327話 俺の指揮下で働け。
327話 俺の指揮下で働け。
「……もしかして、覚悟ができているから、そんなにも呑気にふるまっていられるの? だとしたら、すごい根性してんね。尊敬に値するわ。嘘だけど」
「……」
ここまで、『怒り』に振り回されて、イマイチ理解できていなかった大問題。
自分だけは安全圏にいると思い込んでいるバカ特有の勘違い・錯視・盲目。
それを、目の前につきつけられて、
ランディアの顔が、サァっと青くなる。
「十七眷属ランディア。……あんたが本気で助けを求めるなら、俺も、ゼノ撃退に本気で手を貸してやるけど……でも、その、『頭が悪すぎる態度』をずっと取り続けるなら、俺は、任務を放棄して、ガリオ様に殺される道を選択する。俺は別にそれでもいいんだ。その覚悟はとっくにできている」
「……」
「決めろよ、ランディア様。どっちにする? 一緒に死ぬ? それとも……協力して、信頼回復の道を探す?」
「ぐぐぃぎぎぃ……」
自分の状況は理解したが、
しかし、それでも、魔人にお願いをするのはプライドが許さない。
そんな『心のはざまの奥』で揺れに揺れた結果、
ランディアは、
「……ど、どうすれば……いい……?」
ギリギリと歯ぎしりしながら、
目を必死にそらしながら、
それでも、ランディアは、
最終的に、『センにすがる』……という
もっとも屈辱的な選択をすることに決めた。
それだけ追い詰められている現状だと……ようやく理解した。
「親衛隊の指揮権を俺に渡せ。そして、あんた自身も、俺の指揮下で動け」
「ふ、ふざけ――」
と、文句を言おうとしたランディアの胸倉をつかみ上げ、
センは、
「だったら、もう、お前を殺して、お前の首を手土産に、ガリオ様のところに帰ってやろうか? 俺は『どっちでもいい』っつってんだろ、ずっとよぉ。足手まとい抱えながらじゃ、ゼノの相手はできねぇんだよ。あいつらが強いのは、もう十分わかっただろ。やるなら、ガチでやるしかねぇんだ」
「……ぅ………………ぐ、ぐぅう……」
ランディアは悩んだ。
悩んで、悩んで、悩んで……
「……くっ」
死ぬほど悩んだ末に、
ランディアは、
「わかった……貴様に……すべての指揮権を……ゆずる……」
センに頼ることにした。
『センの覚悟』を前にして、『自分の感情やプライドを優先させられる』ほど、
ランディアの根性はすわっていなかった。
結局のところは、それだけの話。
★
――翌日の夜、
また、邪教団ゼノがせめてきた。
今回は3人。
前回よりもまた一人戦力を増やしてきた。
ちなみに、その一人とはピリカ。
ゼノのナンバーツー。
存在値83という、バグったような強さを誇る怪物美少女。
……次元の裂け目から出現した3人は、
『カドヒト』・『ピリカ&スギナ』の二手に分かれて、
前回同様、
『カドヒト』がランディアに強襲する役、
『ピリカ&スギナ』が親衛隊とセンを足止めする役、
という形で行動を開始した。
そんな3人を、
センエース主導の『チーム・ランディア』が迎え撃つ。
追加要員のピリカを見て、ランディアが、恐怖に引きつった顔で、
「センエース! 敵の戦力が増えている!!」
と、情けない声を出したが、
「問題ない! 想定の範囲内だ!」
センが自信満々にそう叫ぶと、
ランディアの中から、恐怖が少し薄らいだ気がした。
ランディアだけではなく、
親衛隊の面々も、
なんだか、心が軽くなって勇気が出てきたような気がした。
ただの気のせいなのか、本当にそうなっているのか、
その辺の詳細は分からないが、
とりあえず、恐怖が和らいだ面々は、
センエースとの事前打ち合わせ通りのフォーメーションで、
カドヒトたちを迎え撃つ。
今回のセンエースの作戦はシンプル。
『ランディアが倉庫に保管してあったアイテム』をすべて放出して、
親衛隊全員に装備させるというもの。




