326話 命令。
326話 命令。
「言いましたよね、ガリオ様。魔人の地位を向上させると約束するって……俺、めちゃくちゃ理不尽に殴られてんですけど、これ、もちろん、ランディア様には、何か罰が下るんですよね」
『……』
「ガリオ様? 聞いてます?」
『……流石に調子にのりすぎだ、センエース。それ以上はやめておけ』
そう言って、センを制してから、
ガリオはランディアに、
『ランディア、お前の怒りもわかるが、センエースは事実として、ゼノの兵隊と戦っていた。そのセンエースに暴力を振るうのはやめろ。もしこの命令を無視するようであれば、私は正式にお前を反逆分子とみなす』
「そ、そんな……この犬は魔人ですよ? 魔人がどうなろうと――」
『ランディア、もしかしたら勘違いをしているかもしれないから、はっきりと言っておくが……私はお願いをしているのではない。命令をしているのだ』
「……っ」
『そもそもの話……なぜ貴様ごときに反論されなければいけない……っ! この私が……なぜっ!』
ガリオの声に、本格的な怒りの色が滲む。
今回の件だけではなく、父アボカとの確執も、この怒りの原因。
ゆえに届く。
その怒りの濃度は、アホでも理解できるほどに厚くて濃い。
『私の命令に、これ以上、一つでも意を唱えてみろ。私は――』
「も、申し訳ございませんでした!!」
ガリオが本気でキレていると理解したランディアはすぐさま頭を下げた。
そして、
「二度と、二度と!! ガリオ様のペットに暴力を振るいません! どうか、お許しを!!」
『…………………………二度と舐めた口をたたくな、ランディア。センエースと協力して、ゼノを撃退しろ。次の失態は連帯責任だ。全員に平等に責任を取らせる。死ぬ気で街を……法を……世界の秩序を守れ。以上だ』
そこで通信を切った。
恐怖に震えていたランディアだったが、
次第に、屈辱と怒りに震え出し、
「くそがぁあああああああああああああああああ!!」
と、どこにもぶつけようのない怒声を叫ぶ。
反射的に、センを殴ろうとしたが、
「うっ」
ジッと真っ直ぐに睨んでくるセンを見て、
「な、なんだ……その目は……ガリオ様の庇護下にあるからと言って調子に――」
「死にたいのか?」
「っ!」
そこでセンは、ランディアの頭を掴み、
ガンっ!
と地面に、ランディアの顔面を叩きつけた。
鼻血を出すランディアに、
「さっきの俺に対する暴力はこれで勘弁してやる。よかったな」
「き、貴様ぁ……魔人の分際で、自分が誰に、何をしたのか――」
「ガリオ様に報告するか? いいぞ、俺は。好きにしろよ。ただ、ガリオ様、キレると思うぜぇ。だって、俺の立場で、さっきみたいなこと、できるワケないじゃん。だから、あんたの報告を、ガリオ様は絶対に嘘だと判断する。そんなバレバレの嘘をついてまで俺を排斥しようとしている救いようのないバカ……ソレがあんたの評価になる。ソレでもいいなら報告しろよ」
「……っ」
「あんたさ、もしかしてまだ、状況が理解できていないのか? 俺をどうこうしている場合じゃねぇぞ。『十七眷属ランディアのアイテムが鹵獲された』ってことの意味が、あんた、もしかして、理解できてないんじゃね? それ、ゼノを強化したこととイコールなんだぜ。今後、普通に『あんたのアイテムを使われて、他の十七眷属の誰か……あるいは龍神族の誰かが死ぬ』ってことがありうると思うんだが……あんた、その責任、どうとるつもり? まさか、その責任も俺になすりつけようって? はっ、無理があるだろ。どんだけ、頭お花畑なんだよ」
「……っ」
「俺は、ただのペットで、シンプルな暴力装置でしかないし、かつ、最悪の時は死んでもいいって覚悟を持っているけど……あんたに、それあるの? 世界に混乱を招いた責任を取って死ぬ覚悟、できてんの?」




