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Once Were  作者: くじゅう
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3/6

異

 大統領に許可を頂き、官邸から出たところで、俺は門の近くに一人の軍人がいるのを見つける。その軍人は、よく見知った顔だった。

 ジルバ。世界トップの撃墜王であり国軍の航空パイロットだ。国軍直属のエンジニアとして、この軍人とは何かとよく顔を合わせることが多かったのだが、いつの間にか親しい間柄になっていた。隣国の人民にも"最大の敵"と揶揄され、彼の首には隣国により我が国でいう5億円相当の懸賞金が懸けられている。


 どうやらこの男、官邸に俺が来るのを知って、わざわざ待ち伏せていたようだった。俺を見かけるなり嬉しそうに口を開く。

「これはこれはドクター。官邸でお会いするには珍しい顔ですね。」

いかにもわざとらしい。世界の撃墜王も演技はお下手なようだ。俺は表情を変えずに返す。

「ええ、少し遠出をするのでね、大統領に許可を頂きに」

「遠出?国軍直属の技術者である貴方が遠出など、そう簡単にできるものでは無いでしょうに」

「だからわざわざ大統領に許可を頂きに出向いたのだが」

「あぁ、なるほど」彼は得心が行ったように手を打つ。「それでまた、遠出とは何処へ?」

「母国さ」俺は続ける。「何やら我が母国では大変なことが起きてるらしいのでね」

「大変なこと?確か君の母国はかなり東方だったね、是非お聞かせ願いたいものだ」と、面白いことを見つけたかのように眉を動かす彼を俺は「いや」と静止する。「まだ分からないことが多すぎてね。なに、今に土産話にして持って帰るさ」俺が肩を竦めてそう言うと、「楽しみにしてるよ」と彼は無邪気な笑顔を見せた。


 「ところで」と彼が口を開く。「今度うちの息子が生まれるんだ。パーティーをするからぜひ来てほしい」

 なるほど、今日はそれが目的か。俺が「考えておくよ」とだけ曖昧に返事を返すと、彼は嬉しそうに帰っていった。…本当にあれが今までに敵軍の戦車を500以上撃墜している最強の軍人なのだろうか。


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