紅茶海飛空決戦
ヴィジャナル王国飛空艦隊への奇襲をかけるべく大空をかける攻撃部隊。
大型輸送機フガク2型 3機を中心とした小型飛空船ハヤブサ15機の編成である。
現在 飛空円盤・艦橋のディスプレイには、フガク2型から送られた風景が映し出されていた。
そこは、澄み切るほどの雲ひとつない青空。
海と空が一体化して どこまでも広がる青い世界。
飛空円盤の飛空している空域の遥か北方の海上、紅茶海である。
そんな青の世界に 多数の黒点を発見した。
ゆっくりと西に向かって移動している。
その黒い点の動きにあわして 聖女帝国・特別攻撃隊は、
太陽光の中に隠れるように はるか上空へと上昇する。
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高度1000mを西に向かってゆっくりと進むヴィジャナル王国飛空艦隊。
地平線まで広がる青空の中、敵の影もなく平穏な時間が過ぎていく。
太陽の日差しが強く照らされ 小春日のような気温となって、艦隊の乗組員はリラックスした気分となっていた。
しかし、その遥か上空10000mに忍び寄る危険な存在!!
聖女・セルーカの閣僚メンバーは、艦橋室で緊張していた。
ディスプレイには、特別攻撃隊の遥か下を西に進む敵飛空艦隊が映しだされている。
他のモニターには敵の詳細データーが次々と表示され多くの数字が羅列されていく。
サラは真剣な目でモニターを眺めていた。
・・・・ついに赤い警告音が鳴った。
「いよいよ なのね!!!」
ミレイユのつぶやきとともに戦いは始まった。
大型飛行船シュレーゼンを中心とした艦隊編成をしているヴィジャナル王国飛空艦隊の遥か上空から
ほぼ真っ逆さまの状態のまま 機銃を乱射しながら落ちてくる物体。
それは、聖女帝国・ハヤブサの15機であった。
『 奇襲に成功せり とと・らら・とと・らら 』
飛空円盤・艦橋で この映像を見ていたサラはニヤリと笑う!!
太陽を背に 遥か上空からの逆落とし戦法。
ヴィジャナル王国飛空艦隊の監視員も、太陽の光が眩しすぎて視認できず、撃たれるまで気づかなかった。
完全な不意打ちである!!!
旗艦大型飛空船シュレーゼンの艦橋で指揮をとっていた軍務相であり艦隊指令でもあるナバーラル伯は、
いきなりの激しい振動のため、尻もちをついてしまった。
かつての武人として名を上げた頃とは違い、寄る年波には勝てず運動神経が かなり衰えていた。
「なにがあった!?」
「敵の攻撃です!」
「第一飛空動力室に被弾!! ただいま消火中です」
「飛空力10%減少」
「密集体系をとれ! 全艦隊対空射撃!」
シュレーゼン艦橋内では 蜂の巣をつついたような騒ぎになっていたが、
この騒ぎを より助長する出来事が起きた。
艦橋の窓から 閃光が見えた瞬間、近くの僚艦3隻がいきなり火を噴き爆沈したのだ。
驚きの表情と悲鳴をあげる艦橋要員たち。
「フェル4番艦撃沈!!」
「セト1番、12番艦撃沈」
ほぼ一方的に損害を出す王国飛空艦隊。
飛来したとおもわれる敵小型艦艇の撃墜報告がはいっていない。
ヴィジャナル王国飛空艦隊の対空閃光が激しく乱射するが 敵小型艇に命中せず虚空をむなしく切っていく。
敵小型艇の速度が速すぎて、撃墜できないでいた。
また 再び一隻の味方飛空艦が火を噴きながら傾きつつ 旗艦シュレーゼンの目前で巨大な火柱とともに爆沈した!!
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ハヤブサはヴィジャナル王国飛空艦隊に対し、猛烈な機銃射撃による一撃離脱を繰り返す。
特に上空からの逆落としは、重力落下の力も加わり猛スピードによって、敵からの射撃ターゲットになりにくいという利点があった。
そして なによりも王国兵士たちを恐怖させたのは、王国艦艇の対空射撃が命中したとしても、ハヤブサの装甲を撃ち破れなかったことである。
操縦室のガラスか、エンジン部分でも当てないと撃墜はおそらく不可能であろう!
