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ハズレダンジョンから始まる祖国再興――亡国王子は『迷宮管理者』を継承する。  作者: 永礼経


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第12話 『迷宮管理者』、新設定を実装する


 レンたち3人は、その後、第6階層まで進み、とうとう『最奥の部屋』に到達した。


 途中の様子は、大小さまざまな大きさの「部屋」を、一本の通路でつないだような形で、最初に遭遇した「部屋」が最大の大きさだった。

 風景としては普通の鍾乳洞のようで、総じて、明かりはなく、結局、ノエリアの『真昼の光(デイ・ライト)』を何度も使用することになってしまった。


 『迷宮管理者』に権限というものがあるのであれば、ダンジョンの内部の景色を変える設定とかあれば、とても有用なのだが――などと、つい要求が高くなってしまう。


「どうやら、ここで行き止まりだな――」

と、ロジーナが告げる。


 3人の前にあるのは鍾乳石が張り付くように見える壁だ。


 レンはその壁にゆっくりと近づく。


 もしこれで、『設定《コントロール》パネル』が出現しなければ、この場所が『最奥』ではなく、どこかで何かを見落としたことになる。


 はたして、壁に四角い光が出現した。


 レンは、内心ほっとしつつも、それを表情に出さず、


「『設定《コントロール》パネル』だ――。どうやらここが現状の『最奥』ということで間違いないみたいだな」


と、二人に聞こえるように言った。


 そうして、パネルの中を確認するように覗き込む。



『ダンジョンレベル:G 名称:未定 BP:153』

『魔物生成:1』

『宝物生成:最低ランク』

『再湧出間隔:最長期』

『鉱物生成:停止中』

『ダンジョン成長:停止中』

『その他の項目:現在未稼働』

新しい項目が実装できます。実装しますか?(はい/いいえ)



なんだって――?


 レンは、最後の一行を読んで目を見開いた。

 初めて見るその表示の意味を言葉通りに受け取るとすれば、設定項目が増えることになる――のか?


「どうかしましたか、レンさん?」

と、ノエリアがレンの様子に気付いて声を掛けてきた。


「あ、ああ。なんか、設定できる項目が増えるみたいなんだよね――」

と、とりあえず返したレンは、

「とにかく、やってみるよ――」

と、そう言いながら、(はい)の方へと指を伸ばし、それをタッチする。


 表示が変わり、パネルには、以下のように表示された。


『ダンジョン内環境項目(照明レベル)を追加しますか?(はい/いいえ)』


(照明レベル、だって?)


 レンは引き込まれるように(はい)をタッチする。

 すると、いつもの画面に戻り――。



『ダンジョンレベル:G 名称:未定 BP:153』

『魔物生成:1』

『宝物生成:最低ランク』

『再湧出間隔:最長期』

『鉱物生成:停止中』

『ダンジョン成長:停止中』

『ダンジョン内環境項目(照明レベル):0』

『その他の項目:現在未稼働』


と、表示された。


(『ダンジョン内環境項目(照明レベル):0』が追加された――! もしかしてこれで――)


 レンは、半ば無意識的に、その項目をタッチすると、


『ダンジョン内環境項目(照明レベル):0/10』


と、表示が変わり、現在は0が反転表示になっている。


「『10』だと!?」


と、思わず声を上げてしまうレン。


 ロジーナとノエリア二人の視線が背中を貫いているのをひしひしと感じる。


「す、すまん。つい声を上げてしまった。一応、確認のため、明るさを変えてみるよ――。ノエリア、一旦明かりを消してくれるか?」

と、そう断り、ノエリアの魔法の停止を願い出る。


 分かりましたと、ノエリアが魔法を解除すると、あたりは一気に漆黒の闇に包まれた。


 『設定パネル』の緑色の明かりだけがぼうっと宙に浮いている。


 レンは『10』を選んでパネルを閉じる――。


どくん……。


 という震動はいつもより小さい気がしたが、それよりも、あたりが急に明るい光に照らされ、思わず目を覆う。


「うお! なんだ、眩しい!」とロジーナ。

「きゃっ! 明るいですね!」とノエリアも、声を上げる。


 急激に暗いところから明るくなったため、馴れるまでに数秒かかる。

 ようやく目が慣れてきて、まわりの景色が判別できるぐらいにまでなると、坑内がまるで昼の日の下のように明るく照らし出されていた。


「――これ、『真昼の光(デイ・ライト)』よりも明るいですよ?」

と、ノエリア。

「これだけ明るければ、探索も楽になるな――」

と、ロジーナ。


 しかし、0か10かとは。

 もうちょっと細かい設定はないのかと思わず悪態をつきそうになるレン。

 だが、これまでの「パネル」の変化を考えれば、ある意味『当然の結果』かもしれないと溜息をつく。


「――でも、これじゃあ、やっぱり、探索ダンジョンとしては不向きだと言わざるをえないよな。こんなに明るいダンジョンなんて、攻略の面白みが半減するよ」


 冒険者たちが『探索ダンジョン』に求めているのは、何も、強い魔物だとか、価値の高い宝物だとかだけではない。


 『冒険的刺激追及』――。

 いわゆる、『スリル』だ。


 知恵を試され、意思を試され、力を試される。

 そういう『スリル』が無ければ、やはり、探索してても面白みがなく人気も出ない。


 しかし、今回も一応の『収穫』はあった。

 階層が増えたこと、新しい設定が増えたことは特に大きい。


(ダンジョン成長が『停止中』になっているな。成長すると自動的に停止する仕組みなのか。BPだけはまだ不明のままだけど、おいおいわかるだろう――)


 あと分かったことと言えば、ダンジョンが成長した場合、現状では戻せないということだ。

 『ダンジョンの縮小』という設定項目がなく、ほかに、戻せそうな項目も表示されていない。


「今日はここまでにしよう――。次来る時の為に、このまま明るいままにしとくよ――」


 レンはそう言って、二人に引き上げの意志を伝えた。


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