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さて、そうと決まったら忙しいよ!

何はともあれ子供たちをお風呂に入れよう。

贅沢に造られた邸には広く造られた浴室が二つあって、男湯と女湯に分けて子供たちを入れる。(女湯は私が、男湯はレオンが監督した)


きれいになった子供たちは服屋さんに持ってきてもらった服に着替えさせる。

するとこの辺にいる一般的な子供に見えるようになった。


やっぱり見た目って大きいよね!

見た目が変われば意識も変わる。

子供たちはお互いを見合って驚いたり褒め合ったり、変な笑いをしてる子もいたよ。




それからその日のうちに寝られるように寮を整える。管理されていたので汚くはなかったけど、人の住んでいない家って空気が淀むじゃない?換気のため邸中の窓を開けるように言うと、みんな喜んで開けて回った。

子供たちは今日からこんなすごいお屋敷が自分の家かと大興奮だ。


部屋割りもする。部屋が広いので四人部屋にしたけど余裕の広さだ。

十部屋ずつある、三階は女子のスペース、二階は男子のスペースにする。

小さい弟妹はもう少し大きくなるまで兄姉と一緒でいいだろう。


ベッドが足りないから急いで買わなくちゃ!

毛足の長いカーペットに喜んで、ここで寝られると言っていたけど却下です。


一階には大人数用の食堂があったけど、さすがに五十人がいっぺんに席に着くのはムリだ。

それなので同じく一階にある、夜会なんかをする用の大きなホールを食堂にする。

ここにも長いテーブルとイスがいるね!


後日揃ったテーブルとイスが並んだ光景は、元の世界で大ヒットした某魔法学校の食堂のようだった。ロウソクは浮かんでないけどね☆


食事の支度は大変だけど、みんな一斉にご飯が食べられるのはいい事だ♪




環境を整えたら、今までの子たちと同じように最初は基本的な生活習慣を教える。

朝起きて夜眠る。一日三食栄養のある物を食べる。規則正しい生活は人を健康にするよね。


健康といえば、子供たちの健康チェックもしていく。

今までとは違って何せ人数が多い。重そうな(濃い赤色)病気の子からこっそり癒していく。病気の子は全員癒す。

ケガをしている子は軽いケガまで癒す。あとは薬を塗って自力で治ってもらおう。

自然治癒力も活躍してもらわねば!

何が起こるかわからない世界、自身の力も強化しなくちゃね。


規則正しい生活習慣を覚えさせながら、ゆっくり過ごさせる。

今まで過酷な生活だったろうし、心と身体を休ませてあげたい。


とはいえ生活するのには色々する事がある。

まず炊事。食べないと死んじゃうし。そのための買い物。は、量が多いからお店の人に配達してもらおう。

それから清潔に生活をするために掃除と、洗濯。

これを何人かずつ四つのグループにして教えていく。


意外な事に料理はレオンが教えてくれる事になった。野営なんかで料理をする事は当たり前だったんだって。

男の料理!かと思ったら、これまた意外な事に(失礼!)私より上手なくらいだった。

私だって自炊歴六年なんだけどね。

レオンさんったらけっこうグルメな舌をお持ちなようで。


そんな訳で、掃除と洗濯の担当は私になった。

洗濯は、まぁ洗剤?と一緒にゴシゴシやってきれいな水でゆすいで絞って干すだけだから簡単作業だ。

ただ人数がいるから量が多い。大変な重労働だけど、子供たちは嫌がりもせず面白がってやっているよ。


掃除は、この邸は管理されていたから目に見えて汚かった訳ではないけれど、何日かやっていくうちに私が満足するくらいに清潔になった。

清潔好きな日本人の私が教えるからね。たぶんこの世界の標準を楽々超えていると思われる。

家事メイドさんに就職したとしても合格するレベルだと思うよ!


六歳以下の小さい子グループは免除だ。

まぁ、出来ない、ジャマに(ごめん!)なるというのが理由なんだけど。

四つ目が、この子たちをみるグループだ。


「こんなチビたちを見るだけなんてやだよ。こんな事して何が身につくっていうんだよ」


なんて言う子も現れた。


「そうねぇ…。うち以外では仕事にもならないわね。あ、お金持ちの家ならベビーシッターがあるかも」


言ってきた彼以外は、どうなるんだろうと私たちを見ていたり、気にせず言われた通りチビちゃんたちと遊び始めたりしている。


「チビちゃんたちは今はまだ働き手にはならないけど、あと何年かしたら君たちの後輩になるんだよ?コミュ…(ニケーションっていってもわからないか)ん~…っと、仲間意識を持つ事は大切だよ。君たち先輩の行動を見て、チビちゃんたち後輩は育つんだからね」


わかるかな?ちょっと難しいかな?


