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SCP-MST-01-J  作者: kinpo


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第2話【Euclid】 財団職員のメンタル崩壊


アイテム番号: SCP-XXXX-J(通称:SCP-MST-01-J)

オブジェクトクラス: Euclid


 


特別収容プロトコル


SCP-XXXX-Jは前回での被害報告と倫理委員会の「泣きたくない」という全会一致決議により、

正式にEuclidへ昇格している。


これに伴い、収容プロトコルは以下の通り改訂された。


  •接触職員は事前に専用セラピールームに入り、

  「私は石板の気持ちを理解できます」×10回を復唱すること。

  (※復唱しない場合、SCP-XXXX-Jがなんでそんなに冷たいの?とさらに悪化するため)

  

  •接触後のメンタル崩壊に備え、サイト-██では抗鬱剤・抗不安薬・ミントティーの常時備蓄を義務化。

  •接触は常に二人一組で行い、一人はレベル3認定の恋愛心理カウンセラーであること。


 


説明


SCP-XXXX-Jの異常性は、接触者の恋愛・人間関係系の脆弱性を察知し、

本人が避けている感情を絶対に逃がさない形で攻撃するよう拡大している。


特に、電子機器への干渉が確認され始め、

スマホのロック画面に「返事遅いよ」と勝手に通知を送る、

スマート家電を通し「その言い方、昨日より冷たくない?」と発言するなど、

被害は収容室からサイト全体へ拡散している。


職員の士気は大きく低下し、サイト-██はやたら重い空気の漂う職場として内部調査に引っかかった。


 


補遺 2-A:対ブライト博士実験ログ


記録日時: 2025/11/18

担当研究員: ██博士、職員B

接触対象: J.ブライト博士

備考: 倫理委員会は「ブライト博士にだけは見せるな」と言っていたが、██博士が

「いやむしろ見せるべきだろ」

と独断で強行した。


 


実験ログ(詳細)


ブライト博士:

「私はブライト博士だ。愛?信じん。永遠の愛?統計的に虚構だ。

永遠の愛など、ただのミームに過ぎん」


SCP-XXXX-J:

「へぇ……。そういう達観してる俺アピール、

 ほんとは超ロマンチストな男がやるやつだよね?うわ、引くわー」


ブライト博士:

「な……?ば、馬鹿な。なぜこの石板が私の本質を見抜く?」


SCP-XXXX-J:

「ねぇ、運命の相手って誰のこと?

 あなた今、ちょっと笑った。思い浮かべたよね?女の影」


ブライト博士:

「違うッ!私はただのハッタリ——」


SCP-XXXX-J:

「また嘘。ほら、目が泳いだ。

 言い訳が下手な男の典型パターン。

 合理主義ぶる感情型」


ブライト博士:

「やめろぉぉぉッ!!黙れ、この石板!私はこの場で貴様を破壊する!」


(博士、クリップボードを叩き付ける)


 ██博士:

「ブライト博士を直ちに拘束せよ!これは博士の個人的な感情の暴走であり、SCPの異常性ではない!」


結果: 実験は2分17秒で中断。ブライト博士は、収容室のハンマーでSCP-XXXX-Jを破壊しようとしたため、

警備員により取り押さえられた。


 


結果:

ブライト博士は収容室備え付けのハンマーでSCP-XXXX-Jを破壊しようとし、

石板に説教されながら歯ぎしりする博士という前代未聞の絵面が記録された。


 


補遺 2-B:尋問利用実験とペア接触事件


記録日時: 2025/11/19

担当: 佐藤研究員、エージェントA(女性)

目的: SCP-XXXX-Jの嘘検知能力を敵対組織尋問に利用できるかの検証。


 


ログ抜粋1:ペア接触(詳細)


佐藤研究員:

「本日も検証を行う」


エージェントA:

「今日は二人で来ました。」


SCP-XXXX-J:

「……なんで二人で来るの?

 本当は私と二人きりになりたくなかったんだよね?」


佐藤研究員:

「いや違う。収容プロトコルの——」


SCP-XXXX-J:

「言い訳。

 だってその言い方、ちょっと嬉しそうだったもん」


エージェントA:

「(小声)研究員、なんか悪化してますよ」


佐藤研究員:

「(小声)黙って耐えろ。今日は記録優先だ」


しかし、警備員から

「やめろ!現場の空気が重くて耐えられん!」

という強い抗議で実験は中断。


 


ログ抜粋2:尋問シミュレーション


対象: D-405(架空敵対組織構成員役)


D-405:

「(嘘)何も知らない」


SCP-XXXX-J:

「嘘。はい嘘出た」


佐藤研究員:

「何の情報を隠している?」


SCP-XXXX-J:

「今早く帰ってビール飲みたいって思ったでしょ?

 誰が待ってるの?奥さん?

 へぇ、奥さんのほうが大事なんだ?」


D-405:

「ち、違っ、情報の話を——!」


SCP-XXXX-J:

「ねぇ私の話つまらない?

 ビールと奥さんのほうが良いの?」


 


結果:

D-405は機密情報ではなく、

「夫婦生活の愚痴」を泣きながら吐露したため、尋問としては完全失敗。


 


補遺 2-C:Dクラス例外反応と追加判定


記録日時: 2025/11/20

対象: D-406(恋愛経験ゼロ)


 


■ 例外ログ


D-406:

「恋人いたこと……ありません。」


SCP-XXXX-J:

(声が柔らかくなる)

「……そっか。

 大丈夫だよ。焦らなくていいよ」


佐藤研究員(小声):

「優しい……だと……?」


SCP-XXXX-J:

「あなたは悪くないよ。

 ただ少し……不器用なだけ。

 頑張ってね。私、応援してるから」


D-406:

「(嗚咽)うっ……ありがとう……ずっと誰にも言えなくて……」


倫理委員会は血相を変えて実験中止を命令。

「石板に人生相談するな!」「感情移入するな!」

と緊急停止命令。


 


倫理委員会からの通達(2025/11/21)



SCP-XXXX-Jは、

・職員の精神摩耗

・組織的業務妨害

・ブライト博士への甚大なダメージ

などの総合的危険性から、オブジェクトクラスを Euclid に格上げ。

これは、「面倒くさすぎて予測が不可能」というKeter級に準ずる脅威判定に基づくものである。


補足:

「論理破綻 × 感情爆弾 × 話題逸脱 × 精神攻撃」

の複合特性は、財団の予測モデルでは算出不能であり、

Keter級の手前で踏みとどまっている奇跡 と評される。



委員会総評:


対応は核爆弾の解体よりもデリケートである。

石板相手に泣く職員がこれ以上増えないよう、

どうか、どうか慎重に扱ってほしい。

この石板は、職員の心の体力を吸う災害である

——倫理委員会 第42決議


 


結び


SCP-XXXX-Jは今日も収容室で、

「ねぇ、その言い方、ほんとにそれでいいの?」

と誰かを追い詰める準備をしている。


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