妾の名はエレオノーラ! やせ我慢中である
ユスティネス公爵領のとある公爵の屋敷にて・・
執務を行っているのはライオネン=ユスティネス=ユリティーナ。
ユリティーナ姫である。
現在、父親にかわり執務中である。
実質的に領主といっても過言ではない。
まぶしい日差しが窓を通して執務室を照らす。
こんな暖かい昼下がりなのに、なぜか冷や汗が出るユリティーナ姫。
ユスティネス公爵水軍の海賊討伐についての報告書を読んでしまったからである。
事情を知らない者が読めば、荒唐無稽あつかいされるトンデモ報告書であったのだが、
ユリティーナ姫にとっては 深刻な状況ではないかと推測した。
5隻の大型帆船が海賊船を追撃中に、
見たこともないとんでもない強力な砲撃の威嚇を受けたということだ。
それも、海賊たちを助けるために!!!
この公爵領付近で、そんな とんでも兵器を使える連中として、一番先に思いつくのは・・・
・・・・妹たち!!
戦闘を望まず、威嚇砲撃を仕掛けてきたというあたりが、
神の代理人を自称する妹たちらしいやり方だ!!
・・・となると問題は、
妹たちと 海賊との関係である!!
とにかく、報告書だけではなく 詳しく当事者に聞きたいところである。
さっそく、ユリティーナ姫は 5隻の大型帆船を指揮をしていた艦隊司令と各船長を呼んだのであった。
彼らは 巨大な水柱を作り上げた凄まじい砲撃のあらましを説明していった。
海に浮かぶ巨大円筒形の建造物から、十数発の巨砲が撃たれたのです。
その巨砲が 我らの艦隊のはるか前方の海面に衝突、
その衝撃波によって 海面を引き裂き・・・・
今まで経験したことないほどの 山に匹敵する巨大波が!!
我らの艦隊に襲いかかってきたのです!
ユリティーナ姫は コクリとうなずきながら、凄まじい兵器について考察する。
ユスティネス家の秘宝、超魔力磁力砲に似ている!
この兵器を艦砲にまで大型化したのではないかと・・・・
「申し訳ありません! しかしながら、あのような凄まじい砲撃は見たことがありません」
「おそらく 一発で我らの大型船が吹き飛ぶと考え、それ以上の攻撃を断念せざろうえなかったのです」
ユリティーナ姫は何も喋らず、静かに指令と船長の説明を聞きつづけるのであった。
彼らにとって、無表情で聞きつづけるユリティーナ姫は 非常に不気味である。
海賊を取り逃がしたため なにか罰せられるのではないか!?
荒唐無稽すぎて信じてもらえてないのか!?
一通り説明を聞いたユリティーナ姫は
「ご苦労であった! みなの献身が海の防衛に多大な貢献をしている! それと・・・・
強力な砲撃に遭遇したことに対して、他言無用、 緘口令をだしておいてほしい!」
「承知いたしました」
艦隊指令、船長たちは心から安堵した。
罰せられるわけではなかったと・・・
わずかに、肩の荷がおりた彼らは、敬礼ののち執務室から去っていった。
「海賊と組んで 何を始めるというのか!?」
ユリティーナ姫は、目をつむり考える。
妹sと海賊コラボによる海岸付近の大規模略奪イベントの可能性なのか!?
いずれ、妹たちと対決せずには済まされないだろうなと・・・・
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半壊した小型帆船の亀裂から内部に入り込むゴーレムメイド、AGM-メア001型 略してメア
『 お邪魔します 』
お気楽な声が半壊した帆船の内部に響き渡った。
帆船の船底には奴隷を閉じ込めておく檻が存在する。
檻は狭く、立つことは出来ない。 せいぜい座るか寝る程度の大きさである。
そんな、狭苦しい所で、二人の若い女性が檻に囚われていた。
彼女たちは あきらかに質のよい生地で、
高貴な人物が着ていそうなドレスをまとっており、顔立ちも気品にあふれている。
奴隷の価値としては 最高級品である。
その二人の中でも、エレオノーラと呼ばれた女性は より気品があり、血筋の良さを 特に感じ取れるのであった。
彼女は 檻に入れられてるとはいえ、まったく恐れることなく かなりの余裕で、
状況を見守っている。
余裕の顔で・・・
あたかも平気な顔で・・・ ・・・・震えている!!