「それの何が遊んでやる事になるんだよ」


難しかったか。う〜ん…。


「好きな人、親しい人がちゃんとした人なら、その人のようになりたいと思うでしょ?

それに君たちお世話係にも、一緒に過ごす事で可愛いと思う気持ちも生まれてくる(かもしれない)しね。チビちゃんたちには愛情をいっぱいもらって育ってほしいのよ。君たちもそうやって愛情を知れるよ。 

…リチャードは今いくつ?」


リチャードは、いきなり何だよ?みたいな顔をして、それでもブスッと答えてくれた。


「十三…。たぶん」


…たぶんとか、切ない。

いけない。私は笑顔で言った。


「なら、あと何年かしたら結婚するかもしれないでしょ?そしたら子供も生まれるでしょ?その時にきっと色々役に立つよ」


リチャードや年長組の子たちが、結婚?子供?とザワついた。

いくらなんでも十代半ばの子に結婚はまだ早かったかな。


リチャードはうっすら顔を赤くして怒鳴った。


「何だよ!それじゃあやるばっかで俺たちはもらえないって事じゃねぇか!」


胸が、ぐっと詰まった。


愛情がいるのは小さい子たちだけじゃないよね。大人になってからだってほしいし、なによりこの子たちだってまだ子供だ。

私はリチャードをギュッと抱きしめた。


「君たちには私とレオンがいるよ。それにね、いまに君に恋人や、奥さんだってできるよ。その人にいっぱい愛されるから大丈夫!」


リチャードは五秒ほど固まっていたけれど、わたわたと動き出した。

泣きそうな顔は真っ赤だ。


「リチャードだけずるいー!」


何人かの子供たちが群がってきた。

羨ましそうに周りでウロウロしている子もいる。


「みんなおいで!」


ワッと一斉に集まった。

おしくらまんじゅう状態だ! わー!!


ギュウギュウ詰めに、私は何だかおかしくなってきた。大声で笑いだすと、移ったのかみんなも笑い出す。

何がどうした訳でもないのに楽しいね!


冬になり始めの小春日和、体温の高い子供たちに埋もれて私はとても温かな気持ちになった。


後に、アーサーと、このリチャードが会社の後継者になって引っ張って行ってくれるようになるんだけど、それはまだまだ先の話♪




さて、一週間ほどがたって子供達はここの生活に慣れてきた。

生活に必要な家事もみんな覚えてきたし、だんだん上手くなっている。

得手不得手も見えてちょっと面白い。

グループの中でも早々に何となくリーダー的な子もできて頼もしい。


家事を覚えたら、次は読み書きと簡単な算数を教える。

日本のようにひらがなカタカナ漢字なんてものじゃないからか(それにアルファベットまで覚えるじゃない?多いよ!)子供たちは思っていた以上に早く文字を覚えたよ。


算数は足し算引き算から初める。

すっかり覚えたら九九も暗記させる。歌のように節をつければ面白がってみんな歌ってるし。

品物が多くてもすぐに計算できるように掛け算割り算まで覚えさせたい。


レオンは基礎の体力つくりから、体術と剣術の先生になった。

子供たちの憧れ、特に男の子に絶大な人気のSランカーは、見た目の怖さなんて吹っ飛ぶらしい。命の恩人と言う意識もあるみたいだしね。

今までになく子供たちに懐かれたレオンは、ずいぶん長い間慣れなそうにしていたよ。


馬車には結界をかけるし、子供たちには守護をかけるけど、きちんと自分を守れる自信があればなおいい。

結界や守護は内緒だしね。


踏みつけられてきた子供たちは勉強も鍛錬も頑張った。

これまた後になるけど、戦える運送屋さんと呼ばれるようになったよ。




一通りできるようになったら、家事や勉強や鍛錬の復習なんかを各グループのリーダーに任せて、私たちは起業の準備を始めた。


計画通り、リーリウム領とカメッリア領とロートゥス領にも寮を買う。すでに各地で家を買っていたので、ちょうどいい物件をすぐに紹介してもらえた。

寮を整え、子供たちを雇い入れる。

ここでもレオンさんが心をひきつけると、みんなしっかりやる気になった。

同じように教育すると、知性を宿した瞳はもっともっとと向上心が見える。


私とレオンは忙しく飛び回る事になるので、先に教育をしていた各地の管理人の子たちにも先生をやってもらう。

もうすっかりしっかりしているので、頑張ればこうなれるというお手本だ。

子供たちは先輩を目指して頑張っている。


先生を頼んだ子たちも、私たちへの恩返しと張り切っている。

どうもみんなに崇拝されていて、それもちょっとどうかと思ってしまうけど。


先生役の子たちは自分が救われたように、同じく底辺で生きてきた子供たちがまともな生活ができるようになるのを喜んでいる。


みんな優しいいい子でお母さん嬉しいよ!




