地獄の沙汰もお食事タイム
「10名様 いらっしゃいませ~ ではお席へご案内いたしま~す 」
宿屋の従業員・・・あらため自称・看板娘と化したサラは愛想よく笑い リュミィルや騎士たちを店内に誘う。
しかし・・・リュミィルは 見るからに怪しい自称・看板娘の誘いに躊躇した。
・・・無理に作ったような作り笑いが疑わしい。
なによりも・・・・あの目付きである!!
目が泳いでいるというか・・潜水して潜望鏡で睨んでいる感じである。
何かを仕掛けてくる目に違いない!!
だが・・・リュミィルは決断する!!
虎穴に入らずんば虎子を得ず、この怪しい看板娘に従い店内に入らないと・・・この不可思議な謎が解けない!!
騎士たちも・・・いつでも抜刀できる構えを保持しつつ 自称・看板娘の後に付いて行くことにした。
一方・・・・サラは涙目状態。お困りです!!
でまかせとその場しのぎで なんとなく宿屋の看板娘だと言ってしまった以上・・・看板娘として貫徹しなければならない!!
というかその前に・・・この屋敷の外観を あたかも宿屋風に見せているが・・・決して宿屋ではない!!
ホールや廊下は 打放しコンクリートのような状態なのである!!
ついでに・・・ところどころに廃材を放置している!!
お客様を誘うには・・ひどい有様であった。
素早く・・・宿屋として完璧に改装する必要がある。
サラは近くにいるメアに囁き・・・宿屋としての完璧な内装や整備、食事の用意を 素早く行うようにと命ずるのであった。
その後 メアたちが大忙しである。
生身の人間に命じたとしたら無理ゲー、不可能なことだが、メアたちは違う!!
疾風怒濤の勢いで 十数人のメアたちは動き出す!!
メイド服をはためかせながら・・目にも止まらぬ早業で・・・
宿屋の内装、それなりの装飾、床にタイルを張り、食堂ではテーブルやイスを並べていく・・・
幸い・・・旅館ぽい建物としては ある程度完成していたので、メアレベルの作業としては たいしたことではなかったのである。
(生身の人間なら 数か月かかる工事です!!)
もし 他の人が目撃したのならば・・・フィルムの早送りのような速さで作業をしていく姿を目撃したであろう。
メアたちの準備に合わすように、サラはゆっくりとした速度でリュミィルや騎士たちを食堂へと案内した。
玄関から・・ちょっとした庭を通り、裏手の戸口から建物内に入って そこから長い廊下を右や左へと・・・
そして上がったり下がったり 再び右へ左へ・・・
ちょっとした迷路状態である!! もちろん時間稼ぎである!!
・・・・ときどき、足を止めては 廊下(メアたちによって素早く装飾しました)に飾られている絵画の説明をするサラ。
その絵画は はっきりいって素人の絵というか・・・・聖女皇帝・すなわちミレイユが描いた絵である。
そして・・・ずばりいうと下手である。
その下手な絵を あたかも巨匠の絵のように語るサラ!!!
小学生の書いたような抽象画を ピカソ的な人物が描いたと言い張る!!
リュミィルとしては 完全に不信爆発であった。
あまりにもわざとらしいほどのゆっくりとした歩みと 絵画の説明に 長々と時間をかける様子・・・
・・・・これは間違いなく時間稼ぎであるとリュミィルは見破ったのである。
なにかを企んでいることは明白なのだが・・・・
なのだが・・・・なのだが・・・・
不思議にも 長々と説明するこんな下手な絵を見て・・・リュミィルは なにか心当たりがあるような気がした。
・・・なにか懐かしくなる絵である!!
リュミィルは すこし涙を滲ませる。
そうです!! リュミィルが かつて公爵のメイドとして働いていた時、
世話をしていたセシリアンナお嬢様が描いた下手な絵とそっくりだったのである。
子供の頃と変わらず・・・下手さを維持するミレイユだった。
「・・・・・な絵だが なにか懐かしさ・・・切なさ・・・心に訴えかけている気がする。 なるほど・・・これが芸術か!!」
リュミィルは思わず・・・この絵を巨匠の絵画と勘違いしてしまった。
そうでしょ~そうでしょ~ とうなずくサラ!!