エレオノーラは 震える手足を隠しつつ、無理やり余裕な表情をしていたのであった。
彼女はセル―カ王国王族である。 どのような危機に晒されようが動揺してはならぬのだ!!
たえず涼しい顔で、余裕の態度。 これが王族としての威厳である。
腰まで掛かる長い銀髪を、手でかき上げながら、余裕な表情で、
もう片方の女性に語る。
額に汗をかきながら・・・
「パウネリア、恐れることはない! 妾の魔術にかかれば、このような檻など
たやすく破壊できるはずなのじゃ!!」
「は、はい エレオノーラ様」
パウネリアという名の女性は、セミロングの金髪を揺らしながら、
黒い染みのついた檻をちらちら見る。
実は、この檻に閉じ込められてから、なんども魔法攻撃で檻を破壊しようとしたのだが、
うまくいかず、黒い焦げ目を作る程度だった。
エレオノーラ様の魔法力が決して劣ってたのではないのです。
それどころか、かなり最強の部類に、はいるお方なのです。
しかし・・・・
この檻の中では、魔力を減退させる魔具が仕込まれており、魔導士を閉じ込める専用の檻でもあった。
海賊たちも 必死になって魔法攻撃しているエレオノーラ様を何度か目撃し、
あざ笑い、バカにしてたのである。
「バカ姫! せいぜい、頑張りなぁ だがな、怪我はするなよ!
高く売れなくなるからなぁ ぐぅはっははははははは」
しかし、エレオノーラ様は、まったくめげていなかった。
「 あんな海賊どもに エレオノーラ様の持つ本当の魔力を知るはずもありません! 」
侍女として わたくしパウネリアは はげまし続けたのである。
ちなみに、エレオノーラの魔法攻撃を 余裕で跳ね返したあげくに、
返り討ちにしてノックダウン。 そのまま、檻に閉じ込めたのは 黒ひげの海賊船長である。
侍女のパウネリアは あまりのエレオノーラ様信仰によって、
海賊船長に一撃に倒されたことは なかったことにしているのである。
あれは たまたまよ! 本気になったエレオノーラ様はお強いのです!!
いつでも、どこでも強気のエレオノーラに、信頼しきっているパウネリアであった。
しかし 実際は強気でもなく 足が震えて泣きそうなのだが 堪えて強気な表情だす。
侍女に弱みを見せるわけにはいかないエレオノーラである!
そんな、薄暗い船底の檻に、一筋の光がはいる。
『 もしもし、 お困りでしょうか!? 』
二人の囚われ人を相手に 呑気に質問をするメアであった。
メイドがなぜ、ここに!?
エレオノーラとパウネリアは顔を見合わせる。
どんな状況でも、強気のエレオノーラは、強気に答える。
もちろん! やせ我慢である。
「 困ってはいないが・・・ そろそろ外に出て空気でも吸いたいので、檻をあけてくれないか? 」
『 そうですね! 檻を開けるには お嬢様にお聞きしてからということで、
とりあえず空気を吸いたいというのなら・・・ 』
「・・・・なら!?」
『 檻を引きずって 外にだしますよ 』
「えっ」
メアは 二人の少女の入ってる檻を片手で掴み、そのまま軽々と外に 引きづっていく。
ズルズルズルズル
ちなみに檻は鉄製である。 数人がかりの大男でないと動かせないほどの重量がある。
そして この檻は船に固定してあったのだが、みごとに固定部分を破壊して引きずるのであった。
その怪力ぶりは、異常である!
人間とは思えない。
それも、このメイドの体系は、一般的女性なみ、いや! やせ気味である。
おまけに、かわいい顔だちである。
「・・・・・・・」
化け物メイド!!
二人は、思わず言葉にしてしまいそうだったので、手を口に押え、声にすることはなかった。
もし・・・気を悪くして襲ってきたら ひとたまりもない!
でも・・・不味い!? このメイドに気づかれたのかな! たしか声には 出してないはず!?
メイドは後ろを振り向き、妾をチラリと見た。口元は笑っているようだが、目が鋭すぎた。
侍女のパウネリアも気づいたようだ。
このメイドの目は、普通の人間の目ではない。 死人の目!?
