2 影の世界
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ーゴボボッ…
ーッ息がッ
まるで水中。咄嗟に息を止めて、目を凝らす。
引き摺り込んだのは、影だった。
だが、今、足にしがみつくのは、異形。
多分、アニメでよく見かけるナニカ。
ーッコイツ、嗤ってやがるッ
まるで、溺れさせるのが心底楽しそうに下へ下へと引き摺り込む。
ーこんな所でッ、死んで堪るかッ
必死にしがみつく異形に対抗する。偶然に異形の目に指が入った。生物の感触。異形は驚いたのか足を離した。
ーゴボッ。今だっ!
全力で引き摺られた場所まで泳ぐ。
ーちッ、追ってきてやがるッ
まるで、魚の様に自然なフォームで追ってくる、異形。
ー…あと少しッ
ガシッ
足を掴まれた、だけど、
「ぶはッ、…何なんだよ、クソ半魚人ッ!」
頭は引き摺り込まれる前の通路で出せた。
そこから、息を思いきり吸い込む。
「はぁぁ〜、…すぅぅううッ」
そして、片足掴んで尚引き摺り込もうとする輩に。
「いい加減しつけぇんだよッ!」
ガスッ、ガスッ、ゴスッ。
蹴りを何度も何度も浴びせた。
堪らないと思ったのか遂に手が離されて、逃げて行った。
「はぁ、はぁ、はぁ、ざまぁみろ、半魚人…」
水なのか、汗なのか、全身がグッショリで、倦怠感も凄い。
「塩っぱくなかったな…。と言うかあの水飲んでしまったんだが?」
やっとの思いで、自宅に帰る。築30年の一軒家。と言っても同居人は猫しか居ない。21歳になる、年上のおばあちゃんだ。
そう、猫が唯一の家族。別れが近い…。
「ただいま、、あんこ」
「にゃ」
名前の由来はおじいちゃん曰く、拾った子猫の時からあんこが好きだったとか。
「聞いてよあんこ。今日、半魚人に襲われたんだ」
「にゃ」
愚痴も出ると言うモノだ。命が狙われたのだから。
「しかも、その時にそこの水飲んじまってさー」
「にゃふ」
「おっと、ごめんごめん。ご飯ね」
賢い猫様だよ。ホント。その内尻尾が分かれるのでは?
最近は歯が弱くなって、カリカリからウェットタイプに変えた。…物足りないって顔してるけど、おばあちゃんなんだ。あんまり暴食させられない。
「デザートのあんこはいかがですか?おばあちゃん」
「にゃッ」
良きにはからえと。
お風呂を沸かして、入る。…今日は散々な目に遭った。
「はぁ…。夏は嫌いだよ。何だよ半魚人て。意味が分からない。白昼夢でも見たのかな…」
そんな筈ない。だって、目玉に指を突き入れた感触が未だに残ってる。
「影に魅入られると取り込まれる。…ねぇ」
おじいちゃんは知ってたのかな。
「馬鹿馬鹿しい。早く上がって寝よう」
今日は珍しく、あんこが布団に入って来た。あんな事があったから、頼もしい。出来るお猫様だよ。…一応武器にキッチンから包丁は持って来た。おじいちゃんがよく釣って来た魚を捌くのに使っていた、柳刃包丁だ。
「おやすみ、あんこ」
「にゃふ」
来るなら来い、あんこは守るし、何なら、3枚におろしてやる。
因みに松は魚を捌けます・:*+.\(( °ω° ))/.:+




