ミレイユの南海大決戦
太陽の日差しによって海を青く照らし、視界はたいへん良好、遠くの海まではっきりと確認できる。
実にすばらしい戦闘日和の天候である。
小型船にとっては最悪の天候であるが・・・
飛空船・艦橋のディスプレイには、逃げる小型帆船と追跡する大型帆船5隻が映し出されていた。
速度の違いから、徐々に両船の差が縮まっていく。
大型帆船の船員らしき黒い影が甲板を忙しく走り回っているように見える。
何かの準備をしてるようだ。
そして、船首付近から 白い煙と赤い光を放った!!
わずかなタイムラグの後、小型船近くで 数本の水柱があがる。
ズドドドーン
「ついに戦闘か!!」
サラは叫ぶ。
小型帆船は一方的に撃たれ、反撃をおこなわない!? いやできないのか!!
大型帆船に搭載される大型砲の射程の長さが原因であるのだろう。
アウトレンジ攻撃で仕留める作戦か!
しかし 射程が長すぎて、なかなか当たらない!
数分の間、 小型船への一方的射撃が続いた。
バズゥゥーン
あっ! 一発の砲弾が当たり、帆の一つが吹っ飛んだ。
帆の損傷は、小型船の速度が下がることを意味する。
いよいよ、窮地に陥る小型船。
サラはパネルを操作して、大型帆船を望遠でディスプレイに表示させた。
「あれは・・・・・」
ミレイユも確認した。 よく目にした紋章が大型帆船の帆に描かれていた。
「ユスティネス公爵の紋章!!」
「遠慮なく 大型船を撃沈してしまいましょうか!? 」
ユスティネス公爵 = 敵 という脳内公式をもとにしたサラの おもっきりな発言である
「サラちゃん! それは、やりすぎ!
でも~~ 追われてる小型帆船は何者かが問題ね! 敵の敵は味方ということもあるし!
問題のない人たちなら助けましょう!!」
「問題ある人達ならば・・・・」
「・・・・・海にでも流してしまいましょうか!!」
ミレイユの何気ない とんでも発言である。
「ゴミを海にすてるのは感心しないけど」
「ゴミな人たちでないことを祈って、 助けましょう!!」
ミレイユの提案にサラは合意をした。
飛空船に搭載されてる電磁砲は 小型帆船と大型帆船の中間あたりの海面上に目標をターゲットする。
ここでミレイユは、あらためて艦長席に腰をおろし、艦長役となった。
目の前のディスプレイには、電磁砲12門のターゲットロックが表示されている。
攻撃準備完了の表示を確認。
「電磁砲斉射!!」
飛空船に搭載されている電磁砲は轟音とともに火を噴いた。
ドド――ン
マッハ6の投射弾12発は、目標にむけて海面すれすれを飛ぶ。
その衝撃波により、海水は天へと吹きあがり、巨大な波は海水を押し出す。
まるで、モーゼの海割のごとく!!
そして 目標の海面に弾頭が衝突したとき!
ドシャドドドン
空気を震わす轟音と吹き上がる水流。
そして天に舞い上げられた、焼き魚たち。
強大な波と水壁が姿を現す。
そうです! 巨大な水壁。 半径200M 高さ500mに及ぶ巨大な円筒形水壁を12本も作り出したのであった。
「えっと サラちゃん」
「・・・・・・」
「凄すぎる!」
「まさか あれほどの威力!!」
「小型帆船の方は大丈夫!?」
「・・・・・・あっ!」
あの大波を小型船が まともに食らうと、沈む可能性がある。
サラは、パネルを操作し、ディスプレイの映像表示を次々と変えて小型帆船の行方を探した。
「見つけた! ちょっと まずいかな」
あまりの大波のため小型帆船はコントロールを失い 危険区域に流され・・・・
・・・・・大変なことになってしまっていた!
この島の沖合1km先の浅瀬で岩礁に乗り上げ、ほぼ大破、
帆は吹き飛び、帆船の真ん中から真っ二つに折れている。
もう船としては 使えないだろう。
しかし、 どうやら乗組員は無事らしい!
船の割れ目から外に脱出する船員を多数確認。
「メアたちを派遣 救助してあげて!! 」
ミレイユの指示で、飛空船のハッチが開き、 メアたち8名が小型船の救援に向かうのであった。
大型船のほうは、とんでもない水壁を見たショックなのか、進路を変えて、
こちらに接近するのを躊躇してる様子だ。
さすがに、あの威力を見て突入はしてこないか!!
・・・・しかし
これで この島に巨大円盤の構造物が存在していることを把握されただろうなぁ!!
さて どうでる!?
ユスティネス公爵の犬たちよ!!
しばらく、こちらを観察したあと、青い地平線かなたへと去っていった。
これは・・・後日に、なにかを仕掛けてくるね!!!
サラは そう考えるのであった。
一方、メアたち8名が、座礁した小型帆船に駆け付けようとしていた。
この時間帯は、潮が引いているせいで、島の沖合1km程度までなら 水に濡れずに徒歩でも行けそうだ。
鋭い岩礁によって、船体が避け、そこから何人かの船員が出てきていた。
多種多様で統一感のない鎧やら服装を着ている連中である。
その中で、大柄で青龍刀のようなものを持っている黒ひげ風の男がリーダーの様だ。
「てめーら! 大丈夫か!」
「お頭!!! アロムの奴がいねぇ! 流されちまったようだ」
「アロム! しかたがねぇぇ」
「奴隷の奴らは無事のようだぜ! 檻の中で平気な顔をしているぜ」
「なんとか、船を調達しねーとなぁ あいつらが また襲ってきやがる!」
「お頭! 誰かが きやすぜ!」
船員のひとりが、岩礁の岩陰から、メアたち8名を目撃する。
「お! 女だ」
「げっへへへ」
「ふっ 俺たちは運がいいなぁ!!