いや、違う! 間違いなく捕食者の目だ。 狩りをして殺すことに執着する目。
二人は恐怖に包まれ、なにも喋れない。
檻の引きづる音だけがする。
ズルズルズル
侍女のパウネリアは、恐れのあまり、主君でもあるエレオノーラの手を強く握ってしまった。
それに対して、エレオノーラは優しく侍女の頭をなでる。
しかし、実際は足か震え、目に涙をためるエレオノーラ!
絶賛!! やせ我慢中である。
メイドは、大きく溜息をして、檻を引きづるのを一旦止めた。
『 この檻の大きさでは、外まで出すのは無理そうですね。 』
メイドは、カーテシーをするように、手でスカートを持ち上げ、片足で船の壁を蹴り上げた。
ドス――――ン どすこい!!
蹴り上げられた部分の壁は、細かい木片となり粉砕され、新たなる空間が誕生した。
外からの眩しい光が船内に はいってくる。
「きゃ!」
エレオノーラは小さく悲鳴。
パウネリアに聞かれたのではないかと気にしつつ・・・
・・・・・唖然! 硬直中である。
侍女のパウネリアは、完全に主君のエレオノーラに抱き着いて震えている!
メイドは何事もなかったように、片手で檻をつかみ、 二人の囚われ人ごと檻を船外に
引きづっていくのであった。
ズルズルズル!!
エレオノーラは 囚われて以来の久しぶりな太陽を見た。
まぶしい!
太陽は、こんなに眩しかったのか!?
そして、彼女の後方には 破壊され使い物にならなくなった小型帆船が見える。
その周りには、見慣れない鎧を着た多くの騎士たちや、メイドがなにか作業をしてるようだ。
小型船付近の岩や地面に赤い染み!?
これは 血だ!!
血の跡が周りの岩や地面に こびりついている。
それを 騎士やメイドたちが 何かでこすって 血の跡を消す作業をしてるのであった。
何十人もいるはずの海賊たちが、どこにも存在しない!!
もしかして・・・・
海賊たちは殺されたのか!?・・・・
・・・・この人たちによって!?
よく見ると・メイド服が赤く染まっている。
それも赤黒い血! 人の血!!
鉄分の匂い!
ゴクリ!
エレオノーラは 唾を呑みメイドたちに注目していると、なにやら会話の声が聞こえてきた。
小さい声なので、断片的にしか聞き取れなかったのだが・・・
『 あの二人の女性・・・・ 処分は どうなっているの!? 』
『 まだ、殺害・・・ こちらに・・・だそうです 』
エレオノーラは背中に冷や汗を感じた。
殺される!!
海賊たちのように・・・・ 証拠すら残さず!
どうやら 侍女のパウネリアも メイドの会話を聞いてしまったようだ。
体全体を震えだし主君の胸の中で泣いている。
「うっううう エレオノーラ様!」
震える侍女の手を握り、なんとか励まそうとするが、エレオノーラも限界にきていた。
海賊とは違う、新たなる脅威が迫ってきている。 それも死の恐怖だ!!
もう、絶望しか見えない!
太陽がこんなに暖かく地上を照らすのに、二人の目には どす黒い風景に見えてしまっていた。
今まで強気を演じていたエレオノーラも、今回だけは、涙声をだしてパウネリアにしがみつく。
「パウネリア!」
「エレオノーラ様」
二人は、震えながら外の様子を うかがっていると、
60人はいると思われる騎士たちが、整列し始め、そして敬礼を始めた。
10人ほどのメイドたちも、頭を下げ始めている。
何か来る! エレオノーラは息を呑み、覚悟を決め敵の正体を睨む。
恐怖の魔王め!!!
しかし、エレオノーラが見たものは・・・・
何人かの騎士を引き連れてやってきた二人の少女であった。 それも、穏やかそうなやさしい顔の・・・
一人は、質のよい生地で編まれている品のあるドレス・・・
横にいるピンク色の妙なメイド姿の少女! 猫耳がついている!!
なにやら、その猫耳メイドの態度から察するに、ドレスの姿の人物と同格の身分と思われる!!
ん!!! 二人の整った顔かたち。 顔が似ているなぁ!! 姉妹なのか!!