思わぬところで・・・同調率100%を叩きだす二人。
しかし・・・近くにいる騎士たちは、掲げている絵画のおもっきりな下手さに 苦笑するのであった!!
なにやかやとありつつ・・・適当に時間をつぶしながら サラはリュミィルたちを案内しつつ やっと食堂に到着した。
そして・・・・その食堂は別世界だったのである!!
美しい艶のある木目調の椅子やテーブル。
意匠をこらした欄間。組子模様の障子。
囲炉裏のようなものを設け この国の人にとっては異国情緒あふれるつくりとなっていた。
完璧な和室風食堂である!!
内装も完璧!!
メアたちだからこそできる早業である!!
ついでに・・サラもびっくりである!!
もちろん・・・・リュミィルや騎士たちも このような見たことない和風な食堂を見て驚愕し・・・そして恐怖した!!
名前どおり・・人も入らないような こんな人知れずの森奥深くに・・・・こんな素晴らしいものが!?
「・・・・なにかに化かされているのか!? この森は魔物の巣窟のはず・・・冷静に考えると人なんていないはずだ!!」
精神魔法をつかう魔物ポンポンタヌーキに化かされているのかと疑うリュミィル!!
自分で自分の頬を引っ張り・・・確かな現実を見ようとしてみる・・・・
・・・・しかし、間違いなくそこに存在する猫耳少女と異国風な部屋の内装。
一方、騎士たちは・・・
「ここは、魔物暴走事件をおこした地でもあり、人がいないはず・・・まさか・・・まさか・・・」
「あの猫耳少女は幽霊!?」
「魔物に殺された少女が さまよっている!?」
騎士たちは思わず 世にも怖い心霊怪談で会話がはずんでいる。
さすが騎士たちである!! 幽霊を怖がらず、逆に興味津々のようであった。
そして・・・不埒な考えをする者たちが出始めた。
「あの猫耳少女に触って 実態を確かめたい!!」
そうです!!! 騎士たちは あの猫耳少女に何気なくさわって実体があるのか確かめたくなったのである!!
さわりたい、おさわりしたい!! 猫耳さわりたい 尻がさわりたい。
そんな意思が伝わったのか・・・騎士団長リュミィルの一睨で、猫耳少女の尻に今にも触ろうとした一人の騎士の手が引っ込んだ!
危なく・・騎士としての矜持を失うところであった。
だが!! リュミィルも猫耳少女を あらためて凝視した!!
騎士たちが噂するような幽霊ではないにしろ・・・・ポンポンタヌーキの可能性がある。
あの猫耳少女は・・・ポンポンタヌーキが化けている!? あれは猫耳ではなくタヌ~キ耳かもしれない!!
もしかして尻尾がついてるのでは!
リュミィルは猫耳少女の尻を思わず触ろうとしたが・・・理性によって思い止まった。
危なく・・騎士としての矜持を失うところであった。
猫耳少女ことサラは・・・貞操の危機をなんとなく回避したのである!!
だが・・・なんとなくサラの尻がむずむずする!
見られているの!?
サラは何となく危機感を感じ・・・テーブルへの案内をメアたちに頼むのであった。
サラと交代した・・・メイド服を着たメアたちが リュミィルをはじめとした騎士たちを各テーブルへと案内をはじめた。
すると・・・・騎士たちの興味が あっという間にサラからメアへと移ったのである。
メアたちの・・・美しいメイド服に目がいってしまったのか!? それとも乳の大きさなのか!?
一般常識として・・・大人の雰囲気のメアのほうが 騎士たちの好みであったようだ
「えっ!!!」
ちょっとプンプン状態になるサラ。
テーブルには・・・・ケレン町が近いからといって名物サソリ料理は出ていません!!(調理法もわからない)
ということで・・・聖女帝国・南海島の食材を使った料理が並べられていた。
目玉料理は南海島ダンジョン名産の兎角料理の数々。
南海島付近でとれる海産物。
聖女帝国のご自慢の料理である!!
とは言っても・・・帝国の料理だけを出すわけにはいかない!!
エルノスティ国王の顔を立てて、セルーカ王国産のワインも並べたのである。
ただし、これは・・・サラの好みである。
「だって・・・このワインは おいしいのだもん!!」(サラ談)
食堂にたちこめる・・・香ばしい匂い。
胃を刺激する匂いである。
リュミィルや騎士たちは料理の数々に目を見張り驚く。
まさか・・・これほどの料理をだされるとは・・・豪華すぎ!!
