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影の守り人 〜影は魑魅魍魎が支配する世界でした。力で全てアメ玉にして斃します〜  作者: 佐野松 友
始まりの影

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29 個人の海

宜しくお願い致します・:*+.\(( °ω° ))/.:+


  数日後、回収業者が来て粗大ゴミを持って行ってくれた。深山兄に聞けば請求は一括で払ってくれるとの事。


「スッキリはしたな」

「…床がボロボロにゃ」

「それも請求してくれるらしいぞ」

「持つべきはコネにゃ〜」


 持ちつ持たれつだな。夏休みも後少し。



「何ならエアコンとかも付けて貰うとかどうなのにゃ?」

「かなり稼げたからその金で買うか…」

「リフォームして貰うにゃ」

「おじいちゃんの家感が無くなるのはなぁ…」

「家も消耗品にゃ。土地さえ維持出来ればナワバリなのにゃ」

「あんこ的には新築の方がいいのか?」

「住みやすさが1番にゃ。今年の夏は暑いのにゃ。エアコンが欲しいのにゃ〜」


 この家は氷と扇風機で夏を凌いで来た、古い家である。最近は湯沸器の様子も悪く、どうしようか悩んでいたのだ。その理由が、、


「深山からリフォームを打診されたんだよなぁ」

「一銭も払わないで良いならやって貰うにゃ!思い出で夏の暑さを凌げないのにゃ!」


 家族のあんこがリフォームに乗り気なのだ。ノリノリとも言う。


「考えてもみるにゃ。賊が侵入したのも、警備が杜撰どころか無いに等しいほどの無警戒なのが悪いのにゃ!」

「…ちゃんと鍵かけたろ?」

「甘いのにゃ!今の時代、強盗して下さいって言ってる様なもんなのにゃ!鍵は易々突破され、窓もぶち破れるにゃ。王が住むには格が足りないのにゃ!!」


 それから3時間あんこの説得と言うよりも、説教が炸裂し、気が付いた時には深山兄にリフォーム。いや、建て替えの電話をされていた。



「建て替えるのは良いけど、その間どこに住むんだい?」

「「……」」


 2人して宇宙を見た気がした。



「お邪魔します…」

「お世話になるにゃッ」

「自分の家だと思ってくつろいでくれて良いよ」


 どうしようか悩んで、結局頼るのが深山家なのが、親戚付き合いの悪さを表しているな…。両親の家は思い出したくもない。


「正直言って君達が近くにいる方が僕にとっては最高のボディーガードになるから嬉しいけどね」

「お偉いさんなのにゃ〜」

「…家事手伝いで本当にいいのか?」

「美冬には事後承諾になるけど、我が家、と言うか僕と妹は家事が駄目でねぇ…」

「こんな有様だと」


 住所を教えてもらって来たのがつい先程。セキュリティがしっかりした高そうなマンション。ペット可。


 4LDKに2人で住んでいるらしく、職業柄お手伝いも雇えないとか。…何が言いたいかと言うと。


「足の踏み場は確保したいな…」

「ゴミの山、海にゃ…」


 大切な書類とかは纏めてあるらしい。…何故捨てないで置いておくのか?


「全部その範囲の物は捨てて良い物だから」

「…あんこ」

「分かってるにゃ。この量を何往復もするよりも簡単なのにゃ。それに、高い肉も買って良いとお許しを貰ったにゃ」


 高い肉か…。近くにある精肉店で買うのもアリだな。


ーミシミシミシ…、ギリギリ、コロン。


「改めて見ても面白い力だよね〜。因みにコレは食べても?」

「無機物はエネルギーがあまりないけど、量が量なのにゃ〜。1日一個で事足りるにゃ」

「栄養は…?」

「何故かあるにゃ」

「何で分かるんだ?」

「私の毛並みが綺麗になってる。コレが答えにゃ!」


 確かに最近は食欲も増してるし、アメ玉もしょっちゅう食べてる。老猫にはもう見えない。


「完全メシだね。この調子で頼むよ」

「浚、肉の為にどんどんこの海をアメ玉にするのにゃ」

「…了解」


 そして、深山妹が帰って来る頃には何と言う事でしょうレベルの掃除が完了していた。アメ玉もかなりの数を確保。暫くは仕事に没頭しても家事手伝いをしてくれる。ヤバい書類も葬り去る人もいる。安心だ。


「はぁ…。疲れ……ぇ」

「お帰り。誠のリクエストで、すき焼きだぞ」

「すっきやきっ、すっきやきにゃ〜」


 疲れたOLさんみたいにへろへろの美冬。しかし、すき焼きの甘塩っぱい香りに鼻がひくひく。


 あの日食べた鰤しゃぶの作り手。兄の作ったエキセントリックな薬品の匂いじゃない、真の作り手の香り。


「手を洗って来たら飯にしよう」


 無愛想ながらも慮る顔。しかもイケメン。


「…ごめん、雫ちゃん。コレで落ちない女いないでしょ…」

「あちゃー。クリティカルかぁ」


 深山美冬。春を感じる、夏。

 




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