この女どもを人質にして、 あの白い建物に住んでる連中から 船でもいただくぜ!」
「お~~」
この小型帆船は 正真正銘、間違いなく海賊である。
青龍刀を持った頭と呼ばれる海賊船長を中心に海賊たち30名は 岩陰にかくれ、
メアたちの接近を待つ。
メアたちは 水色を基調としたメイド服、
だが 救助を目的としているため ハルバートは持っていない。
「エガン! お前は10名ほどつれて あの女どもの後ろに回り込め」
「へい お頭!」
エガンは10名の海賊を連れ 岩陰に身をかがめながら、メアたちの後方へと回り込む。
その様子を艦橋のディスプレイで見ているミレイユとサラ。
この島の各地に魔道カメラを設置してるため、
どの位置からでも、ディスプレイに映るようになっている。
「あちゃ~ あれは海賊っぽいですよね」
「あの怪しい動きは、あきらかにおかしい。
すぐにキシたちを動かして、捕縛する必要があるね」
ミレイユは キシたちに出動を命じた。
「あっ!」
サラはディスプレイに指さす。
エガン率いる10名がメアたちの後ろから、そして 前面に黒ひげ率いる海賊たちが立ちふさがった。
「へっへへへ~ ねーちゃんたち! 待ちな!」
「おとなしくしてもらおうか!」
海賊たちの下卑た笑いが メアたちを包む。
メアたち8名を 30名あまりの海賊たちによって 完全に取り囲まれていたのである。
しかし メアたちは恐れることもなく、口元がニヤリと笑った。
「ん!」
黒ひげは 長年の海賊人生の経験により、メイドたちが何か得体の知れない化け物であるかのように気付いたときには遅かった。
メア達はハルバートを保持してないが、おそるべきゴーレムパンチを持っている。
彼女たちは 海賊たちの動体視力についていけない素早い動きで、突進を開始した。
今 壮絶な戦いが始まろうとしている。
「まずい! おねーさまは 見ないで!」
「えっ!!」
ミレイユはサラに顔を振り向け ディスプレイから目を離したとたん、
ディスプレイは 赤く染まっていた。
「あっ! これは僕も見るのはつらい!」
サラは 思わずディスプレイのスイッチを切ったが音声だけは、わずかに聞こえてくる。
ド―ーン!
「船長の頭が・・・・うわぁぁぁぁ」
「この女は化け物だ・・・」
バシャーン!
『 あなた方の実力じゃ 準備体操にもなりませんわぁ 』
「鬼女だ!」
『 だめだめだめだめためためため 』
バキバキバキ!
「手が・・・・やめてくれ・・・」
『 どこを触ってるのよ! 』
「待て! 触ればわかる!」
グェェェェ
「・・・・・・・」
そして、静かになった。
そして、海賊はいなくなった。
ミレイユは・・・・ディスプレイを見たが、スイッチを切ってるのでなにも映っていないのである。
「サラちゃん・・・・ もしかして・・・」
「見ない方がいいよ!! まぁ! ディスプレイのスイッチは切ってるけどね」
「・・・・・・・やっぱし 」
「相手はメアを襲おうとした海賊よ」
サラは ミレイユに聞こえないようにメアたちに指示した。
おねーさまも、海に流すようにと言ってたことだし、海賊の死体は水葬にするように!
それから、付近の血は きれいに清掃しといて!
艦長席に座り罪悪感で囚われるミレイユ!
ちょっと涙を流してるようだ。
「海賊といっても・・・同じ人間・・・・」
「・・・・おねーさま」
サラは気分転換にケーキセットを持ってくるようにとメアに命じた。
食べ物で忘れさせる!!
これだよね!! 僕も食べたいし!!
そして、数分後、艦橋室では、楽しくテレビを見ながら笑顔のミレイユとサラの姿があった。
畳の上のちゃぶ台で 美味しくケーキを食べるふたり。
完全にケーキで、今さっきの出来事を忘れているのである。
チョロインか!?
これは気を付けないと おねーさまは、男に騙されかねない性格に違いないと考えるサラであった。
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『 小型船残骸の船底で檻を発見しました。 何者かが檻に閉じ込められている様です』
メアからの報告である。
海賊との戦闘後、 飛び散った肉片、血のりの清掃をしているうちに、
小型船に入り込み、船底で見つけたそうだ。
「 檻に 人!? 動物!? 」
口のまわりにクリームを いっぱいつけたミレイユが質問してきた。
『 女性が檻に囚われてる様です 』
「 女性!!! その女性は怪我とかしてないの!? 」
『 元気がいいみたいです。どうしますか? 』
「 私がそちらに行くまで 待ってもらって 」
素早く 残りのケーキを食べ、立ち上がるミレイユとサラ。
「あの海賊たちは、奴隷商もしてたのか!!」
やっぱし海に流しといて よかったと思うサラであった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) 海賊で、ひとりだけ生き残ったのは、波に流されたアロム。 アロム! 生きま――す




