308話 デスの支配者。
308話 デスの支配者。
驚いている二人を尻目に、
カドヒトが、センにジト目を向けて、
「なんだ、『やらせている』って。ナメたこというな。俺はお前のペットでも従業員でもない。俺は俺の意志で現実と闘っている」
「……うっせぇなぁ……この状況で、ちょっとした言葉のニュアンスとかはどうでもいいだろうが……」
反抗的な分身に対し、一度、深いため息をついてから、
センは、
「カドヒトは、俺の分身で、この世界のために戦っている……以上だ。何か質問があるなら、特別に受け付けてやるけど、どうする?」
そこで、ラーズが、
「あまりの衝撃に、気の利いた質問の一つも浮かばない……」
「そうか。じゃあ、さらに、もう一発、衝撃をくれてやろう」
「……?」
「お前らの懸念材料である『デス』だが……実は、俺が完全に支配している。……カラルームの街を襲ったのも、俺の指示だ」
「……な、なんと……」
そこで、センは、パチンと指を鳴らし、
この場に、セラフィムスパーダを召喚する。
呼ばれて飛び出たセラフは、その勢いのまま、
ソファーに座っているセンにしなだれかかって抱き着く。
そんな彼女の甘えん坊ぶりを受け止めつつ、
センは、ラーズ&ライラスに、
「ご覧の通りだ。……今後も、俺は、こいつ……『デス』に、十七眷属を襲わせる。カドヒトとデスのダブルパンチで、龍神族の戦力を削いでいき……俺は、火事泥棒的に、各地の有能な魔人を回収して、センエース戦闘団を強化していく」
「「……」」
「ラーズ、そして、ライラス……クロッカ女王陛下を選んだお前らはギャンブルに勝った。だが、人生は、賭博黙示録じゃねぇからなぁ。ギャンブルに勝って終わりじゃなく、むしろ、そこからの方が長いんだ。……いや、賭博黙示録の方でも、ギャンブルに勝ってからが長かった気がするな……まあ、いいや、その辺」
と、ファントムトークをセルフでぶったぎり、
「この戦争で、クロッカは確実に勝つ。戦争に勝つまでは、センエース戦闘団やカドヒトやデスが主役だが……戦争に勝って以降の主役はお前らだ。政治に関してはお前らに任せる。偉大なるクロッカ女王様と一緒に、この世界をまっとうに統治していけ。いいな」
その命令に対し、ライラスが、
「……戦争が終わったあとで、あなたは……どうするんだ? 王にならないのか?」
「そんなもんは、なりたいやつがなればいいんだ。さすれば直訳で歌えもしよう」
「?? ど、どういう意味だ? さすれば直訳……え? まったく分からなかったんだが……」
「安心しろ。俺も分からない。誰にも俺の言葉を理解することはできない。それでいい。それがいい」
「……」
「今後のために、分かる言葉で、本音を告げておこうか。イヤなんだよ。俺は王になりたくない。この戦争が終わったら、あとのことをクロッカ女王様に全部丸投げして、俺は山にこもって修行漬けの日々を過ごす」
「……変わった魔人だな……君は。…………変態だという噂は聞いていたが、ここまでとは思わなかった……君は……頭がおかしい」
「いつ聞いても惚れ惚れするセリフだねぇ。間近でそのセリフが聴きたいがために、ボクはわざと、ファントムトークをつかうのかも」
センエースの変態性に、軽くドン引きするライラス。
ラーズも、普通に、ちょっと引いているが、ライラスほど顔に出してはいなかった。
この辺に、両者の『年齢経験値』の違いが出ている。
「さて、それじゃあ、クロッカ女王陛下に忠誠を尽くすと約束したお前ら親子に、いくつか命令を出そうか。これは、俺からじゃなく、クロッカ女王陛下の命令だと心得よ」




