!! 巨大なだけの物体ではない。人の精神を狂わす何かを内包していたのだ!
公園で遊ぶ子供たちは上空を見るや・・泣き叫び逃げ惑う。
また、ある子どもは上空を見たまま呆然として立ち尽くし・・・地面に液体を流す。
しかし・・・少数ではあるが空に向かって指差しハシャグ子供もいた。
そんな子供たちを 保護者たちはひったくるように抱きかかえ、安全な避難所へと駆け込んでいく・・・
もちろん 上空の物体に恐怖したのは子供だけではなく 大人たちも恐怖したのであった。
不安・・怯え・・恐怖!
人をパニックにさせるような禍々しい存在が上空に存在していた。
その恐るべき禍とは何か!?・・それは顔である!!
それも無数の顔、顔、顔!! 顔だらけ!!
まさにホラー!!
飛来した巨大物体の全体像は形容しがたいような異様な姿なのである!!
または人間の脳で処理できないような形態をしてるのかもしれない。
そんな曖昧な姿なのだが、その物体の胴体というべき部分だけは認識できたのである。
そして・・・その胴体に恐怖がつまっていた!!
顔である!
無数の顔が胴体に付着していたのである!!
しかも その顔は地上にいる住民たちを まるで恨んでいるかのように睨みつけていた!!
恐怖!! 不気味! 精神にダメージを与える顔の集合体。
「ぎゃぁぁぁぁ~」
「か・・・かおが・・顔が・・・一杯」
南海島の住民たちは叫び ひきつけ、痙攣、パニックをおこし逃げ惑う!
子供たちは泣き叫び、その子供を抱いた親は南海島各地に設置してあるシェルターへと逃げ込んできた。
大変な事態である!!
世界の終わりを感じさせるような事態である。
ついに・・・・ミレイユやサラの悪逆非道な振る舞いに 神は天罰を示したのか!?
最後の審判だ!! ラグナロクだ!!
恐怖の大王だ~~~!! 一部のオカルトファンは大喜び!!
南海島上空に浮かぶ飛空宮殿の庭で 聖女皇帝であるミレイユは上空に存在している異様な生物を見て、茫然として立ち尽くしていた。
「・・・・・・」
あまりのことで声も出ない!
その横では・・・サラが転げまわって笑っていた。
上空の顔妖怪に まったく恐怖することもなく まるで子供のように転げまくっていたのである!
「こ・・・これは まいった! これは あっははは えっへへへ おねーさま・・さすがでぇェ えっへへ」
失礼なほど笑い転げるサラ。
南海島上空に出現した顔妖怪!?
この妖怪を召喚させた張本人は・・・ミレイユであった!!
ミレイユが故意に出現させたわけではないが やってしまったのは間違いない!!
「だって・・・私!! うっううう~ 私は悪くない! 世間が悪いのよ」
聖女の発言とは思えないような言い訳である。
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どうして!?なぜ・・・このような事件を起きたかというと・・・
先日・・・人知れずの森にて、リュミィルと魔法対戦したのが原因といえば原因であった。
あの対戦でミレイユは 自らの魔術力の無さを思い知らされたのである。
リュミィルの魔法技巧、技術のたくみさ、素晴らしさに対して・・・
・・・ミレイユの魔法は 膨大な魔力のみにたよった力業でしかなかったのだ!!
子供の頃・・・あれほど魔術訓練をしていたというのに・・・ミレイユは近頃すっかり練習を怠っていた。
反省だけならミレイユにでもできる!
そこでミレイユは あらためて魔法の練習をはじめたのだ!!
手始めに・・・この南海島の上空をキャンパスのようにして 絵を描く魔法に挑戦しようとした。
リュミィルが魔術を使い 大空に絵画を描いたように、ミレイユも描こうとしたのである。
ミレイユは詠唱によって作りだした魔方陣から 火柱のような筆を生み出した。
そして・・・その筆(火柱)は煙を出しながら上空を駆け巡り その煙によって絵画を描こうとしたのである。
絵画の能力は魔法の技術とは関係ない!! 絵心の能力である。
そして、絵を描く才能は・・・・・あれであった!!
あえてミレイユ氏の名誉のために言っておくが 決して下手ではない・・・あれなのである!!
そして・・・あれが青空を背景に描かれたのであった!!
・・・・・世にも恐ろしい怪奇で顔がいっぱいの妖怪絵図!!
精神的ダメージを受けるというサービス付き絵画。
集合体恐怖症を発症させかねない危険物である。
地上の住民には 上空に妖怪が実体として存在しているかのように見えているが・・・実のところ 二次元な絵であった。
二次元の絵を立体的に・・実際、そこに存在しているかのように描けるミレイユの絵画能力は
それなりに、たいしたものではあるのだが・・・あまりにもあれすぎた!!
「たくさんの動物がいる森の風景を描いてたはずなのに・・・気づいたら妖怪絵図に なぜ!?」
そうです!! あの顔は・・
・・・ミレイユにとっては可愛い動物の顔のつもりに描いたのである。
コアラ・パンダ・猫・リス・・・かわいい動物たちの顔のはずが・・・恨みのこもった顔になってしまったのである。
恐るべき絵画能力!!
