325話 ウンザリ。
325話 ウンザリ。
「ふざけ……るなぁ……」
血走った目でカドヒトを睨みつけながらそういうランディアに、
カドヒトは、冷めた口調と目のまま、
「別にいいよ……そこまで欲しいわけじゃないから。ただ、生き残りたかったら、出した方がいいぞ……お前がアイテムボックスを出すまで……俺は……殴るのを……やめない」
そう言いながら、カドヒトは、丁寧に手加減した拳を、
ランディアの顔面に落としていく。
「ぎゃああ!」
痛みにもだえるランディアに、
カドヒトは、
「死ぬ前に、アイテムボックスを出した方がいいぞぉ。アイテムボックスさえ出せば、今日は殺さずにおいてやる。これは約束だ。俺の名前に賭けて誓ってやる」
そう言いながら、
何度も、何度も、何度も、
ランディアの顔面に拳を叩き込んでいく。
「ぶ……ぇぇ……」
真っ赤に腫れあがった顔。
声にならない声。
このままだと、あと数発のうちに死ぬ……
と、なったところで、
ようやく、ランディアは折れて、
アイテムボックスを出した。
その中から、全てのアイテムを回収したカドヒトは、
「約束だからな。今日は殺さない。けど、明日以降……いつかは殺す。いつ殺すかは、俺の気分次第だが……お前は確実に殺す。その日がくるまで……震えて眠れ」
そう言って、カドヒトは、この場から去っていった。
それと同じタイミングで、
外にいたスギナも、アジトへと戻っていきましたとさ。
めでたし、めでたし。
★
カドヒトとスギナが帰ったあとの、
ランディアの荒れようは凄まじいものだった。
親衛隊連中やセンエースの回復魔法で、正常の状態に戻ったランディアは、
とにかく、センエースにあたりまくった。
その『あたり方』の暴力度数は、ヒークルの比ではなかった。
ぐちゃぐちゃのボコボコにされたセンエース。
長時間の折檻のすえ、ようやく、ギリギリ、ちょっとだけ落ち着いたランディアは、
ガリオに連絡をいれて、センエースの処刑を嘆願した。
ガリオは、鼻息荒いランディアをなだめつつ、
何が起こったのか正確に聞き取り調査をした。
その結果、ガリオは、『ランディアが創ったアイテムのほとんどがカドヒトに持ち逃げされ、ランディア自身も大きなケガを負い、親衛隊も大打撃を受けた』という現状を把握した。
幸い、誰も死んでいないが、とてつもなく悲惨な状態。
ガリオは、センに、
『で、この責任をどうとるつもりだ?』
「責任って……守り切れなかったのは、ランディア様のせいでしょう? 俺は、命令通り、襲撃にきたゼノの兵隊と闘っていましたよ、命がけで。俺がどれだけ必死に戦っていたか……親衛隊の連中に聞いてみればいい。俺は逃げたわけでも、手を抜いたわけでもなく、ただ必死に、あなたの命令通りに戦っただけだ。いい加減、俺に、妙な嫌がらせばっかりするのやめてくださいよ。なんだ、責任って。どうしろってんだ。死んでやろうか? 別にいいぞ。それで、今度くるカドヒトに、このランディア様が殺されて、それで終わりだろ? 俺はもう、それでいいよ。そうしたいんだろ? じゃあ、そうしろよ」
拗ねて、勢いよく不満を垂れ流すセンの圧力に負けて、
ガリオは何も言えなくなった。
センのマシンガン文句が止まったところで、
ガリオは、コホンとセキをして、
『落ち着け、センエース。誰もお前に死ねとは言っていない。お前にはまだまだやってもらうことがある。……現状を俯瞰で見た上で、お前がこれからすべきことは何か、お前がお前の責任でなすべきことは何か、と聞いているだけだ』
「俺に何かやらせたいっていうなら、ランディア様に、俺でストレス発散するの、やめるように言ってもらえます? もう、いい加減、ウンザリなんですけど。何かあるたびに、俺を、ボコボコにしてくる十七眷属の連中」




