飛空円盤・墜落す!?
ミレイユ聖女帝国・飛空円盤は 地平線の遥かかなたを航行しているヴィジャナル王国飛空艦隊に対して、
数撃ちゃ当たるという古来から伝わる精神にもとづき電磁砲をやたらと乱射しながら、紅茶海を北上していた。
「会戦前の景気づけだ!」
サラの格言である。
または、エルノスティ国王の趣味である。
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海面すれすれを航行しているヴィジャナル王国飛空艦隊の周囲から、不可思議な風切り音がするやいなや、
多数の水柱を作り上げていた。
ズドドドトゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
すさまじい轟音とともに・・・
片道200kmを飛翔してきた電磁砲弾が降り注いできたのだ!!
先ほどまでハエのように しつこくまとわりついていた敵小型艇が撤収した直後に
どこからともなく飛来する砲撃の水柱!!
間違いない!! 近くに敵の艦隊がいる!!
それも大口径を撃てることができる大型艦艇が・・・
王国艦隊旗艦であるシュレーゼン艦橋では怒号が飛び交い乗組員たちは大混乱していた。
「敵の位置を確認しろ!!!」
しかし、乗組員たちは、周囲の索敵に専念するが敵の位置が不明なのである。
見えない敵からの砲撃!?
反撃しようにも敵の艦艇を確認できない。
一方的な砲撃である。
間の悪いことに 艦隊司令のナバ―ラル伯は不在であり、明確な指令をだせないという失態をやらかしてしまっている。
そうです! ナバ―ラル伯は大喜びとなってメアたちと追いかけっこをしているのであった。
このような断続的な砲撃を食らい続けると・・
乗組員のストレスは溜まっていき 士気の低下が気になるところだ!!
しかし だからといって絶望的な状況ではなかった。
たしかに 水柱の衝撃はすさまじく、水柱が吹き上がるたびに、艦隊全体がその衝撃波で揺り動かされるが・・・
とにかく命中率が低すぎて、艦艇に命中していない!
どうやら敵は、おおまかに砲弾を撃っているのではないかと思われる。
「そんな運任せの砲弾など当たるものか!!」
王国艦艇の乗組員の一人がとんでもない発言を言い放ってしまった!!
これはフラグである!!
とんでもないフラグを立ててしまった!!!
たしかに命中率はかなり低く・・・・命中する艦艇は存在しない!!
のだが このフラグによって命中率は100%に跳ね上がり ついに命中した!!!
ドカ―――――ン
今!! フラグの旗に命中した運の悪い飛空艦の一隻が、大爆発をしている。
たった一撃で 船体中央が崩壊し、二つに割れ、飛空艦は海に落ちていった。
おそるべき電磁砲!! そして、恐るべきフラグ!!!
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それから・・・・数時間後!!
相変わらず王国艦隊旗艦シュレーゼンの機関室出入口でナバ―ラル伯とメアたちが死闘を演じているのだが、その話は横に置いといて・・・・
地平線かなたにかすかに浮かぶ円形の物体が ヴィジャナル王国飛空艦隊に徐々に近づいてくる。
徐々に 徐々に・・・・ そのかすかな物体が確かな形として出現したのだ。
・・・・ついに来たのだ! 奴らが来た!!
半径300mの巨大飛行円盤、すなわち ミレイユ聖女帝国本体の登場である。
飛空円盤と王国艦隊、その間の距離が10kmほどに近づいてきた。
電磁砲の命中率が100%となる距離である。
実際に有効射程距離内にはいっており、ターゲットロックも完了している。
ここで ミレイユは最後通告をすることになった。
エルノスティ国王あたりは 通告などいらん!! すぐ撃てという目をしている!
あっ! サラも撃ちたがっている目をしている!!
というか・・・ エレオノーラ王女とか パウネリア侍女大臣までも ディスプレイ越しに敵を睨んでいる!!
戦闘は避けて!! というような目をしてるのはユリティーナ姫ぐらいか!?
ちょっと前まで、ヴィジャナル王国陣営の人間だったのだから仕方がない。
と・・・とりあえず、気を取り直し聖女帝国女帝として最後通告をすることになった。
王国艦隊兵士たちにも聞こえるように 大音量の拡声器を通しての通告である。
『 おっほほほほ~
余は聖女帝国女帝! 愚かなる者どもよ ふれふして聞くがよい!
