真っ黒な思い出 2
中学2年生になった。
「おはよーナミ。」
「うん、おはよ。」
「そういえばさぁ…」
千種は1年の夏に圭太に告白した。
結果はうまく行かなかったけど、すぐに立ち直ったらしい。
私はその事を聴いた時、内心では…
「ちょっと聞いてる?」
「ごめん。何だっけ?」
「清水先輩のこと。どうするの?」
同じ頃、私は清水先輩に告白されていた。
先輩はとても人気のある人で、学校内にファンクラブまであるくらいだ。
「付き合うことにしたよ。」
私には人生で初めての彼氏が出来ていた。
「おめでとう‼️ ナミも彼氏持ちかぁー。」
初めての彼氏。その言葉の相手が先輩になるなんて、小学校時代の私が聞いたらどう思うのだろう。
ふと、圭太のことが頭をよぎる。
(どうして…)
自分でも理由が、わからない。戸惑っている私に千種は声を掛けた。
「じゃあ、御守り作ってるんだ。」
その声に我に帰る。いつかの言い伝えだ。
「大変だけどね。やっぱり手作りを渡したいし。」
御守りを渡した時の先輩の顔を思い浮かべては、顔をニヤつかせる。
「幸せものめ〜」
千種はそう言って、鞄を背中に当ててきた。
「くやしいね〜」
言いあいをしながら、私達は学校に向かってた。
先輩はとても格好良くて、やさしくて、私の事を一番に考えてくれる。
そう思い込んでいた。
「別れて欲しい。」
その言葉を聞いたのは、夏の大会前だった。
「どうして…?」
手に握っていた御守りに力が入る。
「家が厳しくてさ、集学館に受かるまで勉強に集中したいんだ。」
「なら、別れる必要なんてないじゃないですか?合格するまでなら私…」
「俺はそんなに器用じゃないよ。それに…ここまでだよ。」
「どういう意味ですか?」
「君の本当の気持ちだよ。」
その言葉を聞いた時、何も言えなかった。涙が止まらない。
「ごめんね。」
申し訳なさそうに言う先輩に私は、最後の力を振り絞る。
「これ…だけ…でも。」
手作りの御守り…私の力作。
「ありがとう」
そう言うと先輩は、教室から出ていった。
私は絆創膏まみれの手を見ながら、誰もいないその場所で唯、子供のように泣いていた。




