319話 キーキー!
319話 キーキー!
「凌辱って、ランディア様がやるんですか? メス相手に?」
「親衛隊の連中にやらせるに決まっているだろうが! バカか、貴様ぁああ!」
そう叫びながら、また身近にある『硬い物品』をテキトーに2~3個ほど投げつけてくる。
ガガガチィンと、全部、綺麗に頭に直撃。
ダラァと血が流れていくが、センはおかまいなしで、ニコニコしながら、
「失礼いたしました」
「貴様のバカ面には、本当にイライラさせられる。顔も発言も態度も、全部ゴミ! よくもまあ、貴様のような、失敗作がこの世に生まれたものだな! 神はよほど無能とみえる! もしくは、神は、よっぽど貴様のことが嫌いなのか!」
「神様は多分有能だろうと思われるので……おそらくは、嫌われているんでしょうね。俺も、常日頃から、ずっと、神様には『そんなに俺を嫌わず、もう少しましな生命体にしてくれたら良かったのに』と恨みを奉げております」
「……ふん!」
ランディアは、鼻息だけで、センをしっかり見下すと、
「ありえない話だが……もし、これから起こるであろう襲撃で、貴様があたしを守り切ることができず、あたしがかすり傷の一つでも負おうものなら……どうなるか、覚悟しておけ」
「誠心誠意、努力したいと考えております」
「努力など、いらぁあああん! 結果だぁあ! あたしを完全に守り、ゼノのメスブタを捕縛しろ! できなければ死ねぇええ!」
「承知しました」
「下がれ!! 貴様の顔はもう見たくない! 仕事だけこなせ! 粛々と! 確実に!」
キーキーと喚いてから、プイっと顔をそむけるランディア。
センは、
「失礼します」
と、簡単に言葉を述べてから、
その場をあとにした。
ドアを出ると、近くで、老執事が静かに立っていた。
センが出てくるのを確認してから、ソっとドアをしめる。
センは、その老執事に、
「ランディア様、だいぶピリピリされていますね。ゼノに襲われたのが、よほど心にこたえているんでしょうか」
と、声をかけた。
返事はないだろうな、と思っていたのだが、
「……いつものことです」
ボソっと、聞こえるか聞こえないか程度の声音で、そうつぶやいた。
(……ぇえ……あのヒステリックグラマーっぷりがデフォルトとか、えぐぅ……周りにいるやつは、きついだろうなぁ……)
と、心の中でそう言いつつ、長い廊下を歩く。
建物の外に出たセンは、
広い庭をテキトーに散策しつつ、
近くにいる親衛隊の一人……『明確に隊長っぽい服装』で『鋭い顔つき』をした男に、
「どうもー。ガリオ様の命令で、皆さまと一緒に、ランディア様の護衛をすることになりました。クロッカ様の犬、センエースと申します。以後、お見知りおきを」
と、挨拶をしていく。
すると、その隊長っぽい顔つきの男は、
一度、ギロっと、センを睨み、
「……貴様がセンエースか。話は聞いている。世に流れているウワサもなぁ。だいぶ頭がおかしい変態らしいじゃないか」
「今日言葉をかわした人の大半が、俺のウワサを耳にしている……すごいな、俺。死ぬほど地味に生きているのに、だいぶ有名になっちゃった……困ったね、いや、マジで」
「邪教団ゼノの刺客は、とてつもない強さを誇る怪物だ。先の襲撃では、20人近い仲間が、たった一人の先兵に殺された。油断していると、冗談でも脅しでもなく、本当に死ぬぞ。心して護衛任務にあたれ」
「あ、はーい。了解でーす……で、俺は、どんな感じにしていればいいですか? 『勝手にやってろ』って言うなら、その命令に全力でしたがい、めちゃくちゃ勝手にやっていますけど」
「貴様は、私の命令に従うのか? 貴様はガリオ様とクロッカ様の命令で動いているのだろう?」




