309話 すべてはクロッカ女王様のために。
309話 すべてはクロッカ女王様のために。
「これは、俺からじゃなく、クロッカ女王陛下の命令だと心得よ」
と、簡単に前置きをしてから、
「――まずは、ガリオに連絡をいれろ。そして、先日『ゼノの大幹部スギナ』に襲われた『十七眷属ランディア』が、また、ゼノに襲われるというウワサを流せ」
その発言に対し、ラーズが、
「クロッカ様の命令には従おう。……ただ、その噂の出所はどうするべきか聞いておきたい。急に、私発信で、その噂を流しだしたら、不自然であるから」
「その点については考えている」
そう言いながら、センは、この部屋の調度品を適度に破壊しはじめる。
壁や床にも軽く穴をあけてから、
「今日、カドヒトに襲撃されたということにしておけ。そして、その時に、犯行予告を受けたと言えば……おかしな点はないだろう。お前らが襲われた理由は……『十七眷属イルドカ』を狙った『ゼノ大幹部ゼミル』を、ラーズが撃退したから、それにカドヒトが腹を立てたから……ということにしよう」
「……了承した。それならば、筋が通る」
「あと、他にも、いくつかお前ら親子にはやってもらうことがある。資源の横流しであったり、二重スパイであったり、偽情報の密告であったり……クロッカ女王陛下以外の龍神族が全員消滅するまで、ずっと、クロッカ女王陛下のスパイとして、政治の中枢で暗躍してもらう。いいな」
そんなセンの命令に、
ライラス&ラーズは、ためらうことなく、首を縦にふった。
★
ラーズ親子に指示を出したあとで、
センはすぐさま、魔術学院に戻って、
3組の生徒たちに授業を開始した。
パルカやガリオの命令の合間を縫って、
センは、ちょくちょく、学院に帰ってきては、
生徒たちに、きっちりと、
魔法や武の真髄を教えていた。
グレートティーチャーとしての職務を忠実にこなして、
3組の面々の実力を底上げしていっている。
センエース指導のもとで、
カドヒトに立ち向かい、
1組やクロッカ相手に真正面から闘い、
等級試験で暴れ、
その後も、ずっと、指導を受け続けて……
……そんな、たくさんの濃い経験を積んだことで、
3組の面々はたくましく成長していた。
その成長率は、とんでもなく著しく、
クラス総合力は、『ジバ&ビシャ』のブッチ切り兄妹をのぞいたとしても、
普通に、2組を大幅に超えており、
『1組(クロッカ抜き)』と、『ほぼトントン』というところまできていた。
ちなみに現在の、3組の存在値が以下の通り。
『センが担任になる前』→『現在』
ハロ 『38』 →『46』
ラス 『30』 →『41』
マト 『29』 →『36』
ヤン 『27』 →『37』
リノ 『29』 →『38』
ハプ 『26』 →『33』
レク 『25』 →『32』
ジバ 『57』 →『68』
ビシャ 『73』 →『87』
ジバ&ビシャ抜きの平均は『38』ぐらい。
ちなみに2組の平均が『33』なので、大幅に超えている。
1組の平均は『40』。
まだ、普通に、1組の方が強いが、それは『現在』の話。
このまま、センが3組の指導を続けていけば、おそくても半年……はやいと3か月ほどで、1組の存在値平均を超えてしまうかもしれない。
この現状に対し、学校関係者や、教師連中や、1・2組の面々は、普通に驚いている。
まっとうに、センの指導力や3組の面々の努力を誉める者もいるにはいるが、
大半の者は、『あの魔人、3組の生徒に薬でも盛ったんじゃないか?』と怪しんでいる。
疑われてもおかしくないぐらい、3組の面々は成長しすぎた。
特に素晴らしい目に見えた成長をしたのは、……やはりというか、なんというか……『ラス』だった。
「豪氷矢ランク5!!!」
センから与えられた自主課題を真剣に丁寧に愚直にこなし続け、
マンツー指導でギチギチに資質を開花させた結果、
ラスは、ついに、『ランク5』の魔法が使えるようになったのだ。