我が聖女帝国の強力な砲弾が お前たちに襲いかかってくる。
この強力な砲弾一発で 王国艦艇程度など すぐに吹き飛ぶであろう。
お前たちには 二つの選択肢がある! 降伏か死の選択だ
お好きな方を選ぶがよい!! 』
ミレイユは サラから出された原稿を読み上げたのである。
疑問を持たず ミレイユは原稿をそのまま読みあげてしまった~
そして 読み上げた後、気づいたのである。
ちょっと恥ずかしすぎる・・あれな原稿だったと・・・・
最後通告の内容はサラの趣味によるものであった。
コンセプトは 今はやりの悪役令嬢!?ぽい演出だそうだww
そして・・・・高飛車なミレイユの最後通告の演説は・・・・
・・・・戦場にこだま・・・・しなかった!!
飛空円盤と王国艦隊との距離10kmは長すぎた。 大音量をだしていても無理な距離である。
たまたま 声が届いたとしても小声になってしまって聞き取れないはず!!
その上、ヴィジャナル飛空艦のエンジン音、艦内の密閉性により
最後通告の声を聞いたものはいなかったであろう!!
「おねーさま・・・・ 演説は失敗です。 敵兵の耳には入ってないようです」
「え~なんだって~ こんな恥ずかしいセリフを言ったのに~」
本当に恥ずかしい!! ミレイユの顔がすこし赤くなっている。
しかし、エルノスティ国王は この演説にたいへん満足したらしく 俺にも演説させろとマイクをとりに来た!!
・・・・これはカラオケじゃないんだから!!
というか ミレイユからマイクを分捕り、気分よさそうに歌じゃなくて演説を始めた。
☆☆ 放送禁止用語が羅列するので・・・・エルノスティ国王の演説は省略します ☆☆
ということで・・エルノスティ国王はあらん限りの罵詈雑言を敵に向かって言い放ったのであった。
多分、ミレイユと同様に敵の耳には入ってないだろうが・・・
しかし・・・ルナーリア王妃(仮)だけは拍手喝采するのである!!
ま~いいけどね!!!
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ミレイユ及びエルノスティ国王からの最後通告の声は届かなかったが、
飛行円盤の存在だけは視認したようで、ヴィジャナル王国艦隊からの砲撃が始まった。
しかし、王国艦隊の大砲では10km遠方の距離まで飛ばすことはできず
すぐに砲弾が届かないことを理解したのか、砲撃をやめてしまった。
鼻息荒いエルノスティ国王は 艦橋のディスプレイで砲撃の様子を眺めていた。
「なるほど!! この砲撃は敵からの返答というわけだな! 迎え撃つぞ!!」
エルノスティ国王は実に嬉しそうである。 やる気満々である
エレオノーラ王女もパウネリア侍女大臣も同意したかのようにうなずいている。
「おねーさま! 敵の砲弾はこちらに届かないようですね。
ならば・・・すこし遊んでやりましょう!!
威嚇として景気づけに おねーさまの小刀砲を撃つのはどうですか!? 」
サラはミレイユの腰に吊るしている小刀に目をやった。
「威嚇!?」
サラの提案にミレイユは考える。
46cm小刀砲はミレイユの魔力も合わさり とんでもないぐらいの威力を持つ。(核兵器並み!?)
撃った本人であるミレイユさえ、その爆発エネルギーで吹き飛ばされかねない!
そうです!!・・・威力は折り紙つきである!!
その驚異的爆発力を見せつけて敵を降伏させることができたら それだけで犠牲者が減ると・・・
・・・・できるだけ人死には避けたい!!
こんなに大戦争をしているのに まだまだ覚悟が たりないミレイユだった。
「脅しか! いいぞ! やってやれ~ 目にもの見せてやれ」
こんなに大戦争をしているのに まだまだ血の量がたらないのか!? 戦いを望むエルノスティ国王だった。
エルノスティ国王だけではなくエレオノーラ王女など、その他面々はミレイユに注目した。
期待の目である。 ちょっと目が血走ってるよ!!
飛空円盤・艦橋内では 威嚇のため小型砲を撃つのは 当たり前という空気になっている。
仕方がない!!
ミレイユは腰に吊るしている小刀を右手で掲げて、艦橋にいる面々に対して 小刀砲を撃つ意思を示した。
・・・・・その瞬間!! 警告音がけたたましく鳴り 艦橋オペレーターが叫んだ。
『 敵大型艦の艦首にエネルギーの反応あり!! こちらに向けて何かを撃とうとしています!! 』
サラはディスプレイに その敵大型艦をズームアップさせて、攻撃準備中の様子を表示させた。
「不味い!!!!」
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ヴィジャナル飛空艦隊は飛空円盤に向けて砲撃を始めたが、あまりにも遠く射程外であったため砲撃をあきらめた。
しかし 大型飛空艦シュレーゼンには必殺兵器があったのだ!!