もしかしたら、殺されずにすむかもしれない! そんな非道をするような人物に見えない。
エレオノーラは わずかに期待するのであった。
ドレス姿と猫耳メイドの二人は 整列する二列の騎士たちの真ん中を威風堂々と歩み、
徐々に 妾が囚われている檻に接近してきた。
『 ミレイユ聖女帝国の聖女にて皇帝 ミレイユ陛下のおなり~ 』
メイドのメアが高らかに宣言!
と同時に、キシたちが片手をあげて、皇帝万歳と声をあげる。
「皇帝陛下!?」
エレオノーラの恐怖心は驚きにかわった。
そして、すぐさま、汚れてしわくちゃになっているドレスを、できるだけ乱れを整え、謁見に備えてしまう。
常識的に、このようなとこで皇帝と名の付く者がいるわけがないのだが、
宮廷生活の慣習から つい、疑うことを忘れていたのである。
でも、横にいる侍女のパウネリアは不信な目を、妙な二人に向ける。
「ミレイユ聖女帝国なんて国名は初耳ですよ。 怪しすぎます!!」
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騎士たちの敬礼の中、歩み続けるミレイユとサラ。
「ちょっと サラちゃん! すごすぎるよ・・・・・ はずかしい」
「僕たちの威厳を見せつけるのです! おねーさまは堂々としてください」
「わたしに 威厳なんかないよ」
「がんばって~、」
ミレイユは、檻の前でしゃがみこみ エレオノーラや侍女のパウネリアを覗き込む。
この時、両者が始めて、顔をあわす。
これが運命の・・・・・・出会い!?
「あらっ かわいいお二人の方。 はじめまして!
私はミレイユよ! このキシたちを動かしている者です」
宮廷では お美しいと、よく言われたが
かわいいと言う言葉に、すこし戸惑うエレオノーラ。
いや、ちょっとうれしかったかもしれない!!
この時 横にいたサラが口をだす。
「え~ 聖女にて皇帝のミレイユ陛下でありますぞ!」
「ということらしいです! わたしは女帝ということで・・・」
威厳もへったくれもないミレイユだった。
エレオノーラは殺されるという恐怖心から 混乱と不信へと変わっていった。
女帝だと たばかっていたとしても、後ろにひかえる騎士たちの装備は、騎士として間違いなく本物!!!
そして、後方に見える円盤型の謎の巨大建造物から考えると、
女帝が嘘だとしても かなり高貴な人物と予想される。
「妾は・・・・・・
・・・・・僕はセル―カ王国 第3王子・・・」
エレオノーラは、しまったという顔になった。
妾としたことが・・・かなり焦っている!!
「僕・・・・王子?」
ミレイユとサラはハモッた。
ここですかさず侍女のパウネリアは横から口をだす。
「失礼! わたくしはパウネリア。 エレオノーラ王女様の侍女をさせていただいてます」
うまくごまかしたつもりだとパウネリアは思っているが・・・
ミレイユとサラにとっては、より疑惑が増したという感じである。
とりあえず男の娘疑惑は置いといて、サラの紹介に移った。
「・・・僕はサラです。 聖帝国の大臣にて摂政で軍事大臣 あと、おまけに技術大臣」
あきらかに 怪しさ満点の発言である。
エレオノーラと侍女のパウネリアは白い目でサラを見た。
そして ミレイユはあきれた。
「サラちゃん、 役職を盛りすぎよ。 いつのまに そんな役職についたの!?」
「いや、なんとなく・・・・ 今さっき、いや、この瞬間に就任しました。」
・・・・・エレオノーラは、檻の外の怪しい二人に率直に聞いてみた。
「ミレイユ聖女帝国・・・女帝陛下というのは失礼ながら、真実でございますか?」
「うそ!」
と、ミレイユ
「ホントだよ」
と、サラ
「・・・・・・女帝だと信じないと 檻からださないよ!」
ついにサラは、脅迫しだした!!
「これ! サラちゃん やめなさい!!」
「えへ! ごめん。
でも、でも、 ほんの一時間前に建国したので、嘘じゃないし!
騎士たちも、それなりの戦力! 領土もこの島! 狭いけど!!
帝国の女帝と名乗ってもいいんじゃないの!!」
・・・・・・なにか妙なとこに来てしまったと思うエレオノーラだった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) エレオノーラ王女は 第3王子!?




