321話 サイコクズ。
321話 サイコクズ。
「いかせるか!」
そう叫びながら、スギナが、センに襲い掛かってきた。
センはギリギリのところでスギナの攻撃を回避し、
「ひゅぅっ! いい動きしてるねぇ、それに、いいおっぱいしてる! どうだ、ゼノの女、俺のものにならないか。俺は、カドヒトより出世するぜ。カドヒトみたいな反社と違って、真っ当に働いているから、将来、安泰! カドヒトの5倍ぐらい良い物件だぜ」
「ゴミがぁ! 盟主の偉大さが理解できないクソは生きる価値なし!」
「……また、ずいぶんと慕われてんねぇ、カドヒトさん。……あんなゲロキモブサイクのどこに、そんな惹かれる要素があるっていうんだ……」
などとつぶやきつつ、
スルスルと、スギナの攻撃を避けていく。
「言っておくけどなぁ、さすがに俺は、カドヒトより上だぜ。地位、名誉、金、力、すべてにおいて、俺はカドヒトを上回っている。どうだ、俺に傅きたくなってきただろう? 今、謝るなら許してやるぞ。さあ、俺の靴をなめろ!」
「死ね、ゲロキモブサイククズ野郎!!」
火力を上げて暴走するスギナ。
事前にカドヒトから、『ここにいるやつは殺すな』と指令を受けているが、
過剰にカドヒトの悪口を言われたことで、スギナのリミッターが外れてしまう。
「しぃいねぇえええ!! ううぎぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
バチギレの怒声をあげながら、
センを殺そうと両の拳をぶんまわすスギナ。
センは、ひょいひょいと軽やかに回避しつつ、
時折、
「おりゃっ」
と、小ジャブや、小キックで、攻撃していく。
「ぐふっ!!」
顔面に小ストレートを入れられて、のけぞり、ぐらりとフラつくスギナ。
ギッっと、すぐさま体勢を立て直した上で、センをにらみつけ、
「……こいつ……強い……っ!」
正式に、センエースという脅威を理解するスギナ。
暴走モードを一時停止させ、冷静に、距離をとりつつ、
「お前が……センエースか! 最近、よく聞く……クロッカの犬!」
「違うワン! 犬じゃないワン! あおーん!」
「……頭のおかしい変態だって噂もよく聞くけど……本当にイカれた変態みたいだな……気持ち悪いっ!」
「言っておくが、お前が崇拝しているっぽいカドヒトと俺は同類だぜ。あいつと俺は表裏一体。俺が蛇に見えたなら、あいつも蛇なんだ」
「お前みたいな、『龍神族にシッポをふるゴミ』と……『龍神族と必死に戦っている盟主』を一緒にするなぁああああ!!」
完全にバチギレた状態でセンに襲い掛かるスギナ。
センは、時折、あえて、スギナの攻撃をその身で受け止める。
ダメージと向き合いつつ、
(うん、いい才能してるねぇ……こいつ、確か、まだ10代前半じゃなかったか? 10代前半で、この仕上がり……やるねぇ。俺が『ガチ10代前半』だった時は、ハナクソみたいに弱かったもんなぁ。日本にいた時はもちろん、最初に転生した時の10代前半の時も、ものすごいゴミだった。……いやぁ、すげぇ、すげぇ。……ただ早熟なだけかもしれんけど)
センは『ゼノのメンツ』については、ほとんど知らないが、
有能な大幹部連中の、ちょっとした情報ぐらいは耳にしている。
『ゼノの大幹部は、まだ全員十代で、最も才能があるスギナはその中でもかなり若い』……という情報ぐらいは耳にしている感じ。
「くそ! くそ! くそ! なんで、お前みたいなゴミが、こんなに強いんだ!!」
武の才能があるから、ちょっと武を交わし合っただけでも、
センエースの『深み』が理解できた。
そして、彼女の才能は届く。
カドヒトよりも……このセンエースの方が上だという理解に。
「ぐぅ!! そんなわけない!! 最強は盟主だぁあああ!! お前なんかじゃないぃいいいいいいいいい!!」
もっと暴走。
もっともっと暴走。