そして、そのミレイユも無意識に描いた恐るべき顔たちに唖然としていた。
「・・・・・・・・」
隣では笑い転げているサラ・・・地面にひっくりかえって笑い続けている。
失礼なほどの笑いっぷり!!
それでも サラはなんとか笑いをおさえつつ端末のボタンをした。
「シメオンちゃん! 風圧弾を電磁砲に装填。 上空の妖怪に向かって撃ってちょうだい」
「了解!!」
サラからの指令を受けたシメオン少年は 直ちに攻撃を開始した。
飛空宮殿に備え付けている幾つもの電磁砲塔がせり出してきて、顔妖怪へとターゲットロック!!
轟音と共に強力な風圧が上空へと撃ちこまれ・・・煙によって造形されていた顔妖怪は、あっというまに雲散霧消!!
こうして・・・南海島に襲い掛かろうとした巨大顔妖怪は、飛空宮殿からの一斉砲撃によって、たやすく撃破したのであった。
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なんという防衛力! なんという攻撃力!
南海島に潜伏していた各国の諜報員は 一斉にこの巨大妖怪撃破の情報を本国へと打電することになる。
聖女皇帝の住まう飛空宮殿は・・・・要塞であり・・・戦艦であり・・・最終兵器であると・・・
そして各国は・・・聖女帝国の実力に恐怖することになるのであった!!
もちろん潜伏していた諜報員だけではなく 南海島住民たちも大歓声をあげた!!
あの巨大妖怪を一撃で撃破した聖女帝国・・・いや聖女様の実力を再認識したのであった。
「さすが! 聖女様だ!!」
「聖女様 万歳!」
「聖女様 万歳!」
避難シェルターから出てきた住民たちは 口々に聖女皇帝ミレイユを称賛するのであった。
あの顔妖怪出現の原因が その聖女のせいだと知らず・・・聖女を称賛したのである。
ミレイユが意図してやったわけではないが 結果的にはマッチポンプであった。
ちょっと良心の呵責をするミレイユ!? 一日もしたら忘れるだろうが・・・
「お・・・おねーさま! 地上の民たちは聖女を褒めたたえ大喜びしてます!!
顔妖怪効果ってやつかな!? 年に数回の割合で顔妖怪を登場させるのもいいかも~」
「サラちゃん! それって・・・・売名行為だよね!? 」
「勝てば官軍! 騙せるときは騙しちゃお~」
「どこの詐欺師ですか!!」
「バレたら あれな社長みたいに国外逃亡をしましょ!! 」
「私は逃げたくないよ。この島・・・けっこう気に入ってるし!!」
「おねーさま それなら心配無用です!! 国土ごと動かして国外逃亡するのです!!
南海島の地殻プレートごと切り取って移動させるのよ!!」
「そんなことできるの!?」
「現在開発中ですけど・・・・そのうち可能になるとおもう・・・」
「え!?」
「期待しといて!!」
「えっと・・期待というか・・・国土をかかえて国外逃亡って!? 騙した国民ごとついてくるんだけど!!」
「だったら国民を・・海に捨てちゃう!?」
「やめなさいって!! 海はゴミ箱ではありません!!」
「つっこみはそこ!? 捨てるのは否定しないんだ」
「え!? わたし・・・もちろん捨てないわよ」
ちょっとあせるミレイユ!
「・・・・しかたがないですね。顔妖怪効果計画は失敗ということで!!」
「いや!! もともと計画なんてしてないよ。 それに・・・あの無数の顔たちは 私でさえ精神に来るものが・・・」
「僕もちょっと・・・・癖になるような気分です! あの顔を緩衝材のプチプチのように潰したくなる衝動が・・・」
「怖いよ!サラちゃん」
「えへっ! とにかく・・・絵画魔法なしってことね・・・次は何の遊びをするの!?」
「遊びじゃなくて魔法の訓練なんだけど!! 騒ぎがおきない無難な訓練とか考えないとね~」
「騒ぎがおきないと・・・つまんないよ~」
ちょっと残念そうなサラであった。
実に愉快犯的発言である。
そして・・・・側で聞いていたシメオン少年の顔が真っ青になっていた。
・・・・次の日
海面に出現した巨大怪獣というか・・首長竜!? またはシーサーペント的未確認生物の目撃を
南海島の住民たちが噂することになった。
もちろん オカルト好きは大喜び!!
しかし・・・・
目撃者も少なく 具体的な被害もなかったため、昨日ほどの騒ぎにはならなかった!!
海坊主凧と呼ばれる空飛ぶ巨大タコの見間違いではないかという憶測もあったのである。
どちらにしろ 未確認生物の噂は数日で聞かれなくなった。
ちなみに・・・この未確認生物の原因は もちろんミレイユであるww
絵画魔法をやめて 彫刻魔法で魔術訓練を始めたのだが・・・
その彫刻作品が・・・なぜだか生命をもったかのように 走り出し飛空宮殿から海へと落下した!?
そして・・・地平線のかなたへとジャバジャバと犬かきしながら去っていったのであった。
「え!?・・・わた・・私は悪くない! 世間が悪いのよ」
聖女の発言とは思えないような いつもの言い訳であった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) 恐怖の正体はミレイユだった。




