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ハズレダンジョンから始まる祖国再興――亡国王子は『迷宮管理者』を継承する。  作者: 永礼経


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第52話 『迷宮管理者』、年貢を納める


「何だって!? じゃあお前は、ダンジョンの入り口を好きな場所に作り出せるということなのか!?」


 ロジーナがレンの話を聞いて驚きの声を上げた。


「――いや、ダンジョンの入り口というよりは、ダンジョンの出(・)口(・)と言った方が正しいのかもな……」


 ロジーナの問いにレンはそう返す。

 

「出口? ですか?」とはノエリア。


 ああ、とノエリアに答えておいて、レンは説明を続ける。


 レンの『迷宮管理者固有スキル』のひとつ、【迷宮回廊顕現《ラビリンス・コリドール》】は、レンが設定した、この世界には存在しない『架空の迷宮』の扉を顕現させ、そこから迷宮に湧出する魔物を召喚できるというスキルだ。

 ただし、一度試してみたのだが、その『扉』から『固有迷宮』の中に入ることはできなかった。


 また、召喚した魔物は基本的にレンの指示に従い、何も指示されなければ、ただレンの周りに待機しているだけで、待機状態のまま数分経つか、あるいは『固有迷宮』内に戻るかを指示すれば、魔物はそのまま姿を消すことも分かっている。


「つまり、魔物の群れを呼び出せるというわけか? おいおい、それってつまり――」

とロジーナがある重要なことに気がついたように言葉を続ける。


「ああ、俺は『軍隊』を手に入れたことになる――」

と、レンはロジーナの言葉の後を受ける。


「ええ!? レンさんが軍隊を召喚できるって、それってすごいことじゃないですかぁ!?」


 ノエリアもようやく事の重大性に気が付いたようで、思わず大きな声を上げた。


「ただ――」

と、レンは続けた。


「――一度に召喚できる数は5体が限度だ。この数が増えるかどうかは今のところは不明だ。もちろん1000とか1万とか召喚できるのなら、国の一つを征服することも可能だろうが、たった5体ではさすがにそこまでは無理だ。せいぜい、自分一人の身を守る程度が関の山、だな――」


「5体——ですか。それで? どんな魔物を召喚できるんです?」

と、ノエリアが質問を続ける。


 レンが今召喚できる、『固有迷宮』の登録されている魔物は、幽鬼系モンスターが3種——これはB級相当だ。

 それから、C級相当の魔物が数種、D級、E級、F級も数種ずつという感じだ。


「それに、召喚するのも、無償でというわけではないしな――」


「お金がいるのか?」

と、ロジーナ。


「いや、お金じゃないんだけどな。必要なのは、『BP』だよ」


 召喚する魔物に応じて必要『BP』の数値は変動するシステムで、もちろん、クラスが高いほど多くの『BP』を消費する。


「なるほどな――。で? その『BP』はどうやって稼げばいいんだ?」

と、ロジーナ。


 『BP』を稼ぐ方法——。


 一番手っ取り早いのは、『所有迷宮の探索』だ。

 『探索』中の行動のほぼすべてがBP獲得に繋がっている。


 例えば魔物の討伐、宝箱の開封、鉱物採掘や作物採集、トラップ除去、ボス部屋到達でもBPは増加する。


「――そしてここからが重要なんだが」

と、レンはさらに重大な事実を公表した。


「じつは、俺が所有する迷宮なら、だ(・)れ(・)が(・)探(・)索(・)し(・)て(・)も(・)、『BP』が増加するんだ」


「何だって? それじゃあお前——」

と、ロジーナも気づく。

「ああ、ロジーナ。その通りだ。俺もその方法が一番だと考えている。そうすれば、BPを稼ぐことはそれほど大変なことじゃないかもしれない。それに、BPはどの『迷宮』で獲得してもすべて共通であることも分かっているしな」

と、レンが応じた。


「私もわかりましたよ! つまり、レンさんがたくさん迷宮を所有して、それをたくさんの冒険者に『探索』してもらえば、たくさん『BP』を稼げる。そういうことですよね!?」


 ノエリアもその解答に行きついたようだ。


「――なるほどな。それじゃあ、お前がやるべきことはそれほど難しいことじゃないってことだ」


 ロジーナがそう言ってレンの方を指さす。


「レン! 私たちともう一度パーティを組め。それで、高難易度ダンジョンを攻略してまわろう。そうすれば、私たちもSS級を目指せるし、報酬も今より増えるはずだ。それで、売りに出ている『優良迷宮』を買い集めるんだ」


 ロジーナがどうだと言わんばかりに、口角を上げている。

 ノエリアも表情を明るくして熱意のこもった目でレンの方を見つめている。


 レンは、とうとう『年貢の納め時』かと、腹を決める。

 いや、『迷宮管理者』適正を手に入れた時から、この流れは既定路線だったのだと受け入れたと言ったほうがいいか。


(そもそも、祖国再興を口にした時から、二人やノエリアの父ガイルの力を借りることになるだろうことは決まっていたんだからな――)


「――ああ、ロジーナ、ノエリア、わかっているさ。俺もそれをお前たちに打診するつもりだったからな」


 レンはそう前置いて、改めて二人に正対する。


「ロジーナ・レストリー、それから、ノエリア・ヴァイオレット。これは、『冒険者レン・シュタルト』からの申し入れだ。決して、『レンブリーズ・デル・フォルシュタートの命《めい》』ではない――。俺とパーティを結成して世界各地の迷宮を探索してくれ――」


 ロジーナとノエリアはレンのその言葉に、相応の反応をして見せ、パーティの再(・)結成が確定した。


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