森の守護者
サラはちょっと気になったのか・・・・念のため五台の馬車を停車させた。
人知れずの森で もしかしたら予想外の強さを持つ魔物が出現するのではないか!?
そんな悪い予感が・・・サラの脳裏をよぎったのである。
そこでサラは・・もしものことに備え、馬車のメンテナンス(各種装置の点検)を行うことにしたのである。
特に武器類の検査は重要です!!
メンテナンスはメアたちがおこなうので ミレイユたち一同は、馬車内でくつろいでいるのであったが・・・
ミレイユは ちょっとした気分転換をはかることにした。
馬車上部のハッチ(元は水陸両用車なので そういう構造になっています)が開き・・・
ミレイユとエレオノーラ王女が 馬車の屋根から顔をだした。
森林の中・・・木漏れ日が二人を照らす。
二人は両手をあげ深呼吸する。
「いい空気ね!!」
「はい!! 」
二人は少しの間リラックスした後・・・以前から約束!?してたのか怪しいが魔法の練習を始めた!!!
「エレオノーラさん! 私が まず見本を見せますので」
ミレイユが魔法詠唱をおこない 軽く20個もの魔方陣を同時生成させた。
全力をあげればもっと出せるのだが・・・そんな自慢めいた!?ことはしないのである。
「さすがミレイユ様です。 すごい多重詠唱ですわぁ それでは・・・妾もやってみます!!」
エレオノーラ王女はなんとか!!・・・頑張って・・・魔方陣を4個ほど生成することに成功した。
しかし・・・5つ目の魔方陣は形がくずれ雲散霧消してしまった。
「4個が限界ですね もうちょっとで5つ目が作れそうだったのですけど・・・」
ちょっと悔しそうなエレオノーラ王女。
「がんばれば いくつでもだせるようになりますよ!!」
「え~~!? いくつもは無理でしょ!? 二つを作り出せれば一流の魔術師なんて言われたりします」
「・・・・そうなんだ!! そういえば・・サラちゃんが多重詠唱をしたとこを見たことないなぁ」
「サラ様なら たくさんの魔方陣が出せそうなきがしますけど・・・」
「僕はなんとか 2個ぐらいなら出せますよ~」
ハッチの下から サラの声が聞こえてきた。
「4個も出せるエレオノーラさんは サラちゃんに勝てたのね!! おめでとう」
「え・・いえ! あ・・ありがとう!」
予想外だったせいもあり、たどたどしいエレオノーラ王女の返事であった。
「にゃぁぁぁぁ」
サラの泣き猫声が ハッチの下から聞こえた気がした。
ミレイユは遠方にある大木を指さす。
「せっかく魔方陣を出したので、あのあたりをターゲットに水玉を撃ってみましょう!!!」
「妾も撃ちますね」
森に火弾を撃つなんてもってのほかです!! 火事になります!!
ここでは無難に水玉を撃つのが常識というものであった。
ミレイユとエレオノーラ王女が生成した魔方陣から 24発の水玉が飛び出し、木々の間をすり抜け飛翔する!
ただし・・・ミレイユの作り出した水玉はエレオノーラ王女の水玉に比べてあまりにも巨大だった。
スクーターと巨大ダンプカーぐらいの違いがあったのである。
「さすがです!! ミレイユ様 こんな巨大な水玉を作りだせるなんて!!」
そんな多数の巨大水玉が ターゲットになった大木付近にて破裂した。
そこは・・・デスア子爵と盗賊団が身を伏せている地点の真上!!
もちろん、これはミレイユが狙ってやったのではなく たまたまである。
この世に運スキルというものが存在するのなら デスア子爵の数値はマイナスになっているに違いない!!
「なに!!」
デスア子爵は頭上を仰ぎ見た!!
天から水の壁が落ちてくる。
なにが起こっているのか分からないが 生命の危機を素早く感じた。
「逃げ・・・・」
言葉を言い切る暇さえなかった。
ズドドドドッドドド~~
巨大水玉が次々と破裂していき 発生した大量の水が・・・・まさにナイヤガラ状態!!
凄まじい水流が デスア子爵と盗賊団の真上から、襲い掛かる!!
尋常でない水量である!!
流される! 流される!! 彼らは豪快に流される!
この水流は・・・・いわば・・・ウォータースライダーだったのだ!!