超古代文明の遺産というべき兵器!! それは魔導投射砲である。
総司令官のナバ―ラル伯は メアとの戦闘のため不在であったが、飛空艦シュレーゼン艦長の独断により、
魔導投射砲の使用を決定したのであった。
飛空円盤の方向へと飛空艦シュレーゼンは回頭した後、艦首の先が扉を開くように二つに割れた。
そして、その中から 光輝く巨大な砲塔が現れたのである。
これが魔導投射砲!!!
「よし! 魔導エネルギーを注入せよ」
飛空艦シュレーゼンの艦橋は、慌ただしく乗組員が走りだした。
「魔導エネルギー100%注入終了! ターゲット確認!! 対閃光シールド全開! 」
「魔導投射砲。発射!!」
今! まさに二つ目の太陽が現れたような強烈な光を発すると 青い光が空気を光らせながら、飛行円盤へと光の矢が放たれた。
スドドドドドーン
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「サラちゃん!」
ミレイユは叫んだ。
艦橋のディスプレイは青い光に包まれ警告音が鳴り響いた。
この異変に思わずルナーリア王妃(仮)はエルノスティ国王の腕にしがみつき顔が引きつっている。
「ほう!! あれが超古代文明の兵器か!! 興味深い」
国王は楽しげに笑いながら ルナーリア王妃(仮)の頭をなでた。
エレオノーラ王女は顔を真っ青にしながら 余裕な態度を見せる。 やせ我慢である。
「大丈夫です! 飛空円盤の全エネルギーを電磁防御にまわします。 あの程度の攻撃!、傷さえもつきませんよ!!」
サラはすかさずコンソールを操作すると、艦橋内の全ての明かりが切れ 緊急点灯の白色ライトがついた。
飛空円盤内のエネルギーを電磁防御に振り向け、艦内のエネルギーが全て失われたからである。
サラの咄嗟の判断により、飛空円盤の電磁防御の厚さが膨らみ・・・
シュレーゼンから放たれた魔導投射砲の攻撃を正面から受け止めるわけではなく・・・・飛空円盤の上空をかすめて地平線向こうに飛んでいった。
魔導投射砲の光の矢は外れたのか!?
いや! 違った!!
飛空円盤の全エネルギーを電磁防御に振り向けたため ロータリー魔道エンジンの稼働が止まり、重力にひかれ落下したのである。
ヒュルルルルル~
世間的には墜落と呼ばれる現象である!!
高度1000mからの自由落下
飛空円盤の突然の落下により、魔導投射砲の光の矢は命中しなかったのであった。
「しまった~ やっちゃった~ 魔道エンジンまで止めてしまった!!」
サラの悲鳴が艦橋をこだまする!!
またまたやってしまった!! サラのミス!!!
しかし、艦橋内は静かであった。
それは反重力魔道装置のおかげである。
この飛空円盤内では慣性の法則を打ち消しており、急降下、急上昇、急ターンしても、艦内では揺れひとつもなく
乗り物に乗っている感覚すらなかったのである。
「墜落してるの!?」
エレオノーラ王女のなにげない発言である。
「うん 墜落してるよ! もうすぐ海面衝突! でも大丈夫だよ!!」
バシャ―――――――ン
高度1000mからの自由落下で みごとに飛空円盤は海面に衝突してしまった!!
しかし 飛空円盤の電磁防御によって船体に傷すらつかず、反重力魔道装置によって艦内はいたって平穏であり、衝突の衝撃がはしることはなかった。
艦橋にいる面々は いつものように涼しい顔をしている!!
海面に激突しても勢いが止まらず そのままの勢いで、深海に潜ってしまい潜水艦のようになってしまった飛空円盤は 再びロータリー魔道エンジンを起動し、
海面上に浮上した。
そして、艦橋のディスプレイで外部映像を目撃したのである。
「この状況! 乗るしかないよね!! この大波に・・・」
サラの一言である。
意味が分からないミレイユ。
そうです!
外部ではたいへんなことになっていたのである。
半径300mの巨大円盤が高度1000mから海面に叩きつけられたショックで、巨大な水柱ができあがった。
空前絶後の巨大水柱、高度500mまて吹き上げられ、それともなう巨大な波!!
落下地点を中心として、高さ200mの大波が周囲を襲ったのである。
ドドドドドドドドーー
この波は そのまま・・・・
海面すれすれを飛行するヴィジャナル飛空艦隊の頭上を覆うように襲いかかったのであった。
-------------------- To Be Continued これぞ! 世界最大のビッグウェーブ




