322話 煌めけぇえ、俺の拳ぃい!
322話 煌めけぇえ、俺の拳ぃい!
才能と憤怒を爆発させて、
どうにか、センエースを惨殺しようと必死のスギナ。
センは、そんなスギナと冷静に対峙し続ける。
時折、ちょっと手を出しつつ、
しかし、決定打にならないよう注意しながら、
丁寧に、丁寧に立ち回りながら、
いいタイミングで、攻撃をくらって、あえてボロボロになっていく。
はためには、終始スギナが押していて、センは、ボロボロになるばかりでかなり劣勢。
だから、『周囲で倒れている親衛隊たち』は、
『ああ……ダメだ……』と悲観な顔をしている……が、
スギナは、
(こ、こいつ……わざとダメージを受けていやがる! その気になれば全部避けられるくせに……わざと……ぐっ、なんのつもりだ、この糞野郎!!)
グンっと、勢いよく踏み込んで、
盛大な攻撃をぶちかましつつ、
「てめぇ、センエース!! なんのつもりだぁああ! わざと――ぶへぇええ!!」
『なんでわざと攻撃を受けていやがる!』とそう叫ぼうとしたところで、
センの強烈なカウンターがスギナの顔面にぶちあたる。
鼻血が溢れるスギナに、
センは、
「ちょっとずつ……見えてきたぞ……お前の攻撃! 肉を切らせて、見に徹した甲斐があった! ……こ、ここからだ! 勝負はここからぁああ! いくぞぉおおお!」
そう叫びながら特攻。
スギナは、そんなセンの猛攻を回避しつつ、反撃。
互いの武が交差する中で、
はた目にも、『ちょっとずつ、センが優勢になっているよう』に見えてくる。
そうなると、ボコボコになっている親衛隊連中もがぜん、エネルギーがわいてきて、
「い、いけ、犬ぅ!」
「センエース、そこだ!」
「女魔人をぶっつぶせ!」
腹の底から声を出して応援する面々。
その声を背中に浴びながら、センは、
「うぉおおおおおお! 煌めけぇ、俺の拳ぃいい!」
と、まったく中身のない言葉を叫びながら、
センは、スギナの左頬に、拳を叩き込む。
「ぐぅう!!」
だいぶ手加減されている拳だが、
タイミングも角度も完璧だったので、
スギナは綺麗に吹っ飛んだ。
吹っ飛ばされた先で、スギナは、体勢を整えつつ、
(ぐっ……わざとダメージを受けていたんじゃなく、こっちの動きを観察していたのか……このくそ犬野郎……無駄に高性能な力しやがってぇ……)
ぎりぎりと怒りが沸き上がる。
「てめぇ、魔人だろ!! なんで、龍神族にシッポをふる! 情けない真似は今すぐやめて、ゼノにこい! 盟主のもとで、その力を使え!」
「はっ、やだね。必死に頑張って、せっかく、出世してきたんだ。ようやく、佐官級としてライブラリに登録されて、自分の戦闘団も持てるようになった。クロッカ様にも気に入られ、ガリオ様やパルカ様も覚えもよくなってきた。……なのに、それらを全部捨ててテロリストに鞍替え? アホかぁあ! 大人の打算力をナメんな!」
「ぐっ……クソが……」
イライラしながら、スギナは、
「世界中で、魔人がどんな目にあっているか、お前も知っているだろ! なんとも思わないのか!」
「知らん。俺は俺の快楽にしか興味がねぇ。もし、お前が俺の愛人になるなら、お前だけは守ってやってもいいぞ。まあ、財布がピンチになったら売り飛ばすけどなぁ。あはは」
「……同じ『大きな力を持った男』でも……盟主とは凄まじい違いだな……弱い命のために必死に身を粉にして、世界中駆けずり回っている盟主と……自分の快楽にしか興味がないテメェ……宝石と馬糞以上の差だ!」
★
スギナとセンが殴り合っている裏で、
カドヒトは、ランディアに殴り込みをかけていた。
ランディアの部屋のドアを蹴り開けると、カドヒトは、
「よぉ、ランディア……元気そうでなにより」
部屋の中央で、戦闘態勢になっているランディアに、そう声をかけた。
ランディアは、カドヒトを視界にとらえるやいなや、
両手に持っている杖をタクトのように左右対称の楕円や波を描くように振りまわしながら、
「……発動」
と、そうつぶやいた。
すると、ランディアの周囲に炎や雷や氷の玉が浮かび上がる。