「うぎゅぁぁぁぁぁぁぁぁ」
デスア子爵と盗賊団たちが叫ぶ!!
しかし・・・何人かの盗賊は 何か楽しんでいるようであった。
体をくるくる回りながら・・メリーゴーランドのようにまわる!!
「うほぉぉぉぉぉ」
子供心を持つ者のみが楽しめる境地である。
ちなみにデスア子爵は子供心を持てず・・悲しいかな、顔を青ざめていた。車酔い!?
轟音ともいえる水流の音で盗賊たちの叫び声はうち消されているためミレイユたちには 聞こえない!!
ただし・・・その豪快な濁流を見て ちょっとやりすぎたかなとミレイユは思ったが・・・
別に・・・誰かに迷惑をかけたわけでもないので、気にもならなかった。
それから再び ミレイユとエレオノーラ王女は魔法練習を再開した。
空中に作られるいくつもの魔方陣、そこから放出される水玉。
そして・・・何度も繰り返すナイヤガラ!?
その後、メンテナンスが終了したとの報告を受けたので ミレイユたちは馬車内に戻り、
五台の馬車は なにごともなかったように 人知れずの森深くへと進むのであった。
盗賊団を無意識に撃退したことを知らずに・・・・
ウォータースライダーもどきによって数百メートル流され、地面にひっくり返されているデスア子爵と愉快な盗賊たち。
「な・・・なんという女どもだ! 先制攻撃をしてくるとは!! なんと卑怯な!!」
実に自己中なデスア子爵であった。それとも天然か!?
周囲の盗賊たちは ツッコミなどいれずに静かに聞き流す。
「いくぞ!! あの女どもを捕まえてやる!! 盗賊団シーフの意地を見せるのだ!!」
「え~~! え! へい!」
性懲りもなくデスア子爵と愉快な盗賊たちは 引き続き、五台の馬車の追跡を始めたのである。
あの女どもに決して関わるべきではないという予感、または直感を 長年の経験から盗賊たちは感じていたが・・
デスア子爵には そんな直感はなく、やる気満々となり追跡を指示する。
「あの馬車は鬼門だ!! 関わり合いたくねぇぇ」
「やばい やばいぞ あれは!」
盗賊たちの囁き声は 子爵に聞こえない。
服が水で濡れているため 体力の消耗も激しいはずなのだが それでも めげることなく子爵は走る。執念である!
そして、子爵に促された盗賊団は 悪い予感が当たらないように祈りながら・・・しんどそうに走る。
「ぜいぜいぜいぜい!!!」
「子爵様~ ぜいぜいぜい 」
「おい! 何度言ったら分かるのだ!! 仕事中はお頭と呼べと言っとるだろうが!! ぜいぜいせい」
「へい すみません お頭! ぜいぜい」
子爵も盗賊団も息切れして ふら付きながらも・・・がんばって、いつのもテンプレ会話をしたww
ご苦労な盗賊団たちである。
実は馬車に装備している魔導探査レーダーによって 何らかの生物が追尾していることにサラは気づいていたが、
危険はないだろうと判断してミレイユたちには教えていない。
教えるとエルノスティ国王あたりが大喜びしそうだったからである。
本当に危険なら メアたちで対処できるだろうとも考えていた。
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デスア子爵以下盗賊たちは 人知らずの森を 息切れしながらも走る!
しかし・・・5台の馬車の疾走に追いつけるわけもなく またたくまに距離が離れていった。
「ぜいぜい・・・追いつけない!! さすがのゴーレム馬ってとこか!!」
デスア子爵は悔しがるとともに 人知らずの森の奥に入りすぎたことに気付いた。
冒険者たちの話によると・・・この森の奥深くには 守護者と呼ばれる凶悪な魔物がいるらしい!!
「まずい! どうやら森の奥に入りこみすぎたようだ!!」
すると・・なにやら森の雰囲気が変わった!
何かがうごめき、空気を震わしている。
周囲の鳥たちが 何かから逃げるがごどく一斉に上空へ飛び上がった。
「来る! 何かがくる!! 気おつけろ!」
森の奥から怪しい人影が 多数こちらに向かって走ってくるではないか!!
盗賊たちは 各々の武器を持ち臨戦態勢にはいる。
その影は 凄まじい勢いで森を走り デスア子爵以下盗賊たちに目がけ突進してきた!!
