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綺麗な思い出
私達は幼馴染だった。
私は幼稚園の時、この町に引っ越してきた。その時から、圭太の家族とは面識がある。最初は
知らない町に越してきて、不安で押し潰れそうだったことを憶えている。
圭太に初めて会ったのは、隣さんに引っ越しの挨拶をした時だ。
「それじゃ同い年なんですね。」
母が会ってそうそうお隣さんと仲良くなっていた。優しそうな人で、その人の後ろには私と同い年らしき男の子が、私のことを珍しいものを見るかのように凝視していた。
私は知らない人が怖くて、母の後ろで固まっていた。
「ご挨拶は?」
母の言葉にも答えず、裾を掴む力が強くなる。
「よろしくね。みなみちゃん」
私は返事をすることが出来ず、こくりと頷くことが精一杯だった。
すると、先ほどから私を見ていた男の子が私の前に近づいてきた。
いきなりのことで思わず身構える。
「よろしく!」
それは、まるで太陽にでも錯覚するほどに眩しく、私の心を溶かていた。
「…私の方こそ、よろしくね…」
私は出来るかぎりの笑顔でその子に返事をした。今にして思えば上手く笑えていなかったかもしれないが、その笑顔に惹かれていたんだと思う。
私は恋をしていたんだ。