さてさて、そっちは先輩たちにお任せして、私たちはその他の、馬や馬車の手配、その馬舎や馬車置場なんか建設工事の発注や、起業する手続きをする。


私一人じゃできない事だけど、大陸規模で信用のあるSランカーは話が早い。どれもこれもスイスイ進んでいく。お金の心配をされなかったのも大きいと思われる。


会社の登録だけど、物流業ってどのギルドになるんだろう?

行商人は商業者ギルドの登録らしいけど、私たちの会社もそれに属するのかなぁ…。


ちょっとわからなかったし、既存のギルドよりも(何となく弱い者から搾取するイメージがある)働く人に優しいホワイトギルドを自分たちで作っちゃおう♪という事にした。

作っちゃおうと言ったのは毎度私、レオンはいつも通りそれを叶えてくれた。


こうして大陸初の物流ギルドが誕生した。

といっても、今のところうち一社だけだけどね!


着々と、すべての準備が進んでいく。


各地の寮には、しっかり教育された社員が仕事始まりを今か今かと待っているし、清潔で広い馬舎には健康チェックをしたお馬が揃っている。


子供たちにもお馬にも守護をかけているので魔王の魔法でも勇者の剣でもやられる事はない。

人である盗賊になんて束になって襲われたってまったく問題ないよ!


屋根付きの馬車置き場には、元の世界での軽トラサイズの幌馬車が並んでいる。

大きくなくていいのよ。目立つと盗賊に狙われやすいし(全然大丈夫だけどね!)お馬の負担が大きくなるからね。


幌の中は、見てはわからないけどアイテムボックスと同じに時間を止めて空間を広くしてある。それにチルド効果もつけてみた。最初に考えたクール便だ♪


時間を止めてあるから品物が傷むことはないんだけど、常温だと鮮度を保っている説明に困るからね。

子供たちにも客先にも氷の魔法だと言ってある。魔法の言葉ひとつでみんな納得するんだから魔法ってすごいね!


馬車は大量の荷物を運ぶ事になるんだけど、空間魔法のせいか荷物自体の重さはない。馬車とコンテナ、子供たち二人分の重さだけ。お馬に優しいつくりだ。


各領ごとにまとめてあるコンテナも木の分(木製コンテナ)だけ。子供ふたりで持てる重さになっている。

子供といっても十代半ばくらいの男の子だから、はたから見ても不自然ではないだろう。


こちら側だけ準備をしていた訳じゃないよ!

売り物がなかったら話にならない。ロートゥスの漁業ギルドに大量の仕入れを発注する。

天候によっては少ない日もあるだろうけど、毎日決められた量を買う契約をした。


品物を運んでも、買う相手がいなかったら意味がない。新鮮な魚介類をもって営業もしたよ。

王都にはすでに海鮮の料理を出すお店があったから、うちも出してみたかったんだと話が早かった。すぐに定期購入してくれるお店と複数契約できたよ。


他の領都では、滞在当時によく利用していた食堂なんかで契約してもらった。

数はまだ少ないけど、これで評判になれば他のお店からも注文がくるだろう。

なんせ海から離れた土地で、新鮮で美味しい魚介類が手に入るんだからね!




こうしてすべての準備が終わると、とうとう王都に向かって最初の一台が出発した。


起業してから約八か月、大国に来てから約一年、色々と価値観や考え方や意識も違う異世界で新しい会社を興してしまった。


大勢いる子供たちのためにも失敗できないと弱気になった事もあるけれど、いつでもレオンが励ましてくれた。


「なぁに、これがダメだったら次がある。好きな事をいくつかやってみてもいい、そのくらいの蓄えはあるから心配するな」


スケールの大きすぎる言いように唖然としてしまったよ!


レオンさんったら! 

私の旦那さんが頼もしすぎる!!


何にしても走り出したのだ。とにかくやってみるしかない。

足りない事があったら、その都度足していけばいいんだしね!




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