ズドドドドド~
すさまじい速さである!! 残像が残るほどの速さ!
その突進に一人の盗賊はよけ切れず・・・跳ね飛ばされ 宙を飛ぶ!!
「なに!!」
デスア子爵は その人影の正体を見た!
人の形をしているが 人ではない!!
金属製の光るボディーを持つ身長3m近くの人型魔物!!
体のあっちこっちにチューブのようなものが巻き付いており そこから蒸気を発生させていた。
ちょっとマニアックな形態であるww
武器類は持っていないが、この人型魔物の突進力は凄まじい。
「なんだこれは!? 魔物!? いや・・ゴーレムだ! まちがいなくゴーレムだ」
「これが噂に聞く・・・ 森の守護者なのか!?」
多数のゴーレムが盗賊団の周囲を包囲するかのように駆け走る。
見るからに重そうな金属製のゴーレムなのに・・・軽快に走りまわる。
あんなものを正面からぶち当たれば・・・突進力だけで吹き飛ばされるだろう・・・
あきらかに・・・勝てない!
そんな圧倒的な力を持つゴーレムが多数駆け走っているのだ!!
だが・・・こちらに襲ってくる様子はない!!
様子はない!!のだが・・・・凄まじい謎の威圧が のしかかってくる。
空気が重い!! 物理的に重いのだ!!
これはなんだ!? 魔法なのか!?
手足が震え・・・武器も容易に持てなくなってしまっている!!
これは・・・あきらかな威嚇!!
{ 森から出ていけ! }というメッセージなのかもしれない!?
盗賊たちはデスア子爵に注目する。
子爵は青い顔をしていた。
戦えない!! ならば選択は一つ!!
「逃げろ!! 奴らを怒らせるなぁ 逃げろ! 逃げろ!」
デスア子爵の声が森に響きわたり、それにあわせて子爵や盗賊団は猛ダッシュで逃げた!!
疲れていて・・・フラフラのはずだが 全力で逃げたのである。
火事場のバカ力である!! 追いつかれたら死ぬ!!!
そんな死に物狂いの彼らを・・・ゴーレムたちが追いかけてきた。
あげくに とある異世界の・・とある運動会で よく耳にする軽快なBGMが森全体に響き渡る。
このBGMを流したのはもちろん盗賊たちではなく・・・おそらくゴーレムたちであろう!!
BGMの発生源は不明だが 間違いなくゴーレムの製作者は こういうノリが好みだったのだと予想できる。
とりあえず 運動会である!?
BGMにあわせて、かろやかに走るゴーレム。実に楽し気である。
それに反して、涙を流し、よだれを垂らしながら全速力で走る子爵たち盗賊団。
軽快なBGMが逆に精神を蝕んでしまい・・・心も体もボロボロになりながら走り続ける。
真後ろにまで迫るゴーレムたちだが・・・・決して子爵たちに追いつこうとはせずに、適度に手加減を与え追いかけ続けた。
ゴーレムたちの目的は 抹殺ではなく 森から追い出すことを目的としていたのであった。
そして・・その日の夕方。
人知れずの森の出入り口付近。
夕日を背に呆然と立ち尽くすボロボロの集団があった。
無言のまま、まるで自然と一体化するほど動きがない。
これはまるで・・・モアイの石像!!
きっと・・・失われた大陸かなにかを眺めているに違いない!!
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デスア子爵と愉快な盗賊たちとゴーレムが楽しく運動会をしていた頃・・・
ミレイユたち5台の馬車が とある場所に到着した。
木々のない小高い丘のようなところに 錆びた鉄製の建造物が横たわっていた。
古びた高層建築物らしきもの・・・
世紀末的ゴーストタウンというべき雰囲気である。
この地こそ・・・サラが探していた超古代文明遺跡!!
その古びた建築物を見て・・・・サラが思わず叫び声をあげてしまった!!
「あれは東京鉄塔だ・・・・なんてこと!! ここは前世で暮らしていた星・・・地球だったのか!!」
ひざをおり砂地にへたり込むサラ。
その姿を見て困惑するミレイユ。
・・・・メアは端末を操作して 衝撃のラストシーンにふさわしいBGMを流していた。
もちろん雰囲気づくりである。
サラもその雰囲気に乗ったのか、両手を空にかがげながら・・なにやら演技をしていた。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) この東京鉄塔は何代目でしょうか!?