そして・・・リュミィルは懐の財布をみる・・・・
「これは・・・・値がはりそう。予算が・・・いや!! そういう問題ではないが・・・料金を請求されると痛いなぁ」
そんな騎士団長の複雑な思いも、なんのその~
騎士たちが 迂闊にも匂いに誘われ、その料理を口に入れるのであった。
「おいしい!」
「こんなの はじめて~」
・・・・・毒入りの懸念をすべきなのだが・・・・すっかり匂いにだまされて!?油断して・・・・
一気に口に入れてしまう一同。
リュミィルは騎士たちの 軽はずみな行動に頭を抱えた。
とはいっても・・・魔法で毒の有無を確かめた上で・・リュミィルも口にいれるのである。
間違いない!!
この料理は本物だ!! 実体がある! というか・・・おいしい。
アフ・ラ―ナの郷土料理とは一味違う味付け・・・
なんの肉だか分からないが・・・・やわらかく、歯ごたえがよい!!
それに・・・この紅ワインが肉によく合う!!
リュミィルは その紅ワインの銘柄を見ようと・・・ワインボトルの表紙を見ると・・・
実に美しい絵柄が張られており・・・セルーカ産と表示されていた。
そして目線を下にずらすと・・・・・セルーカ王国の紋章が印刷されていたのである!!
この紋章が印刷されてるってことは・・・・!!!
「・・・このワインって王室に納入されてるってことよね!! えっ!? 横流し!?」
ポンポンタヌーキや幽霊だと疑うどころか・・・・この料理・・・ワインの出所が・・・・怪しすぎる!?
あの猫耳少女は密輸業者か!?
そんなことをリュミィルが考えていると・・・
食堂の外から なにやら声が聞こえ・・・食堂に入ってくる一団!!!
この一団とは・・・露天風呂から出てきた・・ミレイユ、エルノスティ国王たち面々だった。
湯けむりを全身にふかしながらの登場である。
そして・・・見知らぬ人達が食事をしているのに気が付いた。
ミレイユたちは すこし怪訝そうな顔となった。
「私たち以外に・・・ お客様かな!? サラちゃん・・・本当に宿屋を始めたんだ~ww」
ミレイユたちは こんなとこに思わぬ客人と・・・驚くとともに、
何人かの騎士たちは 彼女たちミレイユを見て・・・驚愕し戦慄したのである。
その騎士たちは 以前にセルーカ王国や南海島に訪れたことがあり、
その際、聖女とエルノスティ国王の顔を見ていたのであった。
すぐさま その騎士は 少し声を震わせながらリュミィルに囁くのである。
「あ・・・あの二人は 間違いはありません・・・えっと」
「どうしたのだ!? なにを震えている!?」
「間違いありません!! あの二人は・・セルーカ王国のエルノスティ国王と 聖女帝国聖女・・・つまり聖女皇帝に間違いありません!」
「なに!」
リュミィルはあらためて・・・ミレイユとエルノスティ国王を見た!
「たしか セルーカ国王は男性だと聞いたが!?」
リュミィルはその騎士に問い返した。
「いえ・・・セルーカ王国国王は男性であって男性で・・・いや男性なのですけど! えっと・・・男性な美女なのです!」
「は!?」
リュミィルは再びエルノスティ国王を見て 再び騎士に問いただした。
「マジ!?」
「マジです!」
「あれで男!?」
「男・・・ということになってます!」
「・・・・世界の七不思議!!」
「もはや超常現象です!」
リュミィルは 信じられないものを見たという感じでエルノスティ国王を眺めた。
でも・・・・なるほどね!!
それで・・この紅ワインがセルーカ王室用のワインだったってことだったのか~
疑問の一つは解けたが・・・・ なぜ!? ここに両国の最高指導者が・・・!
そんな騎士たちのやり取りをミレイユやエルノスティ国王の耳に ばっちり聞かれていた。
「あらあら 混乱してるみたいね! ・・・・というか とうとうバレたね」
「なるようにしかならないだろうなぁ 腹をくくるしかないか!!」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) 互いに認識はしていないが、ミレイユとリュミィルの師弟対決になるのか!?




