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324話 いい声でなくじゃないか。


 324話 いい声でなくじゃないか。


「痛い、痛い、痛い、離せぇええええ! ちぎれるぅうう!」


 と文句を言うランディアを引きずって、

 ランディアのアトリエへと向かう。


 ランディアのアトリエは、執務室のすぐ隣。

 だから、20秒もしないうちに辿り着いた。


 アトリエについてすぐ、カドヒトは、ランディアをテキトーな場所に放り投げ、


「ふむ……なかなか、いいアイテムがそろっているじゃねぇか」


 壁や棚に飾られているマジックアイテムを見て、

 カドヒトは、高評価を下す。


「ここに飾られているのは、さっきお前が使っていたものとは、趣が異なるな……なんというか、特別な品って感じがする。そうだろう?」


「こ、ここにあるアイテムには……絶対に触るな……触ったら、殺すっ!」


「お前が俺をどうやって殺すんだよ。無理だろ」


「ガリオ様にお願いして、殺してもらう!! あたしは、ガリオ様の寵愛を受けているんだ! 貴様、絶対に死ぬぞ!! だから、やめろぉおおお!! 絶対に触るなぁああ!」


「寵愛ねぇ……まあ、確かに、アイテム創りの才能を買われて重宝はされているみたいだな。それ以上でもそれ以下でもない感じだが……」


「いいか、カドヒトぉお! ここにあるものには、絶対――」


「ほいっ」


 と、カドヒトは、棚に飾られている小刀みたいなアイテムをサクっと粉砕する。

 それを見て、ランディアは真っ青な顔になり、


「あ、あああああっ!」


 と、しめ殺される前の鶏みたいな悲痛な声をあげる。


「いい声で泣くじゃないか、ランディアお嬢様。もっと、もっと、泣かせたくなるねぇ」


「やめぇ……ろぉ……」


 血の涙を流しながら、


「そのアイテムたちは……どれも、あたしが何年もかけて創り上げた、いわば、あたしの子供だぁ……あたしの子供に……触るなぁ」


「自分の作品を子供っていうやつ、たまにいるけど、お前もその口か」


「やめろぉ……やめてくれ……お願いだから……それだけはぁ……」


 と、力なく懇願してくるランディアに、

 カドヒトは冷めた視線を落とし、


「……お前は、この領地で養殖されている魔人が『子供に危害を加えないで』とお願いした時、何をした? 殺したよな? 目の前で生きたまま八つ裂きにして、その死体を、親に食わせたよな? なんで、そんなことができる? マジで、どういう神経してんの? それは楽しいのか? 何が楽しい? それをしたら、どういう風に嬉しいんだ? 俺にはさっぱりわからない」


「……」


「調べはついている。お前がこれまで何をしてきたか。何を大事にしていて、どんな凄惨なことをしてきたか……全部わかった上で、俺はここにいる」


「ま、魔人のガキと……あたしの作品では……価値が……重みが違う!!」


「重みと価値が違う……そりゃ、そうだろうな。お前の中では」


 カドヒトはため息交じりにそう言ってから、天をあおぎ、


「お前は間違ってねぇ。価値ってのは主観だからな。お前にとってはそうなんだろう。お前にとっては、魔人のガキより、自分の作品の方が価値は上。そうだろうな。お前にとっては。……だが、俺にとっては違う。少なくとも、てめぇのガラクタよりは、魔人のガキの命の方が上……ってのが俺の価値観だ。別に、それを受け入れろって言う気はねぇよ。お前の価値観を受け入れる気が俺にはないからな」


 そう言いながら、カドヒトは、もう一度、

 バザッ!

 と、棚に飾られているアイテムを破壊すると、


「さて……流石にもったいないから、残りは回収させてもらうことにしようか」


 そう言いつつ、自分のアイテムボックスに、ランディアが創ったアイテムをしまい込んでいく。


 ……あらかたしまい終えると、アトリエの隅にある金庫をムリヤリこじ開けて、その中にあるアイテムも回収。

 さらに、


「ランディア、お前のアイテムボックスの中にあるものも回収させてもらう。出せ」



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― 新着の感想 ―
丹精込めて作った子供をガラクタと言い放ち、 最後は金庫までこじ開けて全回収! カドヒト様の「もったいないから回収する」という合理的な略奪っぷりに吹き出しました
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