ほぼ一方的な攻撃で、次々と火を噴く王国飛空艦隊。
ハエのように飛び回るハヤブサに手も足もでない状態であった。
軍務相であり艦隊司令のナバ―ラル伯は 艦橋内から遠眼鏡で戦闘の様子を観察していた。
一言も発さない! 遠眼鏡を持つ彼の手に汗がにじむ。
素早い動きをする敵機の弱点を なんとか見極めようとしていたのだ!!
そして・・・ナバ―ラル伯は気づく!!
高速のスピードを出しているためか・・・・・敵機の旋回が大回りになっているではないか!!
うむ!!
「全艦隊! 急速降下、海面すれすれに降下せよ!!」
「指令閣下!? はっ! ただちに」
艦隊司令の命を受け ヴィジャナル王国飛空艦隊は 急速に降下をはじめた。
「全艦隊の所属している魔導師たちに伝達せよ!
いつでも火玉を討てる準備! それも高温の火玉を出すように連絡だ」
「指令閣下! あれをするつもりなのですね」
「マリウス君は分かってくれたかね!! 火玉を撃つタイミングを君に任せる
わしは歳をとりすぎて、決断が鈍ってしまっているからな! あっはははは」
「はっ 喜んでやらせていただきます!」
参謀のマリウスは遠眼鏡で眼下の海面との距離を測る。
小型飛空船ハヤブサからの執拗な攻撃を受けつつ、降下しつづける飛空艦隊。
対空閃光が煌めき、爆音が鳴り響く。
すでに20隻は撃沈され、損害も拡大中であった。
ヴィジャナル王国飛空艦隊が海面すれすれにまで近づいたとき、参謀のマリウスは命じた。
「全魔導師、海にむけて火玉を撃て!!」
その声と同時に、モールス魔道伝達機によって、全艦隊に指令が飛ぶ。
その指令にもとづき、各艦艇に乗り込んだ魔導師たちが詠唱をとなえ、火玉を作り出した。
そして・・・ その火玉が 海面に向かって次々と放出される。
王国艦隊から 一斉に放出された数多くの火玉の光が海面を照り返し 海を真っ赤に染める。
飛空円盤・艦橋のディスプレイで この映像を見ていたミレイユは 恐ろしさを感じた。
赤く染まる朱色の海は、とてつもなく怖い!! ・・・ なにをしようとしているの!?
数多くの高温火玉は・・・・海面と接触した!!
すると・・・衝撃がはしる!!
壮絶な轟音と巨大な水柱!!
水煙が天へと登り、周囲一帯が白い・・・・霧でおおわれたのである!!
水蒸気爆発と言われる現象である。
ヴィジャナル王国飛空艦隊が 水面きりきりを航行しているため、上空からの逆落とし戦法が封じられ、
その上、霧のためか視界がきかない!
一機のハヤブサは視界が効かず、王国飛空艦の一つに激突してしまい、火薬庫に引火、飛空艦は周囲の艦艇を巻き込んで大爆発をしてしまった。
もう一機のハヤブサは 霧により操作をあやまり 海面に激突、巨大な水柱を作り上げてしまっている。
確実にハヤブサが また一機、また一機と撃墜していった。
どうやら・・・軍務相であり艦隊司令のナバ―ラル伯の策に引っかかってしまったようだ。
さすが歴戦の勇者であり軍務相というべきか!!
ただし! 視界が効かないのは ハヤブサ同様に王国飛空艦隊も同じことであった。
そのためか、王国飛空艦同士の衝突事故、誤射が多数発生してしまっている。
しかし 飛空艦の航行速度をかなり落としているため 衝突事故による損害は軽微である。
それに引きかえ・・・猛スピードを出しているハヤブサにとって 視界のきかない霧はたいへん危険なものとなってしまった。
飛空円盤・艦橋のディスプレイには 次々とハヤブサ撃墜の情報が表示されていく。
「ちっ 敵は強い! 予想以上の損害だ」
サラは席に腰を下ろしてしまった。
すでに 小型飛空船ハヤブサ15機のうち 5機は海面激突、3機は敵飛空艦に激突している。
大損害である。
-------------------- To Be Continued 戦いは始まったばかりだ!!!




